□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ [2005/09/05]            【子 育 て 羅 針 盤】                              (第257号) □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ ■徒然子育て想■               『社会支援?』  ある公的な福祉関係の計画を策定するために,住民アンケートの回答を分析 する作業をしました。自由記述の欄を読んでいると,親としてのご意見もいく つかありました。わざわざ記述をしてくださる方ですから,それなりに関心の 深いお母さんでしょう。たかだか数行の記述ですから詳しい背景は分かりかね ますので,素直に字面を受け取るしかありません。まち全体の活動を計画する ためにご意見を活かすつもりですが,意に沿いかねる部分もありました。  子連れで参加するオープンルームについてのご意見です。子どもの年齢層が 多様なので,子どもが遊びにとけ込めないでいる。同じ年齢毎に遊べるように して欲しいというご希望で,できれば保育士などによる遊びの指導もしてもら えたらということです。ママと一緒という趣旨が抜け落ちています。ママは見 ているだけのつもりでしょうか? ママたちと子どもたちが誰に指図されるの でもなく,自由に楽しいひとときを創り出してもらうための事業なのですが?  小学校で当番制による朝の交通見守りが行われていることについてのご意見 です。小さい子どもがいるので朝のお役目は困る。老人クラブの人にしてもら いたいというご希望です。小さいお子さんがいるからという理由で,ご自分の お子さんの安全を見守ることができないというのでしょうか? そういうつも りではないと思いますが,そう思えてしまいます。自分の子どもを含めて子ど もたちのために役目を買って出るのが,親というものではないのでしょうか?  子どもの登下校時の安全についてのご意見です。毎日ボランティアの方に見 て欲しい。また学校に出かけることがあるのでしょうか,駐車場を作って。学 校横の田圃をつぶしてでも,と強くご希望です。ネズミ一匹漏らさない鉄壁の ガードは現実的ではありませんし,それを望むなら人に振るものではなく,ま ず自分から動くことが先です。子どもが徒歩で通っている学校ですから,大人 である親のための駐車場は必要ないはずですが?  親御さんにとってはいささか厳し過ぎるコメントにしてみました。社会は自 己責任という前提があって支援が提供されるという仕組みになっています。も ちろん,冷たく突き放すというのではなく,一緒に取り組みませんかというこ とです。親だけではなく,また地域だけではなく,親も地域も一緒でなければ 社会の共同性を確保することはできません。がんばっている人を見れば,喜ん で手助けを惜しみません。それが社会だということは忘れないでください。 ○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○ ★子育ち12願★       【パパお願い! 朝起きるときグズグズしないで!】                            《V20:WHY-02》 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇  ○こんなこと・あんなこと!  月曜日の朝です。一週間の始まりです。パパは起きてきません。「パパを起 こしてきて」ってママが言うので,パパの体を揺すって起こします。「もう少 し」と言いながら,パパは布団の中に潜り込みます。「パパが起きない!」。 「布団をはがしておいで」。どうしてワタシがパパの面倒を見なければならな いの? 布団を剥がすと,パパは渋々と起きあがり,時計を見ます。「もうこ んな時間か,慌てなくっちゃ」,「知らない!」。  ママはご近所のおばちゃんとお買い物に出かけています。ワタシとパパは日 曜日なのでお留守番です。午前中からいいお天気でしたが,昼過ぎから曇って きました。ポツポツという音が聞こえたような気がしたので,外を見ると雨が 降っています。「パパ,雨が降ってきたわよ」,「そうか」。ママが洗濯物を 干していたのを思い出したので,急いで庭に出て行きました。「パパ早く」。 取り込んでしまった頃に顔を出しても遅いの!  「キャー!」。キッチンからママの叫び声です。「どうしたの?」と走って いきました。パパはリビングでチラッと振り返っただけでした。ママが顔をし かめながら隅の方を指差しています。「何?」,「ゴキブリ!」。ママは虫み たいものが大嫌いです。ボクがのぞきに行くと,「こっちに来させないでよ」 って言いながら,「パパ」と呼んでいます。「どうしたんだ」という返事だけ です。「早く来ないから,どこかへ見えなくなったじゃない!」。  「パパ,お風呂に入ろう」,「うん」。「早くしないと,ママが終わっちゃ うよ」,「ママが終わる?」。「あのね,ママが台所のお片付けを終わると, 次は直ぐにお風呂なんだよ!」。「いいじゃないか,ゆっくりさせろよ」, 「いつまでも終わらないって,ママに叱られるから・・・」。「ママが怖いの か?」,「そうじゃないの。早くお風呂を済ませて,パパとママと三人でゆっ くりしたいから」。「よ〜し,行くぞ」。  「そんなところで寝ちゃダメ」。パパはビールを飲んでゴロッと横になると, そのまま寝てしまいます。ママは「そっとしておきなさい」って言うけど,パ パにいっぱいお話ししたいことがあったのに,つまんない。パパは自分のペー スを通しているからいいだろうけど,ボクやママのペースからずれていて,お 客さんみたい! お仕事をしているんだからってママは言っているけど,ママ の笑顔をこの頃見なくなったような気がするよ,パパ起きて! ・・・《くつろいでいたいのは家族皆であると弁えてこそ,真の世帯主です》 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞  ○いいことが待っている!  今に不満があると,イライラして不幸ですね。では今にまあまあ満足してい れば,幸せでしょうか? のんびり湯船に浸かっていると,幸せだと実感でき ますか? 正直の所ホッとしているという息抜き状態です。今日に満足してい ても,明日に不安があれば,決して気持ちの安らぎはなく,幸せでもありませ ん。幸せとは,明日の不安がないというときにしか現れてきません。このまま いつまでもと信じることができたら幸せでしょう。  ことはそれほど単純ではありません。明日のことは分かりません。分からな いから不安になります。明日のことを思い描く力を持たされた人間は,不安か ら逃れることができない運命を背負わされてしまいました。明日に不安がない というのは,見ないようにしているだけのことです。今日が楽しければそれで いいという,明日から目をそらす癖がつくと,幸せは手に入らなくなります。  不安がぬぐい去れないものであるとはいえ,不安を帳消しにする術を人間は 持っています。「何とかなる」という期待や希望を持つということです。日常 的な場面でいえば,明日にはいろんな嫌なことや辛いことが見えていても,別 の楽しいことやうれしいことを見つけることができたら,明日を迎えてみよう という気になります。不安は不安として,安心を目指すという前向きな能力の 発揮ができます。  子どものことでいえば,学校に行って勉強をするのは嫌だなと思っていても, 一方で休み時間に友だちと楽しく遊べるとか,給食が楽しみという思いを持つ ことができたら,学校に行くのも悪いことばかりではないと,気持ちをプラス に切り替えることができます。さらには,何らかの楽しみを見つけることで, 多少の嫌なことを我慢できるようになります。先にいいことが待っている,そ れは自分で見つけることです。  子どもが「怖い」と言うことがあります。もう一人の子どもが育ってくると, 今から先の自分を思い描くことができるようになります。分からない不安を感 じるようになるから,怖くなります。そんなときは「大丈夫だから」としっか りと包み込んでやり,「楽しいこと」を思い描けるように導いてやります。尻 込みしていたらひどい目に遭うという不安を増長するような後押しは逆効果で す。先にはいいことが待っている,それを教えるのが励ましです。 ・・・《ちょっと見には怖い明日でも,いいことがいっぱい埋まっています》 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞  《子育ては 明日の楽しみ 追いかけて》 ※子どもは明日に向かって育ちます。それは自明のことですが,子育ての局面 では過剰になるケースがあります。「今のままでは将来が危ぶまれる」という 不安です。今日の子どものままで大人になるわけではありません。子どもはあ っちに行ったりこっちに行ったりして修正をしながら育っていきます。将来の ことはそれまでのすべてが絡むことなので分かりようがありません。そんな曖 昧なものに振り回されないことです。  子どもが育つというのは,子どもは変わっていくということです。今日の子 どもは昨日の子どもとは違い,明日にはまた違った子どもに成長していきます。 できたら一年程度を育ちの目安にしてみませんか。育ちが目に見える程度にな ります。一年前のお子さんを思い浮かべてください。ずいぶんと育ったと見え るはずです。一年後はどの程度だろうと想像できるでしょう。将来という遙か な明日を子育てに持ち込まないでください。 □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ ★編集後記★  先週の土曜日に,ある小学校を視察してきました。福岡県では「アンビシャ ス広場」という事業を展開しています。子どもの居場所を地域の中に設けよう という育成活動の一環です。学校でも教室を開放して,地域の人が子どもの面 倒を見て指導をしているということで,視察させていただきました。もちろん 校区にある公民館でも居場所を作っており,子どもは好きなところに出かけて 地域の大人と楽しい時を過ごしています。  視察した時間では,子どもたちがよさこい踊りの練習と,バンブー楽器の演 奏の練習を見せていただきました。しなくてはならない練習ではなく,したく てしている練習という雰囲気があって,とても清々しい気持ちで見守ることが できました。ただ,お世話をする方は地域の方を巻き込むためにとても苦労を されて来たというお話も聞き,持続的な熱意の賜物という感想を持ちました。 熱くならなければ明日は開かないということです。 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞ ☆予告☆    次号では,【ママお願い! ちゃんとできないと責めないで!】             について考えることにします。どうぞお楽しみに! □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ ●タイトル:『子育て羅針盤』 [Kosodaterasinban] ●発行期日:毎週月曜日正午(2000年09月25日より) ●発行責任:モリのクマさん(詳細はHP「徒然窓」〜プロフィールに)   「徒然窓」= http://www5a.biglobe.ne.jp/~mbear    ・・・・・・「掲示板」もご相談などにご利用下さい。・・・・・・ ●記事の一部、もしくは全部の無断転載・無断配布を禁じます。  掲載記事の著作権は筆者に有り、筆者の許可なく複製・再配信等を行う  ことはできません。事前に下記アドレスまでメールのご一報を下さい。 ■《講演》のご依頼は,メールで気軽にお問い合わせ下さい。 ※著者へのメッセージ: mori-bear@mvd.biglobe.ne.jp ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇ ●配信の協力を頂いている発行支援システム ◆インターネットの本屋さん『まぐまぐ』= http://www.mag2.com/   登録・解除= http://rap.tegami.com/mag2/m/0000046251.htm ◆メルマ***『melma!』= http://www.melma.com/   登録・解除= http://www.melma.com/mag/37/m00019737/ ◆無料メルマガ発行サービス『メルマガ天国』= http://melten.com/   登録・解除= http://melten.com/m/2166.html ◆よりすぐりメルマガサイト『めろんぱん』= http://www.melonpan.net/   登録・解除= http://www.melonpan.net/mag.php?005885 ※解除される方は,登録された配信先の解除手続きをして下さい。 ○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○