□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ [2005/09/19]            【子 育 て 羅 針 盤】                              (第259号) □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ ■徒然子育て想■               『手作業?』  手作業を大事にする人が,物事を見極める力を身につけているような気がし ます。手作業は脳神経の接続作業になると考えることができます。あれとこれ を結びつけてみようする作業が,同時に脳神経の接続と連動しているというこ とです。手作業を厭わないでああでもないこうでもないとやっていると,神経 回路が複雑になっていき,そうかこうなるんだという完成時に,結節点が出来 上がり,情報処理のための頭脳回路ができあがるのではないでしょうか?  夏休みに地域の子どもたちと一緒にラジオ体操をしました。最初の頃,子ど もたちの振り上げる腕は肘から曲がってくの字になっていました。ピンと伸ば すという行動指令が指先まで届いていません。脳がいい加減な働きしかしてい ないということです。ちゃんとするという意識回路ができあがっていません。 自分の身体を隅から隅まで統制できるように神経回路が完成していなければ, 他のことも同じです。たかがラジオ体操ではなく,ラジオ体操もできないとい う未発達が見えています。  生活がだらしなくなると,いろんな能力が未熟なままに留め置かれ,妙な脇 芽が出てくるようになります。真っ直ぐの育ちが滞ります。気持ちがしゃんと していないからと考えて,口やかましく矯正しようとします。子どもにすれば, 言われるからといって急にしゃんとはできません。それを可能にする意識回路 ができあがっていないからです。日々の手作業による生活行動を実際にこなす ことによって,神経回路が微妙な接続をしていきます。ソフトのインストール 操作と思えばいいでしょう。  手は第二の脳と言われています。手を動かすのは脳からの指令ですが,手を 動かすから脳が機能を獲得していきます。練習という行為によって上手になる のは,そのことを示しています。神経はいろんな接続をしていきますが,どの 接続を生き残るものとして選ぶか,その選別過程が手作業です。神経配線を整 理統合することで,理性という機能を備えた回路ができあがっていきます。生 活習慣のしつけは,真に頭のいい子になるための下準備なのです。  もちろん手だけに限りません。身体全体をフル稼働することが大事です。夏 休み明けの九月の学校で,身体がだるいと訴える生徒が続出したという話を聞 きました。理由を尋ねると暑いということだったそうです。夏休みの間冷房の 中にいたので,暑さに対応する機能が働かずに錆びついていたようです。気持 ちを奮い立たせる前に,身体につながる脳の指令系統が機能不全に陥っていま す。これではやる気も出てきようがありません。 ○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○ ★子育ち12願★       【パパお願い! 教えてくれるとき怒鳴らないで!】                             《V20:WHY-02》 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇  ○こんなこと・あんなこと!  パパとキャッチボールをしています。パパが投げてくれるボールをグラブで 受け止めると,手にバシッと響きます。ちょっと怖い! 少しボールが逸れる と,ボクのグラブに入ってきません。「ボールをちゃんと見て!」ってパパが 言うから,一所懸命に見ているけど。何遍も後に逸らして,ボールを追いかけ ていると疲れちゃう。パパのへたくそ! パパはキャッチボールが続かないの で,イライラしているみたい?  「自転車に乗る練習をするぞ」,「ハーイ」。パパから自転車を買ってもら ったんだけど,乗れないので玄関に置きっぱなしになっていました。パパがそ のことに気付いて,昨日から乗る練習が始まりました。「身体を真っ直ぐにし て」。パパの厳しい声が背中から響いてくるけど,倒れそうで怖くてハンドル にしがみついちゃう。「前を見て」。「ペダルを踏んで」。いっぺんにあれこ れ怒鳴らないで,どうしていいか分からなくなっちゃうから。パパ,手を離さ ないでね!  オモチャが壊れたので,ママに言ったら,「パパに見てもらいなさい」って。 「パパ,見て」。「どうした?」,「動かないの」,「またか」。パパが受け 取ってあっちこっちを触っていましたが,しばらくすると直りました。「動く ?」,「ここを触っちゃいけないって言っていただろ,どうして教えたとおり にしなかった?」。ボクは触らないようにしていたけど,弟のしんちゃんがボ クがいないときに遊んでいたから・・・。  お兄ちゃんが学校の算数の宿題をパパに尋ねています。パパがお兄ちゃんに 説明していますが,説明が難しいのでしょうか,なかなか伝わらないようです。 「どこが分からないのか」とパパが聞いていますが,「そこはさっきから説明 してるだろ,だから・・・」と一段と大きな声で同じ説明が繰り返されていま す。パパの教えていることが分からないので,お兄ちゃんは困っているようで す。声を大きくしたからって分かりやすくなるのではないのに!  「パパ,あの白い雲はどこに行くの?」,「東の方かな」。「ひがしって?」, 「東を知らないのか。東はお日様が昇ってくる方角だから,あっち」。「あっ ちって,学校があるところ?」,「もっとずっと遠いところ」。「車で行ける の?」,「行けるけど」。優しかったパパの声が段々と大きくなってきたので, 尋ねるのを止めました。パパともっとたくさんいろんなお話しをしたいけど, パパは直ぐムキになるから疲れちゃう! ・・・《新しい知恵を根付かせるには,馴染ませる手立てと時間が必要です》 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞  ○できた!  勉強が好きな子どもにするにはどうしたらいいのでしょう? そんな子がい るわけがない? 学校や塾の勉強という狭いものではありません。物事をきち んと考えるような子どもです。何も考えずに気楽にしていた方がいいという子 どももいるかもしれません。でも,それでは幸せな生き方には程遠いでしょう。 考えることが楽しいと思える子どもに育って欲しいですね。そのためには,考 える楽しさを教えてやらなければなりません。  人は他の動物と違って将来のことを想像する力を持っています。こうしたい, こうありたいという夢を描く力を持っています。実現するためにはどうすれば いいかを考える力を持っています。先のことは分からないという運命の世界で すが,いくぶんかは自分の裁量で切り開くことができます。運命を切り開くわ けです。その達成感は人だけが持っている喜びです。できた! やった! 自 分の力が発揮できたという喜びです。  歩けなかったのに歩けた,上がれなかったのに上がれた,書けなかった字が 書けた,読めなかった字が読めた,でんぐり返しができた,箸を使えた,自転 車に乗れた,いろんなことができるようになったとき,自分を褒めてやりたく なります。ガッツポーズで決めたくなります。その喜びを経験して知っている と,どうすればできるようになるかを考えることが楽しみになります。できな いことに直面しても,何とかなるという前向きさが発揮できます。  教えられたとおりにしてできたときには,喜びは半減します。喜びはないか もしれません。できて当たり前だからです。ところで,話題になっている10 0ます計算では,計算に掛かる時間が短くなるという目に見える達成感があり ます。ただの計算練習では達成感はありません。早くできるからといって,そ れにどんな意味があるのかということもあるでしょう。子どもに達成感を与え て計算することの楽しさを引き出しているのです。  もちろん速さだけにこだわると弊害が出てきます。正確にきれいに速くとい った複合的な結果が大切ですが,一度にすべてを求めるとどれも中途半端にな ります。一つずつできるようにしていきます。計算を懸命にしているときに, 傍から字をきれいに書きなさいという余計なことを追加すると,計算作業が停 滞します。計算ができた,字もきれいに書けた,速くできた,段階を追って達 成感の階段を上っていけばいいのです。 ・・・《できたという喜びを知れば,できるまでの苦労が楽しみになります》 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞  《子育ては 小さな喜び 積み重ね》 ※機能快という言葉があります。人は自己の能力を発揮できると快感を得ると いうことを表します。できたという喜びは人が持つ快感だというのです。本来 備わっていることなので,引き出せるように仕掛けることが子育てになります。 与えることはできません。あくまでも子どもが自分で引き出さなければなりま せん。子ども自身が努力してこそ得られるものです。がんばれば快感がある, その体験を印象づけるために,「できたね」という共感が必要です。  がんばるとはどういうことでしょうか? がんばるとは,もう止めようと思 ったときにもうちょっとだけ続けることです。「もうちょっとだけ」,それが 習慣になれば難なくがんばれるようになります。「継続は力なり」という言葉 も,がんばると同義なのです。もう時間が来たからさっさと止める,それでは がんばるという気持ちは育たないでしょう。時間に左右されている暮らしの中 では,がんばる気持ちが育ちにくいかもしれませんね。 □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ ★編集後記★  今週は週の前後に連休が入っています。お出かけのご家庭もあることでしょ う。しっかりと楽しんでください。ところで,クマさんは地域でのボランティ ア活動や会議が入っておりノンビリとはいきません。それでもどこかに楽しみ を見つけてみようと思っています。どうせやるなら,やらされるより楽しみに 向けてやろうと思わなければつまらないですから。後半は人並みにお彼岸です。  さて,子育て羅針盤は,下記のように2000年9月25日より発行してい ますので,今週で満5年を終えます。ただし版としては来週まで続きます。や っと5年なのか,もう5年なのか,どちらかといえば,もう5年という感じで す。毎週書き下ろしなので,振り返る暇が無く,ひたすら今週発行分を書き続 けてきただけです。完成という終端が無いので,続けるしかないという羽目に 陥っています。今まで通り,月曜日の発行という習慣が続くことでしょう。 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞ ☆予告☆    次号では,【パパママお願い! 産まれてきたことを喜んで!】             について考えることにします。どうぞお楽しみに! □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ ●タイトル:『子育て羅針盤』 [Kosodaterasinban] ●発行期日:毎週月曜日正午(2000年09月25日より) ●発行責任:モリのクマさん(詳細はHP「徒然窓」〜プロフィールに)   「徒然窓」= http://www5a.biglobe.ne.jp/~mbear    ・・・・・・「掲示板」もご相談などにご利用下さい。・・・・・・ ●記事の一部、もしくは全部の無断転載・無断配布を禁じます。  掲載記事の著作権は筆者に有り、筆者の許可なく複製・再配信等を行う  ことはできません。事前に下記アドレスまでメールのご一報を下さい。 ■《講演》のご依頼は,メールで気軽にお問い合わせ下さい。 ※著者へのメッセージ: mori-bear@mvd.biglobe.ne.jp ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇ ●配信の協力を頂いている発行支援システム ◆インターネットの本屋さん『まぐまぐ』= http://www.mag2.com/   登録・解除= http://rap.tegami.com/mag2/m/0000046251.htm ◆メルマ***『melma!』= http://www.melma.com/   登録・解除= http://www.melma.com/mag/37/m00019737/ ◆無料メルマガ発行サービス『メルマガ天国』= http://melten.com/   登録・解除= http://melten.com/m/2166.html ◆よりすぐりメルマガサイト『めろんぱん』= http://www.melonpan.net/   登録・解除= http://www.melonpan.net/mag.php?005885 ※解除される方は,登録された配信先の解除手続きをして下さい。 ○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○