□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ [2005/03/21]            【子 育 て 羅 針 盤】                              (第233号) □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ ■徒然子育て想■              『早く寝せる?』  4歳までの赤ちゃんが夜更かしの傾向にあるという民間研究所(P&G・パ ンパース赤ちゃん研究所)の調査が紙上で発表されています。赤ちゃんが寝る 時間の比較がありますので,載録しておきます。        │フランス ドイツ イギリス スウェーデン 日  本 ──────-┼─────────────────────────── 19時以前  │ 6%  36%  33%  26%     1% 19〜22時 |78%  48%  42%  47%    52% 22時以降  |16%  16%  25%  27%    47%  22時以降に寝る子どもの割合が,日本の赤ちゃんでは半数近くになってい ます。国内調査では,夜間の平均睡眠時間は,午後10時以前に寝ている赤ち ゃんが9時間27分に対して,午後10時以降は8時間37分であり,早く寝 付いた方が睡眠が長くなっています。当然遅く寝る赤ちゃんが起床も遅くなっ ています。  9時以降に赤ちゃんを商業施設に連れ出した経験は4人に1人があるそうで す。東京北社会保険病院の神山潤副院長が,「夜更かしを続け,その結果,朝 日をしっかり浴びていない子どもは睡眠と覚醒,体温,ホルモンなどの体のリ ズムが崩れ,時差ぼけのような状態になる」とコメントをされています。 (以上,西日本新聞3月3日朝刊掲載)  寝る子は育つという言葉を知っていても,運用が乱れているようです。生活 のリズムが夜型になっているのは,子育ち環境としては適当ではありません。 遅くても一応眠ればいいという考えが体のリズムを無視していることになりま す。生きものは太陽のリズムにしたがって暮らすようにできています。大人は 育ちを終えているので不摂生をしても構いませんが,育ち盛りの子どもは生体 リズムが大切です。保護者というのは,子どものリズムを守る基本的な役割が あります。 ○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○ ★子育ち12路★     【お子さんが,逃げ口上を持ち出すことはありませんか?】                        (質問18-12)《HOW-2》 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇  ○子どもにも理?  ちょっと用事を頼もうとすると,「テレビを見ているからダメ」とあっさり 断られます。子どもには子どもの都合があります。都合を融通し合うか,それ ができないかは,お互いのしていることがそれぞれにとってどれほど重要であ るかによります。ママから見れば,テレビの番組を見なくてもどうということ がないかもしれませんが,続き物であればそうもいきません。「もういい!」 と切り捨てるのではなく,「後でね」という約束を取り付けるようにしてくだ さい。逃がさないように!  ものが壊れているのを見つけました。「どうしたの?」,「ボク,触ってな いよ」。ママの甲高い声から隠れるように返事が返ってきます。ゴミ出しの間 に家には他に誰もいなかったので,状況は不利です。飛び降りたはずみで椅子 をガタンとテーブルにぶつけたせいで壊したので,子どもは確かに触ってはい ません。少なくとも,嘘は言っていないという妙な自信があります。間接的と はいえ,原因は不注意によるものと認めさせなくてはいけません。ごめんなさ いで終わりにしましょう。  幼い妹が涙を流しているのに気がつきました。「どうしたの?」,「ワタシ, 何もしてないもん」。ママの咎めるような目を避けて,姉はそっぽを向いてい ます。さっきまで二人で話していたので,何かがあったはずです。妹が絵本を 破こうとしたので,凄みのきいた声でダメと制止したので,ビックリしたので す。正しいことをしたと思っていますが,妹が泣いてしまったので,なんとな く気が咎めています。訳をちゃんと聞いてあげて,姉妹のごめんなさいのあい こで終わりましょう。  オモチャが部屋中に散らかっています。「どうして片付けができないの?」, 「だって,引き出しが無いんだもん」。園ではオモチャを入れておく引き出し があって,遊んだ後はそこに片付けています。片付けるとは引き出しに入れる ことと学んでいるようです。引き出しがなければ,片付けはできないというわ けです。子どもなりに理に適っているのですが,まとめて片付けられる箱を与 えていないママの手抜かりもあります。できるように整えることが先のようで す。  子どもに頼んでいた用事が済んでいませんでした。「どうして忘れたの?」, 「だって,友だちが遊びに来たんだもん」。「そんなことは言い訳になりませ ん」。その通りです。子どもの言い分は明らかに逃げ口上です。パパもときど き理由にならないことを言って,ママを怒らせることがあるかもしれませんね。 「忘れていた」とあっさり認めればいいのですが,取り繕うという気持ちが許 せないと思います。ところで,友だちが来たから,それはどうして忘れたかと いう問への答では?    ・・・《逃げ口上は自己保身のためなので,全否定し追いつめないで》 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞  ○逃げの蔓延?  逃げ口上は,逃げるとき。人はしない理由を探すのが得意です。勉強しなけ ればならないけど,疲れているから明日からにしようとこじつけます。人が生 きていく上では,しなければならないことがたくさんあります。しなければな らないこととは,進んでしたいことと違うことがあります。どちらかといえば, したくないことです。したくないから,人に振ったり,できない理由を探そう とします。逃げ上手が昂じると,したくない方に住み着くことになり,結局は 後々苦労することになります。  大きなお子さんを持つママなら,学校や地域での役員就任から逃げる理由を 探している方を見かけたことがあるはずです。誰かがしなければならないとい う場合,私でなくてもと考えるときに逃げが始まります。忙しい人はダメ,赤 ちゃんや病弱な家族を抱えている人はダメ,さらには,転入したばかりだから, 人前で話すのは苦手だから,家族が反対するから,経験したことがないからと いった逃げ口上が出てきます。最後には,できるだけの協力はするから,と辻 褄合わせをしようとします。  自分の生活に関係のないことはしたくない。その閉じこもり風潮が広く蔓延 して,子どもの育ちが本コースを外れていきます。みんな一緒にという心情が 人の暮らしであったはずです。ところが世間では,パパは仕事以外のことは関 係ない,ママはパートと子どもの寝食の世話以外は関係ない,子どもは園や学 校以外のことは知らんぷり,それぞれが勝手に自分の世界に閉じ籠もっていま す。おそらく,逃げているなんて思いもしていないことでしょう。もちろん, 皆さんは分かっておられます。  家庭の中でも,家事はママがするものとなんとなく決まっています。子ども は家事を自分とは関係ないと切り捨てます。その気持ちが家族という世界から の逃避を促すことになります。家族とは家事を一緒にこなすから成り立ちます。 誰かに押し付けているようでは,サービスを受け取るだけのお客さんでしかあ りません。共生するということは,生かされているのではなく一緒に生きよう とすることです。そんなことも分からないで育ったとしたら,寂しい明日が待 っているはずです。  言い古されたことですが,働くとは傍を楽にするからハタラクと言います。 人の傍で動き回ると書きます。自分のしていることが周りの人にとってよいこ とであるように願うとき,人は温かく暮らすことができます。自分のことしか 見えてない人は,誰も付き合おうとはしません。その方が確かに気楽でしょう が,心は冷えていることでしょう。温という漢字は,水の入った皿の上に日が あると書きます。一人一人がお日様になって周りを照らすから温かい,そんな 生きた学習をしてほしいですね。    ・・・《気楽な暮らしに逃げているから,温もりが遠のいていきます》 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞  《子育てには,逃げ口上を自制する道標を提示する作業があります》 ※危険に対しては,三十六計逃げるが勝ちです。しかし,普段の暮らしにその 計を引き込んだら負けです。育ちは前進することですから,負けてもいいから ひたすら前進です。もちろん無茶がいけないのは言うまでもありません。無茶 や無理になるのは,人から強いられる場合です。自分でやろうと決めてすると きは,あまり無茶には走らないはずです。指導するときは引っ張ろうとするの ではなく,大丈夫と支えるつもりで付き添ってやってください。  大丈夫と支える? そう言われてもどうすればいいのか迷われるかもしれま せん。一つだけお教えしましょう。それは逃げ場になってやることです。くじ けたときに泣く場所として温かい胸を開いてやってください。逃げ口上を言わ なかった替わりに,逃げ場を与えておきましょう。もしも甘やかしてはいけな いと考えてママが逃げ場を閉じてしまうと,子どもは逃げ口上を持ち出さざる を得なくなります。どちらがいいかよ〜く考えよ〜う? □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ ★編集後記★  テレビを見ていたら,ミニインタビュー形式で「日本小児歯科学会」のホー ムページの紹介がされていました。Q&A形式で,子どもの歯についての質問 に答えています。もし関心がおありでしたら,のぞいてみてください。       http://www.jspd.or.jp/newpage3.htm  お彼岸ですが,いかがお過ごしですか。暑さ寒さも彼岸までといいます。こ れから温かい方に向かうはずです。春休みになって,宿題もなくて,子どもた ちは楽しいだけの日々を送ることでしょう。一緒に付き合って,一緒に付き合 わせてください。入園や入学に向けてウキウキしたりちょっぴり心配だったり, いろいろの親子の姿があります。もし不安になりかけたら,無理して楽しいこ とを想像するようにしてください。同じ考えるなら,楽しいことの方がお得で す。 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞ ☆予告☆   次号では,【お子さんから,微笑みを渡されたことがありませんか?】             について考えることにします。どうぞお楽しみに! □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ ●タイトル:『子育て羅針盤』 [Kosodaterasinban] ●発行期日:毎週月曜日正午(2000年09月25日より) ●発行責任:モリのクマさん(詳細はHP「徒然窓」〜プロフィールに)   「徒然窓」= http://www5a.biglobe.ne.jp/~mbear    ・・・・・・「掲示板」もご相談などにご利用下さい。・・・・・・ ●記事の一部、もしくは全部の無断転載・無断配布を禁じます。  掲載記事の著作権は筆者に有り、筆者の許可なく複製・再配信等を行う  ことはできません。事前に下記アドレスまでメールのご一報を下さい。 ■《講演》のご依頼は,メールで気軽にお問い合わせ下さい。 ※著者へのメッセージ: mori-bear@mvd.biglobe.ne.jp ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇ ●配信の協力を頂いている発行支援システム ◆インターネットの本屋さん『まぐまぐ』= http://www.mag2.com/   登録・解除= http://rap.tegami.com/mag2/m/0000046251.htm ◆メルマ***『melma!』= http://www.melma.com/   登録・解除= http://www.melma.com/mag/37/m00019737/ ◆無料メルマガ発行サービス『メルマガ天国』= http://melten.com/   登録・解除= http://melten.com/m/2166.html ◆よりすぐりメルマガサイト『めろんぱん』= http://www.melonpan.net/   登録・解除= http://www.melonpan.net/mag.php?005885 ※解除される方は,登録された配信先の解除手続きをして下さい。 ○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○