□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ [2005/01/17]            【子 育 て 羅 針 盤】                              (第224号) □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ ■徒然子育て想■              『男と女の間?』  幼女に対する猥褻目的のいたずら。目にするのも不快な言葉ですが,報道さ れない未遂を含めると,かなり身近になってきました。日本では性情報がほと んど野放し状態です。にぎわいを見せるショッピングセンターにあるレンタル ビデオ店には,アダルトコーナーがあり,膨大なテープが直視できないような 写真カバーをまとって一面に配架されています。健全育成組織による定期巡回 の折に見回るのですが,生業を侵すことができないという壁の高さを恨めしく 思います。  スポーツ紙や週刊誌,さらにはネット内のエロ・グロサイト,一歩踏み込め ば届くところに,淫らな情報が溢れています。メールを開けるとその手の勧誘 がひっきりなしに飛び込んできます。見境のない発信が津波のように押し寄せ てきます。その勢いに飲み込まれてしまう若者や中年男性が,バーチャルなヒ ロインにのぼせて,やがては弱い幼子女に手を出したくなっていきます。スカ ートの中を盗撮するなど破廉恥なことをする,歯止めの利かない自分が情けな くはないのでしょうか?  心の教育という言葉が叫ばれている一方で,現状は心の腐敗が急速に進行し 拡大しているようです。男女7歳にして席を同じくせずという故事は,カビの 生えた戒めですが,その気持ちの上での隔離によって男女の性的な関係の乱れ が抑止されていたとも考えられます。男女平等,参画という動きは人権という 意味で大切なことですが,そこに男女の感性も同一視してしまうというバグが 紛れ込んでいます。  自分が好きだから相手も好きなはずというストーカー行為,手を伸ばせば待 っているはずという痴漢行為。それは男性の思い違い。一方で,挑発的な仕草 や装いを楽しむという無防備さ。それは女性の小さな思い違い。男女ともに異 性の持つ感性を知らないという幼稚さが放置されています。男と女は違うんだ, 男は怖いんだ,女は怖いんだ,だからこそ,仲良くできたら素晴らしいんだ。 それを教えてやるのが家庭における父母の補い合って協力する姿です。もっと も基本的な性教育です。  性犯罪者の再犯率は40%の高率だそうです。再犯毎にエスカレートするこ とを考えると,男の子の育てでは根っこが歯止めなく蔓延らないうちに切り取 っておかなければなりません。子どもの育ちには思春期や性徴といった節目が ありますが,そのことは男女お互いの生理や感性の違いをじっくりと吹き込む 性教育が不可欠である証です。性というのは深いところにあるためにしつけが 届きづらいのですが,だからといって無為のままでは抜きがたい禍根を残しま す。夫婦仲良くして下さい。 ○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○ ★子育ち12路★     【お子さんから,後追いで泣かれることがありませんか?】                        (質問18-03)《WHERE-1》 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇  ○後追いの本音  パパやママには生活があります。幼い子どもを四六時中べったり構ってやる というわけにはいきません。独りぼっちにさせたり,園やよそに預けたりしな ければなりません。当然子どもは嫌がります。放り出される不安を訴えて泣き すがります。かわいそうだからといって,いつまでも抱え込んではいられませ んし,それでは子どもの育ちも先に進めません。いずれは乗り越えなければな らない試練なのです。もちろん,適切なフォローを必要とします。  ママの姿を見失うと,子どもは慌てて探し回ります。いつも傍にいるものと 思っています。乳幼児には,このような母子一体感がまとわりついています。 気持ちの上ではまだ胎児の状態です。人の赤ちゃんは動物に比べて早産で産ま れるので,仕方がありません。いつまでも,そのままではいけないので,母と 子どもは一体ではないと思い知らせることが必要です。自分の思い通りにはな ってくれないママの登場です。でも,泣けばすぐにそばに来てくれることを学 習させておきましょう。  子どもにとっては親の思いやりはなくてはならないものですが,いつまでも 頼りっぱなしというわけにはいきません。親離れということは,親の思いやり を滑走路にして飛び立つということです。いきなりは無理ですから,小さな親 離れを繰り返しながら独り立ちに向けた育ちをしていきます。親の姿が見えな くなっても,親がどこにいるかを知っていれば,帰っていく温かな懐がそこに あるという安心感を持つことができます。「ここにいるからね」,それが滑走 路としての親からの信号です。  傍にいて欲しいのに,ママが離れていく。その置いていかれるという不安が 泣き声になって噴き出してきます。現実にはすぐ傍にいなくても,気持ちの上 でママがついていると思えたら,十分ではありませんがなんとか我慢できるこ とでしょう。「あのね,ママ」,「な〜に」。子どもはがんばったんだよとい う思いを分かって欲しいと語りかけてきます。「そう,がんばったんだ,えら かったね」。自分のことをいつも気に掛けていてくれるというママの笑顔が, ホッとさせます。  親元を離れた不安と,親元に飛び込んだ安心。このセットを整えてやること が大事です。ママとの再会,思いっきり抱きしめてやります。がんばったら, ママがしっかりと受け止めてくれる,その繰り返しによって,ママとのつなが りを時間的にも空間的にも伸ばしていけるようになります。気をつけることは, ママとのつながりを断ち切るのではなく,伸ばしていくという意識です。「マ マ,お帰りなさい。あのね」,「後でね」。そのとき,つながりはプツッと切 れます。  ・・・《ママの懐が開かれていると信じて,子どもは不安の旅を耐えます》 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞  ○大事なもの  人は失ってはじめて何が大切かを悟ります。それまでは在って当たり前とい う甘えがあります。どこが甘え? 大切なものは自然に在るものではなくて, 自分に向けてわざわざ与えてもらっているものです。それぞれの方の温かい思 いやりと努力によって生み出されているものなのです。そのことに気付いたと き,人は自分がどれほど慈しみを受けているかを実感でき,自分の存在価値に 思い至ります。「もし居なくなったら」。その想像ができれば,大切な人は見 分けることができます。  親元を離れて一人暮らしをするようになったとき,ホームシックにかかり家 庭の温もりを思い出します。でも後戻りすることはできません。その温もりは 自分の手で造り出さなければなりません。それが育ちの目的です。家庭を持っ てはじめて一人前と認められるのは,温もりを発することが自立の資格だから です。月ではなくお日様になるということです。成人の資格はともかくとして, 子どものうちは優しさを持って人と接することが育ちの目標になります。  幼子の笑顔は,周りを明るくしてくれます。見ず知らずの人でさえ,気持ち を和ませてしまう力を持っています。その笑顔を絶やさないようにしてやりた いものです。でも,本当の笑顔は,哀しみを乗り越えた後に現れるものです。 大事なことは共感をベースにしているかどうかということです。哀しみを受け 止める笑顔は,それほど簡単には獲得できません。なぜなら,たくさん泣かな ければならないからです。  子どもは泣きながら生まれてきます。泣かなくなることが育ちです。幸いな ことが一つあります。今泣いたカラスがもう笑うという,子どもの早変わりで す。泣いている間は大丈夫です。泣けないほどのストレスをもたらすことは避 けなければなりません。泣くことは,気持ちの方向転換をするときの軋み音だ と思えばいいでしょう。泣けば哀しみをいくぶんかは解放することができます。 育ってくるにつれて,泣かずに涙一筋に抑えることができるようになります。  泣きたいときは泣かせておけばいい,それが育ちの階段です。それを妙に慰 めようとすると,気持ちが横滑りしてしまいます。最近の子どもは泣かなくな ったといわれます。哀しい目に遭わずに済んでいるということでしょうが,そ のままの育ちでは芯を形成できません。何が大事なことであるかを心に刻む機 会が失われているからです。体験不足という昨今の指摘には,哀しさを遠ざけ ていることも含みます。毒は薬ですが,同じように哀しみも育ちの糧なのです。          ・・・《涙の数だけ優しさに輝く宝石が増えていきます》 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞  《子育てには,喜怒哀楽という心の味付けがあります》 ※年若い両親が,赤ちゃんが泣きやまないからという理由で折檻するというこ とはあり得ます。その折檻が程度を越えてしまうと傷害や致死になっていきま す。泣き声は負の感情の発露ですから,聞かされるほうにも不快感を与えます。 他人であればイライラすることになります。親の場合には,泣く理由を解消し てやろうと願いますが,泣き声の届けるメッセージが読み取れないと,そのこ とにイライラすることがあります。「どうして泣きやまないの?」。  普段の生活が規則正しく営まれていれば,そこから外れたことがなかったか を思い浮かべると,原因が見つかります。いつもとは違ったものを口にした, いつもとは違ったところに出かけた,いつもとは違った時間に寝たとか起きた, いつもと違って暑いとか寒いなど,全般をチェックしてみます。子どもが生き ている環境に目配りをすることが,親の保護役割なのです。食べさせていれば いいといった簡単なものではありません。少なくとも衣・食・住を考えるよう にして下さい。 □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ ★編集後記★  1月10日,この子育て羅針盤が「めろんぱん」のオススメマガジンに選ば れました。推薦文は「本格的で濃厚で深い内容です。文章量は多いです。でも じっくり腰をすえて読んでいただきたい。そうしてコツコツ読んでいくと見え てくる自分の子育て、親子・学校・社会のあり方。決して難しいことが書いて あるのではなく自分のすぐ脇にそれはちゃんとある。」と書いて頂きました。 読者の方のすぐ傍にある大切なものをお伝えしたいという思いをしっかりと掴 まえて頂きました。  昨年の「育児のまぐまぐ」による推薦に続いてのことで,うれしいことです。 同時に,応えなければ申し訳ないという重圧も掛かってきます。それは力みに つながりますが,そこは年の功で今まで通りの姿勢を保つことが一番と思って います。これも読者の皆様が購読を続けて頂いているお陰と,感謝するばかり です。ありがとうございました。今後とも,よろしくお願いいたします。 ところで,年賀状のお年玉はいかがでしたか? ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞ ☆予告☆  次号では,【お子さんが,ひとりぼっちでいることはありませんか?】             について考えることにします。どうぞお楽しみに! □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ ●タイトル:『子育て羅針盤』 [Kosodaterasinban] ●発行期日:毎週月曜日正午(2000年09月25日より) ●発行責任:モリのクマさん(詳細はHP「徒然窓」〜プロフィールに)   「徒然窓」= http://www5a.biglobe.ne.jp/~mbear    ・・・・・・「掲示板」もご相談などにご利用下さい。・・・・・・ ●記事の一部、もしくは全部の無断転載・無断配布を禁じます。  掲載記事の著作権は筆者に有り、筆者の許可なく複製・再配信等を行う  ことはできません。事前に下記アドレスまでメールのご一報を下さい。 ■《講演》のご依頼は,メールで気軽にお問い合わせ下さい。 ※著者へのメッセージ: mori-bear@mvd.biglobe.ne.jp ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇ ●配信の協力を頂いている発行支援システム ◆インターネットの本屋さん『まぐまぐ』= http://www.mag2.com/   登録・解除= http://rap.tegami.com/mag2/m/0000046251.htm ◆メルマ***『melma!』= http://www.melma.com/   登録・解除= http://www.melma.com/mag/37/m00019737/ ◆無料メルマガ発行サービス『メルマガ天国』= http://melten.com/   登録・解除= http://melten.com/m/2166.html ◆よりすぐりメルマガサイト『めろんぱん』= http://www.melonpan.net/   登録・解除= http://www.melonpan.net/mag.php?005885 ※解除される方は,登録された配信先の解除手続きをして下さい。 ○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○