□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ [2005/04/25]            【子 育 て 羅 針 盤】                              (第238号) □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ ■徒然子育て想■            『見張りから見守りへ!』  参観日。中学生になると,親に通知状を隠して渡さないこともあります。来 てほしくないという意志表示です。親にすれば大事な学校からの連絡を渡さな いなんて,とんでもないことですね。車を運転中。パトカーが視野にはいると 緊張します。携帯電話は掛けていない,シートベルトはしている,慌てて安全 チェックをします。特に違反や不都合はないとは思っても,監視されないとこ ろに早く行きたいという心理が働きます。参観日と運転中,似ているような?  取り締まりの目は嫌なものです。家族間では,かつて嫁にとっての姑の目が ありましたが,今では姑にとっての嫁の目かもしれません。世間の噂話もあら 探しから生まれ,テレビやスポーツ紙のゴシップショーも同類です。根掘り葉 掘り憶測だけが堂々巡りをしています。揚げ足を取って責めるといったひねく れた色眼鏡を掛けているのに,それが世間の目だと自己弁護する様は異様です。 純朴さが置き去りにされた社会は,健全さを侮蔑さえします。  世間を嘆いて見せるのは繰り言ですが,背景として気をつけておかないと, 飲み込まれてしまいます。子どもを見る目が揚げ足取りに傾いていないか,自 己チェックをする機会を持ちましょう。鵜の目鷹の目で査定されていたら,子 どもはビクビクするだけです。ママたちに子どもの長所と短所を挙げてもらう と,短所はすらすらと出て来るのに,長所については考え込んでしまうといっ たことが普通です。子どもはほめられるより叱られることのほうが多いと思っ ています。  子ども時代に,親に嘘をついたり誤魔化したりしたことがあるはずです。親 を騙すのは簡単です。でも実は,親は騙された振りをしているだけです。子ど もに対して一点の疑いも抱いていないという態度を貫くことが,親の務めであ ると弁えているからです。親を騙したという後ろめたさが子どもの心に歯止め を掛けることを信じていればこそです。もちろん,それとなく遠巻きにし嘘が 行き過ぎて犯罪につながらないように押さえておくのは,大人の知恵です。  子どもがママに求めているのは,見張り役のママではなくて,見守ってくれ るママです。自分のことをあくまでも信じてくれる,自分のことを分かってく れていると信じられるママです。信じてくれるから裏切れない,それが子ども に育ちへの活力を与えることになります。見守ってくれるママの言うことだか ら,反発しながらもじんわりと心に届きます。守るとは,心配だけど子どもに 任せておいて,危ない目に遭わせないように間接的に防御の態勢を保つことで す。 ○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○ ★子育ち12軸★        【落ち着いているから,素直に育ち続けます!】                              《WHERE-2》 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇  ○第4軸:落ち着く  落ち着くといえば,どんなことを連想されますか? 休日にお出かけして, のんびりと温泉に浸かって,ア−と息抜きをするとき,おじさんもおばさんも 落ち着いた風情を漂わせます。娘さんたちも子どもたちもすっかり仲間入りし ています。日々の中でも,帰ってきてお風呂に浸かるとき,一日の疲れが吸い 出される中で,気持ちの落ち着きが得られる方も多いことでしょう。ひとしき り落ち着いた時間を過ごすと,英気が養われて,がんばろうという気持ちにな るものです。  競技に参加しているとき,人前で話をするとき,いろんなプレッシャを感じ るとき,もう一人の自分が自分に「落ち着いて」と囁きます。落ち着かないと, 自分の能力が発揮できないからです。不安な気持ちを持っていると,自分の力 は不安を押さえるために内向きに使われてしまいます。これが萎縮するという 状態です。それでは,落ち着くためにすがるものはどんなことでしょうか?  辛い練習をしてきたとか,十分に下準備を済ませたということです。  できることはやったという実績を支えにして,気持ちの区切りがついている と,落ち着くことができます。一日の仕事はきちんとし終わったと思うから, お風呂に入ってくつろぐことができます。何かし残していると思うと,落ち着 けないでしょう。ちゃんとできたかどうか不安なときも,なんとなく気持ちが ざわついて,落ち着くことができません。たとえば,外出しているとき,ガス の元栓を閉めたかどうか覚えていないときには落ち着かずに,仕事が上の空で すよね。  慌てるときも,落ち着きを無くします。朝の出がけに慌ただしくバタバタす るときは,何か忘れ物などして,ことが円滑に運びません。慌てると転ぶこと もあり,危険です。いいことは何もありません。早めに起きさえすれば,落ち 着いて行動することができます。なにより頭の回転がすっきりとするはずです。 寝ぼけてぼんやりしていると,考える機能が落ち着きを欠くことになります。 早めに取りかかるという習慣が,落ち着きをもたらすのです。  初めての場所,初めての行動,初めての出会い,子どもはいつも初めての○ ○に遭遇しています。物心が付いてくると,いろいろと考えるようになります が,初めてのことについては考える手がかりが全くありません。お手上げ状態 になると,不安がこみ上げてきます。知らないことに対しては,人は落ち着い て向き合うことはできません。入学試験の際に前日に試験場を見に行くのが普 通ですが,気持ちを落ち着かせるためです。予習することが普段の子育てでも 大切です。  ・・・《できることを早めに済ませておけば,落ち着きが必ず得られます》 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞  ○味方!  「できなかったら,どうするの?」。ママはときどき,子どもを脅かして追 いつめることはありませんか? 「あなたはできるはず,がんばらなきゃ!」。 ママはときどき,子どもに期待を押し付けて突き放すことはありませんか?  子どもは,「できなかったらどうしよう?」と不安になります。ママは励まし のつもりでしょうが,子どもにはプレッシャーに変わります。よい子であるほ ど自分を追いつめるので,やがて気持ちが壊れていきます。  親の期待に添わない子ども。それが普通です。親の思い通りに育つ子どもは, 無理をしているはずです。考えてみてください,ママ自身は自分の期待通りに なっていますか? 「反省や悔いがあるからせめて子どもには」という気持ち でしょうが,反省のない人などいるはずもありません。あちら立てればこちら が立たずという具合に,それぞれ違った反省と期待成就があるから,人に個性 が生まれます。親自身が総体的に100点ではないけれど,それなりにやれて いると思うことです。  子どもに期待を掛けてはいけないといっているようで,後ろ向きに感じられ るかもしれません。お伝えしたいことは,現実をよく見て,無理のない期待を 寄せていただくことです。期待とは待つことですから,できないときは見守り, できたときに一緒に喜んでやるという態勢が,励ましになります。できないと きに叱るのは,見張りの役目であり,敵対的な立場を取ることになります。一 緒に喜ぶのは,見守りの役目であり,味方の立場を取ることです。  ママが子どもを指導するという気持ちで向き合う傾向が強まっています。 「○○しなさい」という命令が多いということです。子どものためと思い込ん でいるから,親としての不自然さに気付いてもらうことが困難です。できない 子どもを持つと苦労するというつぶやきが出るようなら,ちょっと立ち止まっ てほしいのです。親は子どもの評定者ではありません。家庭でもあれこれ評価 されていると思うと,子どもは家が落ち着ける場所ではなくなります。  ママは味方であると,子どもは信じています。ところが,ママからいつも叱 られていると,孤独になります。自分がいけないからだと思い詰めていくと, もう一人の子どもは自分が嫌になります。そうなると育ちへの意欲はズバリ半 額と割引されます。自分を安売りするのは,やけっぱちな気分と重なり,ドウ セという捨て鉢になることにもなりかねません。ママが味方だと感じることが できたら,ママが喜ぶからという大きな励みがあることを忘れないでください。  ・・・《味方であるとは,弱点を大目に見て強点を一緒に喜ぶことである》 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞  《子育ては 責め立てるより 受け入れて》 ※子どもと向き合っていると,気になることばかりが目に付きます。食事に集 中できずに,遊びながら食べるといったことがあります。叱ることよりも, 「食べてから一緒に遊ぼう」と導いたり,ちょっとの間でも集中できたときに は「ちゃんとできたね」と認めてやるようにした方がいいですよ。好き嫌いな ども,無理矢理押し付けるより,調理法を変えたり,ひとかけらの努力をママ と同時にしてみませんか?  ほら,肘をついたらダメ。いただきますは言ったの。さっさと食べて。矢継 ぎ早に指導が入ると,食事を落ち着いて食べる雰囲気ではなくなります。ママ が同時に食事をすれば,一緒に頂きますを言い,口に運ぶペースも真似をする ことができます。ママは忙しいので,つい子どもだけに食べさせるということ がありませんか? 良いお手本であることが暮らしの場での自然なしつけにな ります。 □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ ★編集後記★  教育行政の方とお話をする機会がありました。30人学級の話になりました。 その制度が実施された場合,子どもにとって少人数教育というメリットがある ことは広く知られています。ところで,一学年の人数が仮に31人となる場合, 30人学級制の下では15人と16人のクラスができることになります。15 人のクラスでは,集団としての教育効果がなくなるということです。良いこと ばかりに目がいくとデメリットが見えなくなります。制度とは厄介なものです。  4月もあっという間に過ぎていきます。あれやこれやが始まることに付き合 っていると,時が早く経過します。いろんな社会活動が動き出しました。子ど も会育成会もその一つです。PTAの地域委員と地域の子ども会育成会の役員 が重なるという不具合が起こっているようで,負担過重になっているようです。 子どものことだからと一緒に押し付けられるといったたらい回し状況です。み んなが子どものことを逃れようとしているようで,悲しくなります。分かって くれないかな! ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞ ☆予告☆ 次号では,【聞いてやるから,話せる子どもに育ちます!】 について考えることにします。どうぞお楽しみに! □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ ●タイトル:『子育て羅針盤』 [Kosodaterasinban] ●発行期日:毎週月曜日正午(2000年09月25日より) ●発行責任:モリのクマさん(詳細はHP「徒然窓」〜プロフィールに)   「徒然窓」= http://www5a.biglobe.ne.jp/~mbear    ・・・・・・「掲示板」もご相談などにご利用下さい。・・・・・・ ●記事の一部、もしくは全部の無断転載・無断配布を禁じます。  掲載記事の著作権は筆者に有り、筆者の許可なく複製・再配信等を行う  ことはできません。事前に下記アドレスまでメールのご一報を下さい。 ■《講演》のご依頼は,メールで気軽にお問い合わせ下さい。 ※著者へのメッセージ: mori-bear@mvd.biglobe.ne.jp ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇ ●配信の協力を頂いている発行支援システム ◆インターネットの本屋さん『まぐまぐ』= http://www.mag2.com/   登録・解除= http://rap.tegami.com/mag2/m/0000046251.htm ◆メルマ***『melma!』= http://www.melma.com/   登録・解除= http://www.melma.com/mag/37/m00019737/ ◆無料メルマガ発行サービス『メルマガ天国』= http://melten.com/   登録・解除= http://melten.com/m/2166.html ◆よりすぐりメルマガサイト『めろんぱん』= http://www.melonpan.net/   登録・解除= http://www.melonpan.net/mag.php?005885 ※解除される方は,登録された配信先の解除手続きをして下さい。 ○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○