□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ [2005/04/18]            【子 育 て 羅 針 盤】                              (第237号) □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ ■徒然子育て想■             『安心という居場所!』  友達の輪から離れて,一人でぽつんと遊んでいる子ども。そばで見ているマ マは,心配になります。どうして一緒に遊べないの? そう思って,ママは友 だちと遊ぶように働きかけます。背中を押すかもしれません。子どもには子ど もの事情があります。そこが公園などであれば,誰がどこにいようと構わない ので,好きな場所に居ていいのですが,心理的な壁があるのです。子どもにと って,友達の輪の中には自分の居場所がないということです。  学校に行っても,教室に入って,ぽつんと席に座っているだけという場合も あります。自分の席だけが居場所になりますが,教室は居場所ではありません。 同じパターンが家族の暮らしぶりにも現れることがあります。我が家だけが居 場所で,お隣ご近所の輪には居場所がないというケースです。幼い子どもは親 の背中を見て育ちます。子どもに人への直接的な関心が育っていない一因とし て,閉じ籠もっていても退屈しないという仮想的な情報世界,テレビやゲーム への馴染みが見えます。  身近にいる人たちの中に自分の居場所を確保するには,少し時間が掛かりま す。居場所であることの必要な要件は参加することであり,参画するまでに進 めば十分な条件が満たされるようになり,居場所の確保に到達します。子ども の場合には,いつもそこにいて,なんとなく顔見知りになり,ちらっと目が合 えば笑顔を交わすようになり,参加するきっかけを待つ状態に入ります。何ら かの隙間ができたときに一度でも加担するようになれば,仲間という居場所が できあがります。  挨拶をしようという呼びかけが繰り返しなされます。挨拶なんてしてもしな くても,大したことではないと切り捨てられています。本当にどうでもいいこ となのでしょうか? お店では挨拶が最重要な仕事です。その場合の挨拶は 「いらっしゃいませ」ですが,「お待ちしておりました」という意味合いを感 じさせます。自分が待たれていたというメッセージは,そこに居場所が用意さ れているという意味を伝えています。普段の挨拶は,仲間ですよという合言葉 になります。  見ず知らずの人と接触しかけた場合,お互いに軽く会釈を交わします。お互 いの相手への気配りを認め合うという最低限の挨拶です。この小さなマナーが 身に付いてれば,どんな場合でも居場所を得ることができます。周りの人への 気配りが見えないと,人から拒否され,人を拒否するものです。受け入れ,受 け入れられるという相互の了解が成り立つところに安心という名のパスポート が効力を発揮します。 ○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○ ★子育ち12軸★        【見守るから,落ち着いた子どもに育ちます!】                              《WHERE-1》 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇  ○第3軸:見守る  何かにおびえた子どもは,ママの懐に泣きながら飛び込んできます。ママは しっかりと抱きしめます。ひとしきり泣けば,子どもはママの顔を見上げて, そこに優しい笑顔を見つけると,口元をほころばせて,もう一度しがみついて きます。それで,お終い,落ち着きます。「あのね」と語り始めます。「そう, ビックリしたのね」。言いたいことを言ったら,涙を拭いて元気を取り戻しま す。ママの懐はことが起こったときの大事な避難所です。そこには安心が満ち ています。  子どもにとっての安心の泉は,ママの懐です。ママから溢れてくる安心が家 庭に溢れるから,子どもは家庭で安らぎ,育ちという芽生えを始めることがで きます。家庭は育ちの苗床になる鉢となります。やがて,もう一人の子どもと いう年輪を持った幹に育ち上がっていくと,鉢ではなく,地域という大地に地 植をする時期を迎えます。家庭から,近くの公園遊び,園通い,入学といった 形で,根っこがぐんぐんと張っていくようになります。  その子どもの成長と合わせて,ママの懐が広がっていかなければなりません。 公園に出かけても,そこもママの守備範囲の中にあるという安心感です。ママ がお気に入りの公園と思わせることができたら,ママの公園という安心が子ど もの心に届きます。園に入るときも,ママが仲良くしている先生が居るという 雰囲気であれば,子どもはママとつながっている園として,安心の道を歩いて いくことができます。ちゃんとママとつながっている,それが安心の正体です。  子どもを見守ることが大事だということは,ママには当たり前のこととして 意識されています。親という字は,分解すると「木の上に立って見る」と書き ます。そんなことをどこかで聞かれたことがあるはずです。言われてみればそ の通りですが,どうして木の上に立つのでしょうか? それが分からなければ, 子育ての知恵にはなりません。木の上に立つと,遠くにいる子どもの姿も見え ます。逆に,遠くにいる親の姿も子どもから見ることができます。  たとえ近くに姿が無くても,ママはちゃんと遠くからでも見守ってくれてい ると思うことができたら,そこはママとつながっているという安心の場になり ます。安心すれば気持ちは落ち着きます。フワフワと浮いている気持ちが,マ マとのつながりに結び着いたら,それが子どもにとって落ち着くということで す。育ちの根っこを伸ばすことができます。育ちを促す見守り,それはママの 懐が子どもの生活圏全体に広がっていると思わせることです。  ・・・《もう一人の子どもが育つところは,見守り保障付きの居場所です》 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞  ○気にかける!  ママはパパの誕生日を覚えていますね。では,パパはママの誕生日を覚えて いてくれますか? ママはお子さんの担任の名前を知っていますね。当たり前 です。では,パパはどうでしょうか? 子どもがパパに「○○先生がね,・・ ・」と話しかけたとき,「昨日行った歯医者の先生か?」とトンチンカンなこ とを言うようなことがあれば,パパはとても遠い存在に突き放されることでし ょう。話が通じないということは,同じ場を共有していないということです。  幼い子どもは,「あのね」と語りかけてきます。ママは一々聞いてはいられ ないと感じるかもしれません。でも,子どもは自分の目や耳で見たり聞いたり したことを,ママに知ってほしいと思っています。ママには,私のことを誰も 分かってくれないと思ったりすることがありませんか? パパも勤め先で自分 のことを誰も分かってくれなかったら辛いはずです。逆に,自分のことを分か ってくれるという人がいると思えたら,安心できますよね。  子どもの話を真っ直ぐに聞いてやれば,子どもは自分が気にかけられている という確信を得ることができます。何を話しかけても上の空,そのときには無 視されていると感じるはずです。身近にいる人との間柄がいつもそうであれば, やる気を失ってしまいます。子どもであれば,育とうという気が出てきません。 ただほんの少しの間,話を聞いてやるだけで,子どもが育とうとするための応 援ができるのです。ママとパパの間も同じです。  子どもは自分が親にとってどんな存在かということを気にかけています。だ からといって,甘やかされて過保護に扱われると,自分が親にとって大事な存 在だと感じることができますが,自分の大事さだけが肥大化して,親の大事さ を見落とすことになります。親は自分の思い通りになるという傲慢さが育つだ けです。良い栄養だからといって摂りすぎると,かえって肥満に行き過ぎるの と同じです。特別扱いではなく,普通の暮らしの中でお互いの存在感を認め合 えばいいのです。  聞き分けのいいお利口な子どもは,寂しさを引き込んでいきます。そうでな い子どもはママからいつも構ってもらえるのに! 手が掛からない子どもに対 しては,親は気にかけなくなります。子どもは,「自分が居てもいなくても, ママは何とも思っていないのでは?」と感じます。子どもを叱るという関わり でしか気にかけていないからです。ほめるという関わりによって,「あなたの ことはちゃんと分かっているよ」というメッセージを伝えるように気にかけて ください。  ・・・《気にかけるとは,時と所を越えたお互いの思いの通い合いである》 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞  《子育ては 安心与え 気にかけて》 ※子どもは目を離すと迷子になります。自分をナビゲーションする地図認識が 未熟だからです。道案内をするときに,目印を定めて方向と距離を指定します。 子どもはママを目印にして自分の居るところを判別しています。迷子になった らママを探します。ママが基点になっているからです。ママは自分がどこにい るか,子どもが分かるように常に明らかにしておかなければなりません。園や 学校に行けば,先生を第二の基点として,居場所を認知するようになっていき ます。  子どもの心の居場所は,誰かとつながっているという確信です。たとえ虐待 を受けても,親を悪く言わないのは,自分の居場所がそこにしかないからです。 大人にとっての自発的なリストラに相当することなのです。ここから放り出さ れたらどうしよう,その恐怖が虐待よりも強いのです。やがて長じたとき,そ の仕返しは相当のものになるはずです。それはそれとして,普通に家族が心温 かく暮らすようにしていれば,何の心配も要りません。 □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ ★編集後記★  新学期という言葉から,何か新しい環境に入っているというイメージに包ま れます。入園や入学を体験している子どもは,かなりの緊張をしていることで しょう。もちろん,見守る親のほうも子ども以上にストレスを感じていると思 います。そんなときの心づもりは,なんとかなる,大丈夫と信じることです。 信じる者は救われます。心配からは力は出てきません。ママが大丈夫と励まし てくれるときに,子どもは育ちに前向きになることができます。  子ども集団にメンバーの変動があるときは,改めてママとのつながりを再確 認しようとするはずです。そのあとで,ママから大丈夫という安心を分けても らって,新しい友だち関係を作る力を奮い立たせていきます。真っ直ぐ一直線 ではなくて,行ったり戻ったりを繰り返しながら,少しずつ前に進んでいきま す。子どもの育ちのパターンを忘れないでください。また,子ども毎に個性的 なペース配分もあります。とにかく,基点であるママは右往左往しないでくだ さい。 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞ ☆予告☆     次号では,【落ち着いているから,真っ直ぐに伸びます!】             について考えることにします。どうぞお楽しみに! □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ ●タイトル:『子育て羅針盤』 [Kosodaterasinban] ●発行期日:毎週月曜日正午(2000年09月25日より) ●発行責任:モリのクマさん(詳細はHP「徒然窓」〜プロフィールに)   「徒然窓」= http://www5a.biglobe.ne.jp/~mbear    ・・・・・・「掲示板」もご相談などにご利用下さい。・・・・・・ ●記事の一部、もしくは全部の無断転載・無断配布を禁じます。  掲載記事の著作権は筆者に有り、筆者の許可なく複製・再配信等を行う  ことはできません。事前に下記アドレスまでメールのご一報を下さい。 ■《講演》のご依頼は,メールで気軽にお問い合わせ下さい。 ※著者へのメッセージ: mori-bear@mvd.biglobe.ne.jp ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇ ●配信の協力を頂いている発行支援システム ◆インターネットの本屋さん『まぐまぐ』= http://www.mag2.com/   登録・解除= http://rap.tegami.com/mag2/m/0000046251.htm ◆メルマ***『melma!』= http://www.melma.com/   登録・解除= http://www.melma.com/mag/37/m00019737/ ◆無料メルマガ発行サービス『メルマガ天国』= http://melten.com/   登録・解除= http://melten.com/m/2166.html ◆よりすぐりメルマガサイト『めろんぱん』= http://www.melonpan.net/   登録・解除= http://www.melonpan.net/mag.php?005885 ※解除される方は,登録された配信先の解除手続きをして下さい。 ○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○