□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ [2005/06/06]            【子 育 て 羅 針 盤】                              (第244号) □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ ■徒然子育て想■             『諦めから我慢へ!』  健康は幸せリングを構成する鎖の一つの輪です。切れかけると,幸せは危う くなります。ところで,病気をしたことのない人は,健康であることの幸せを 感じていないことでしょう。怪我や病気をしたときに,健康のありがたさに気 がつきます。停電したときに,電気があるという当たり前のことに感謝するこ とができます。普通の暮らしの何かを無くすことが,価値を認識するプロセス であると考えることができます。乱暴な物言いですが,幸せであるかどうかは 無くしてみれば分かります。  豊かな社会では,当たり前の暮らしが十分に幸せなのですが,そのことに気 付かない不幸があります。貧しさの中にあるから幸せのイメージがクリアにな り,憧れることができます。ニートという若者の生態がクローズアップされて いますが,ニートでも生きられるという豊かさが背景にあります。貧しい時代 には,することがないというニート状態は贅沢なことであったはずです。いい ところのボンボンがブラブラ過ごすといった昔ながらのイメージが思い出され ます。  豊かさは人をか弱くします。そのことを前提として,今からの子育てをして いかなければなりません。願掛けをするときに,○○断ちというやり方があり ます。好きなお酒を断つことで,願いへのこだわりを持続するという気構えで す。豊かな暮らしの一部を意図的に断って不自由さを託てば,人の生きる力を 発揮できる機会が生まれます。何をしていいか分からないと諦めてしまうので はなく,敢えて自分を追いつめてみるという我慢を創り出しましょう。  したいことがないという目標のない暗闇はそれなりに辛いということもあり ます。したいことがないというのは,見つけようとしていないからです。視野 の狭さや浅さがものごとを見極める眼力を弱くしています。どこを見ればいい のでしょう。それは身近な人づきあいの中にあります。面倒だと逃げているか ら,したいことが埋まっていることに気がつきません。面倒さを我慢するので す。そうすれば,人の素晴らしさをはじめとして,いろんなことが見えてくる ものです。  したいことがないという発想が既に見当外れです。したいこと? 楽して大 金持ちになること? そのためには,セレブな人に拾ってもらうこと? 誰か に無理矢理たかること? 公金をちょろまかすこと? ろくな思いつきしかで きません。したいわけではないことをワザワザするという行動から,本物のし たいことが見えてきます。子育ての苦労から,子育ての幸せが見えてくるのと 同じです。我慢できないということは,幸せが見えないということなのです。 ○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○ ★子育ち12軸★        【待てるから,幸せをつかむことができます!】                               《WHY-2》 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇  ○第10軸:明日  寂しさを我慢して,お母さんの帰りを待っています。「ただいま」,「お帰 りなさ〜い」。走り寄っていきます。ママの懐に飛び込んで,ママの温もりを 吸い込んで,幸せなひとときを過ごすことができます。幸せ感は爆発のような ものかもしれません。抑え込まれた思いが一気に発散する瞬間,至福の時とな ることは,いろんな面で経験されていることでしょう。飛躍をする前にはグッ と息を止めるのと同じで,動きを止めた待ち状態が何かを掴むための態勢にな ります。  お腹が空いたな。「お母さん,夕ご飯はまだ〜?」。「お腹が空いたのね。 もうすぐだからね」。待ちかねた夕食。「慌てないで,ゆっくり噛んで食べな さい」。「ああ,美味しかった」と箸を置きます。何気ない暮らしのひとこま です。そこに幸せがあります。お腹が空けば,夕ご飯を心待ちにします。待ち 時間を縮めるために手伝いをしようという気にもなります。さらには,お腹が 空けば食事が美味しく感じられます。本物の美味しさです。  食事に満足すれば,気持ちに余裕が生まれます。そのときに後片づけという お手伝いを追加しておきます。ママの手間が少しでも減れば片付けは早く終わ り,一緒に過ごす時間が早く訪れます。ママはそのことをちゃんと子どもに伝 える責任があります。手伝った甲斐があったと知ることは,とても大事な動機 付けになるからです。こうして暮らしの中で協力する喜びを自然に身につけて いくことができます。  後片づけは明日への下準備であり,明日を迎える待ち態勢の実現です。明日 を待つつもりがあるから,後片づけをしているはずです。片付けのできない人 がいますが,今がよければそれでいいと,明日を心待ちにしていないからです。 明日にいいことが待っていれば,今日を楽しく過ごすことができます。明日に いいことを見つけることができたら,今日を我慢することができます。明日に いいことがあるかもしれないと思えば,今日は待つことができます。  明日遊ぼうね。子どもたちは楽しい明日を待っています。でも,親は今のま までは先が思いやられると,子どもの明日を心配します。心配だからあれこれ 口出しして,子どもの明日を楽しくないものに替えてしまいます。子どもの明 日はささやかです。親の思う明日は重たいものです。とても太刀打ちできず, 子どもの明日は押し付けられたものになり,子どもの手に余る難題となります。 もっと身軽にしてやらないと,子どもは背丈にあった伸びをすることができま せん。  ・・・《明日を待つ気持ちがあれば,今日を生きる意欲が引き出されます》 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞  ○前向き!  子どもは親の背中を見て育ちます。男の子であればお父さんのように,女の 子であればお母さんのようになりたいと思います。そう思われるように努めた いものです。かつて言われていた「お父さんのようになってはダメ」という逆 さ励ましは感心できませんね。「それじゃ,どうなればいいの」という子ども の疑問には,答えきれていないからです。見えないものは追いかけようがあり ません。子どもにはもっとはっきりと見せてやる必要があります。  すごくよいモデルである必要はありません。そんなことを求められたら,親 はたまらないですね。まあ自分はこの程度でそこそこに幸せであると思えるな ら,それで十分ではないでしょうか。結婚して子どもができて・・・,満点で はなくても幸せなはずです。そのことを自覚すれば,子どもに対してゆとりを 持った接し方ができます。子どもは幸せの高望みをしなくて済みます。親が手 に入れている幸せは,目の前に確かに見えています。  そんなことでは中途半端な状態に甘んじてしまい,向上意欲が育たないと心 配されるかもしれません。まず念のためですが,親自身の後悔を子どもに晴ら してもらおうという気持ちがないか,気をつけておくことが大事です。子ども の直感は親の隠された意図を見抜きます。そんなことはないとして,子どもは 育っていくものという点に期待をかけましょう。今の半端な育ちを認めてやれ ば,至らない部分をなんとかしようという前向きな気持ちを持つことができま す。  「そんなことでは先が思いやられる!」。今のままではいけないと言い渡す ことになり,子どもは自信を洗い流されるだけです。今を否定するのは気持ち が後向きだからです。「今はそれでいい。明日はもうちょっとよくなれるよ」。 明日はよくなるということが前向きであるということです。明日のずっと先に は親たちが待っている,そう信じることができれば,子どもは安心して育って いきます。育ちとは前向きなものです。  自分の明日を信じること,それは子どもにとって最も幸せなことです。自分 が育つこと以上に子どもが本能的に求めていることはありません。今日の自分 が明日の自分を楽しみに待つことができる,それが育ちの目的です。明日はい いことがないと思うようなことがあれば,育ちは意味を失い,生きることにさ え絶望していきます。追いつめられた後ろ向きの育ちではなく,明日を待つ前 向きな育ちを子どもに与えるようにして下さい。  ・・・《明日の自分を待つという育ちが,子ども自身に最高の幸せである》 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞  《子育ては 育つ幸せ 見つけさせ》 ※「上を向いて歩こう 涙がこぼれないように ・・・ にじんだ星を数えて  ・・・ 幸せは雲の上に 幸せは空の上に ・・・」。遙かな星を仰げば, 広い宇宙空間の中にぽつんと生きている自分を感じます。くよくよしているの がつまらなく思えるようになります。もっとゆったりと堂々と生きてもいいの ではないか,精一杯生きてみようかな,その先に見える雲の上空の上にある幸 せに向かって! 小さな自分だから,健気に生きていこう。それが生きる喜び でしょう。  元気の出る歌を口ずさんでみると,気持ちが元気になります。台所でママが ハミングしていると,子どもは楽しくなります。お母さんが歌っていた歌を, 子どもはいつまでも覚えているものです。人は歌に対しては素直になれるもの です。メロディで装った歌詞を聞かせることで,直接的な会話では重たくなる ようなメッセージを伝えることができます。人が歌を楽しむのは,心に響く力 があるからです。子育てにも歌は役に立つはずです。素敵な歌を見つけてくだ さい。 □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ ★編集後記★  子どもを勉強好きにするために親ができること? 親が教えてもらうことで す。そんなこと分かっていると思うことでも,「そこは知らなかった」と言っ てみませんか。子どもはうれしそうに話してくれます。学んだことを誰かに話 すことで学びが定着するものですが,それ以上に学んだことを伝えられる喜び がとても大切です。学んでも何もなければ,何のために学ぶのかという疑問に 取り憑かれます。そうなると学びの意欲は消えていきます。  ママに教えてあげる,とても他愛のないことです。ママが知らないことをボ クは学んで知ることができる,学びってすごい! ママに話せばママも学びが できる,学びとは人の役に立つことなんだ! そのような刷り込みをしておけ ば,子どもは何の疑問もなく学びを受け入れていきます。「勉強は済んだの?」 と他人事みたいな関わり方をしているから,子どもの学びに添ってやれなくな ります。子どもから学びを引き出す当事者になることが親の役割です。 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞ ☆予告☆     次号では,【支えているから,はげむ子どもに育ちます!】             について考えることにします。どうぞお楽しみに! □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ ●タイトル:『子育て羅針盤』 [Kosodaterasinban] ●発行期日:毎週月曜日正午(2000年09月25日より) ●発行責任:モリのクマさん(詳細はHP「徒然窓」〜プロフィールに)   「徒然窓」= http://www5a.biglobe.ne.jp/~mbear    ・・・・・・「掲示板」もご相談などにご利用下さい。・・・・・・ ●記事の一部、もしくは全部の無断転載・無断配布を禁じます。  掲載記事の著作権は筆者に有り、筆者の許可なく複製・再配信等を行う  ことはできません。事前に下記アドレスまでメールのご一報を下さい。 ■《講演》のご依頼は,メールで気軽にお問い合わせ下さい。 ※著者へのメッセージ: mori-bear@mvd.biglobe.ne.jp ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇ ●配信の協力を頂いている発行支援システム ◆インターネットの本屋さん『まぐまぐ』= http://www.mag2.com/   登録・解除= http://rap.tegami.com/mag2/m/0000046251.htm ◆メルマ***『melma!』= http://www.melma.com/   登録・解除= http://www.melma.com/mag/37/m00019737/ ◆無料メルマガ発行サービス『メルマガ天国』= http://melten.com/   登録・解除= http://melten.com/m/2166.html ◆よりすぐりメルマガサイト『めろんぱん』= http://www.melonpan.net/   登録・解除= http://www.melonpan.net/mag.php?005885 ※解除される方は,登録された配信先の解除手続きをして下さい。 ○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○