□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ [2005/03/28]            【子 育 て 羅 針 盤】                              (第234号) □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ ■徒然子育て想■             『今日があるから?』  普段から心掛けていれば,いざというときに適切な行動ができます。不意を つかれると,茫然自失となり,できるはずのこともできなくなります。準備が できていないと,物事は始まりません。生きるという営みは,昨日の上に今日 が積み重なっていきます。取って付けたような行動は,チグハグになって実を 結びません。暮らしは連続しています。生活習慣病という症状があります。パ ターン化した毎日の生活が偏ったものであるとき,先々で異常な状態を現出し ます。  とりとめもなく述べてきましたが,今日のことが明日のことを選んでいると いうことです。宿題を今日済ませれば,明日は明日の課題に取り組めます。も しも,し残したら,明日は昨日の宿題をしなくてはなりません。今日のありよ うが明日の有り様を決めています。今日の借金は明日に返済という負債を持ち 込むことになります。暮らしに追われている大人は,毎日が同じと思っていま すが,昨日何を食べたかが今日の献立を左右していることを思い起こしておく べきです。  子育て中の親は,子どもの明日のために今日の過ごし方を考えているはずで す。明日困らないように,今日のしつけをしています。先に生まれた者は,子 どもの明日が既に経験済みなので見えています。「ああしておけばよかった」 という自分の反省を込めて,子どもの今日と明日を見ているのが普通です。だ からこそ指導者は先生と呼ばれるようになりました。自分の失敗を知っている から,正しい道が見えていると信じることができます。  継続は力なりといわれます。一つのことを諦めることなく続けていけば,何 事かをなすことができます。それが今日の上に明日を積み上げることです。人 が一日でできることはほんのわずかです。だからこそ,日数を掛ける必要があ ります。今日やれることをきちっと済ませていく,それができる人の明日は少 しずつ明るいものになります。このような大人の経験知を子どもの育ちに注入 するためにしつけが行われます。ただし,度を超しては虻蜂取らずになります。  玄関の履き物が出船の形に揃えられている家庭は,明日の準備が定着してい る家庭です。もしも脱ぎっぱなしで乱れていれば,明日も出たとこ勝負という 八方破れの家庭です。しつけの行き届いた子どもは先読みができます。という ことは,今自分が何をどうすればいいかという指標を明確に意識することがで きるからです。つまり,今日のあらゆることが明日の準備につながっていると いう連続性を意識できています。もちろん,明日に埋もれているチャンスも見 えてつかむこともできます。 ○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○ ★子育ち12路★     【お子さんから,微笑みを渡されたことがありませんか?】                        (質問18-13)《MATOME》 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇  ○微笑み返し?  子どもが微笑むとき。喜んでいる子どもの笑顔,それが見たくていろいろと 世話をするのが親の喜びです。そんなことを言われても今は追いまくられて実 感はないというのが現実かもしれません。子どもはそんな夢のような天使では なくて,すぐにご機嫌を損じる気ままな小悪魔です。振り回されないように程 々に構った方がいいでしょう。つまり,子どもを喜ばせようとことさら意識し て策を弄しないことです。子どもがニコニコとできるゆとりのある環境づくり こそが大切です。  微笑みを忘れた子どもは,育ちが足踏みをするようになります。育ちそのも のが楽しいものだからです。しかめっ面ばかりでは,固い育ちになって脆くな ります。たとえば,マナーばかり気を遣って食事をしても美味しくありません し,微妙な吸収機能が萎縮して栄養にもならないでしょう。明るい団らんの中 でこそ楽しく食事ができるのと同じで,明るい家庭が子どもの育ちには何より です。そのためには,先ずママが楽しい気持ちを引き出しましょう。  小泉総理がメールの中で,次のように書いていました。 「たのしみは まれに魚(いを)烹(に)て      児等皆(こらみな)が うましうましと いひて食ふ時」  江戸時代の歌人,橘曙覧(たちばなのあけみ)の歌です。たまに奮発して魚 を煮る,それをおいしそうに食べる子どもたち,その姿に幸せを感じ,目を細 めて見つめる親,そんな状況が目に浮かびます。 -------------------小泉内閣メールマガジン 第179号 (2005/03/10)  育とうとしている子どもは,楽しいから微笑みに溢れています。ママにも微 笑みを持って接してくるはずです。でも,ママが忙しくてそれどころではない という難しい顔で受け止めていると,子どもの微笑みはサッと消滅します。子 どもの心に灯っている温もりは冷やされてしまいます。冷まされた気持ちは育 ちの機能をぎごちないものにします。同じことをしていても,気持ちの持ちよ うで,育ちへの効果は半減します。楽しい育ちといやいや育ち,どっちが得か 明らかです。  子どものいる家庭で,例えばキャンプなどで子どもが留守になることがあり ます。静かですが,なんだか火が消えたような雰囲気になります。子どもは家 庭を明るくしてくれています。子どもの屈託のない笑顔は,大人には羨ましい ものです。いろんな雑念にまとわりつかれていつしかすっかり忘れていたもの を,子どもは思い出させてくれているのかもしれません。いろいろあると思い ますが,家庭では子どもの微笑みに応えてみませんか。  ・・・《微笑みの交わされている家庭では,子どもは真っ直ぐに育ちます》 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞  ○微笑みのしつけ?  誰彼構わずに微笑みかけるものではありません。寂しい人が多くなった現代 社会では,微笑みの温もりは身勝手な期待を抱かせてしまうといった事情があ ります。だからといって,微笑みを封じてしまったら,生きていく元気も萎え ていきます。なぜなら,微笑みは人のつながりを生み出す大切なパスワードな らぬパスメッセージだからです。さらに,人のつながりは生きる元気の元なの です。微笑みのある暮らしをしたいですよね。  赤ちゃんの微笑みは,はじめはただの筋肉の動きにしか過ぎません。しかし, 周りの人が喜ぶという反応を見せるから,微笑みというほっぺたの動きを覚え ていきます。自然に微笑んでいるわけではありません。育ちの中でしつけられ ていくものです。しつけといえば,強制的に仕込むことのように思われていま すが,意図しない行動に意味を与えてやるのも大事なしつけの方法です。こう すればいいんだと子どもに気付かせるということです。  テレビに育てられている子どもの表情が貧しくなるのは,テレビが反応して くれないからです。どうすればどんな反応が返ってくるのか,その試行錯誤が なければ表情の意味を教えてもらえません。いい顔,こわい顔,悲しい顔,そ れらは周りの人の反応を鏡として身に付いていくものなのです。表情に意味が あるということを気付かせるのは,ママが直接応えてやることでしかできない 大事な子育てです。その顔が大好き,その受容メッセージをたっぷりと与えて ください。  微笑みには,作り笑いとかお愛想笑いとかがあります。付き合いの中で,人 は意図して微笑みを作ることができます。円滑な人間関係を保つ上での方便で す。下心のある微笑みはいただけませんが,気持ちを和ませようという思いや りの微笑みもあります。連れ合いと何気なく目を合わせたときに,微笑みが返 ってくるとホッとします。親子の間でも同じです。可笑しいから笑うという笑 いではなくて,気持ちを通い合わせようとする微笑みが少なくなっていません か?  悲しいから泣くのではない,泣くから悲しくなると言われることがあります。 もらい泣きは,人が泣いているからです。楽しいから微笑みますが,微笑むか ら楽しくなるということもあるはずです。泣いている子どもをあやすとき,楽 しい微笑みを与えようとします。微笑むことで気持ちを前向きに方向転換する ことができます。微笑みの力を信じて,微笑みを意識的に作る訓練が行われて いる国もあります。もっと微笑みを大切にしましょう。       ・・・《微笑みがあれば,人との関係は温かいものになります》 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞  《子育てには,人の温もりを分かち合える大事なしつけがあります》 ※子育ては母親役だけでできるものではありません。何より父親役の人が必要 です。それだけではありません。子どもの友達,親の友だち,近くの多世代の 人,いろんな人との関わりから,大切なものを吸収します。食事が毎日同じ内 容の偏食であれば,健康は保てません。嫌いなニンジンやピーマンも少しです が必要です。同じように,親だけが子育てをしていると,育ちの偏食になりま す。いろんな人の持ち味,渋みや苦みもありますが,子どもに万遍なく食べさ せましょう。  家庭と学校にある付き合いはかなり片寄っています。家庭は子ども中心の甘 い関係,学校は同じ学年中心の同質の関係しかありません。異質なものとの出 会いがほとんどない中で育っているようです。子育て環境としては,とても貧 しい内容です。それが世の流れとはいえ,とても気がかりです。親同士のネッ トワークができているところもありますが,親だけに閉じ籠もっているままで は大して効果は得られません。人の温もりを広げることが最大の課題です。 □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ ★編集後記★  今号で終わる「子育て羅針盤」の第18版では,子育ての中で出会ってしま いそうな楽しくないテーマを取り上げました。それは親の試練でもあり,乗り 越えることのできるものだと思っています。どのように受け止めたらいいのか という心構えを見てきたつもりです。子どもは親に良くも悪くも育ちをぶつけ てきます。ガッチリと受け止めてやればいいのです。どうしようと狼狽えるの ではなく,大丈夫と自信を持ってください。  次号からは,「子育ち12軸」(Ver.19)としてお届けします。子どもの育ち を見るときの指標を12の軸として設定します。もちろん,基本的な考え方は, これまでの版と変わることはありません。メールマガジンは読み捨てなので, 大事なメッセージは繰り返してお伝えしなければなりません。ただ,毎号が書 き下ろしなので,どんなものになるか,お届けできるまで分かりません。辛い ですが,楽しみでもあります。ご購読をよろしくお願いいたします。そして, ご紹介も・・・。 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞ ☆予告☆     次号では,【任せているから,考える子どもに育ちます!】             について考えることにします。どうぞお楽しみに! □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ ●タイトル:『子育て羅針盤』 [Kosodaterasinban] ●発行期日:毎週月曜日正午(2000年09月25日より) ●発行責任:モリのクマさん(詳細はHP「徒然窓」〜プロフィールに)   「徒然窓」= http://www5a.biglobe.ne.jp/~mbear    ・・・・・・「掲示板」もご相談などにご利用下さい。・・・・・・ ●記事の一部、もしくは全部の無断転載・無断配布を禁じます。  掲載記事の著作権は筆者に有り、筆者の許可なく複製・再配信等を行う  ことはできません。事前に下記アドレスまでメールのご一報を下さい。 ■《講演》のご依頼は,メールで気軽にお問い合わせ下さい。 ※著者へのメッセージ: mori-bear@mvd.biglobe.ne.jp ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇ ●配信の協力を頂いている発行支援システム ◆インターネットの本屋さん『まぐまぐ』= http://www.mag2.com/   登録・解除= http://rap.tegami.com/mag2/m/0000046251.htm ◆メルマ***『melma!』= http://www.melma.com/   登録・解除= http://www.melma.com/mag/37/m00019737/ ◆無料メルマガ発行サービス『メルマガ天国』= http://melten.com/   登録・解除= http://melten.com/m/2166.html ◆よりすぐりメルマガサイト『めろんぱん』= http://www.melonpan.net/   登録・解除= http://www.melonpan.net/mag.php?005885 ※解除される方は,登録された配信先の解除手続きをして下さい。 ○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○