□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ [2005/10/03]            【子 育 て 羅 針 盤】                              (第261号) □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ ■徒然子育て想■             『子育てポイント?』  1人の人間を産み育て上げるのはとても大変なことです。動物の子どもであ れば,自然界の中でエサの取り方を覚えさせたら長くて数年で子離れできます。 しかし人の場合には,食べるために社会との複雑な関わりをしつけなければな りません。仕事をして金銭を稼ぎ必需品を購入し処理し取り入れるという一連 のプロセスがあります。大人になっても苦労のつきないことを,子どもに教え 込む必要があります。20年の養育期間が想定されているのもうなずけます。  もちろん,親だけが担いきれるものではありません。社会にも次世代を育成 するという責務があり,それなりの支援体制が組み込まれています。家庭・学 校・地域という連携が不可欠です。ところが,幼いうちは家庭で,育ってくる と学校で,卒業すると地域や社会でという子育てのバトンタッチのイメージが あります。例えば,お箸の使い方を学校で教えなければならないといった不思 議なことが起こります。連携とは丸ごと送り出すことではありませんね。  子育ての主体はいつまでも親です。学校は知識面の育てを,地域は社会性の 育てを受け持つ教科担任のようなものです。子どもの育ちの丸ごとについて, 親が気配りしてやらなければなりません。それだけに,親の目配りすべきこと がたくさんあるように見えてしまいます。日々の子どもの行動にどう対処すれ ばいいのか迷うことが多々あります。そのような迷いの中で,これだけは押さ えておいた方がよいという基本的なポイントを考えているのが,このマガジン です。  自分の子育てはこれでいいのだろうかという不安は,親なら必ず持ちます。 それでもなんとか親の役目を務めています。後悔がないということはありませ んが,やれるだけはやったということで十分ではないでしょうか? 100点 満点などあり得ないといったほうがいいでしょう。100点という評価をする ことが子育てに対しては不可能だからです。そうはいっても60点程度の子育 てができる要点項目はありそうです。この第21版でご一緒に考えてみましょ う。 ○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○ ★子育ち12設問★       【お子さんは,自主性を備えていると思いますか?】                            《V21:WHO-01》 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇  ○自我の誕生!  赤ちゃんは自分では何もできません。泣くことで訴えるだけです。母親は赤 ちゃんの生きるための欲求を満たしてやります。おっぱいを与えおしめを替え るといった世話をしてやります。赤ちゃんは胎児の状態をしばらくは持続して いることになります。人間の赤ちゃんは早産の状態であるといわれています。 赤ちゃんにとっては母親は自分と一体の存在になっていますが,もちろんそん なことを意識しているわけではありません。  ところで,母親はいつも赤ちゃんにべったりと寄り添っているわけではあり ません。離れている母親を捜すと,そこに誰かがいます。父親と母親が夫婦の 関係になっています。一体であった母親がそうではないということを感じ取る と同時に,母親を奪うあの人は誰なのかということが気になります。自分と母 親と父親という三角関係を突きつけられてはじめて,寂しいという感情を伴っ て,自分を見るもう一人の自分が誕生してきます。  子離れの意味とは,子どもに親が従属している関係の解消です。父親による 切断が必要になり,これが最初の父親の出番なのです。親にとっては第二の出 産であり,子どもにはもう一人の子どもの誕生と見なすことができます。普通 の言い方をすれば,自我の誕生ということです。そこで母親が子どもをいつま でも構い過ぎていると,この出産が難産になり,もう一人の子どもが生まれま せん。わがままで甘えん坊のままというわけです。  ところで,突き放されて弱い立場に追い込まれた子どもは,逆に親に支配さ れる立場になります。いうことを聞かないと世話を受けられないという受け身 になります。子どもが成長するにつれて,親の方にはしつけをしなければとい う意図が現れてくるからです。ここで子育ちの上で注意すべき点が現れてきま す。もう一人の子どもに任せるというとても大事な手続きをしなければなりま せん。親離れの意味とは,親に子どもが支配されている関係からの解放です。  ・・・《指導と干渉の違いは,決定権を子どもと親のどちらが持つかです》 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞  ○こんなこと・あんなこと!  嫌だ。子どもの反抗には手こずらされます。親の手を払って「自分でする」 と言い張ることがあります。そんなときは任せればいいのです。手元が覚束な くて見ていられないはずですが,できるできないの問題ではなくて,自分です るという行動パターンを認めてやります。できてもできなくても,そんな自分 を思い知ることによって,もう一人の自分が登場することができます。親がし てやると,子ども自身を見つめるもう一人の子どもが眠らされます。  自主性とは,他からの指示によってするのではなく,自分から進んでしよう とすることです。ということは,親にとっては時として反抗ということになり ます。言われたからわざとしないという場合もあります。「自分でするつもり だったのね,分かったからもう言わないからね」。そう言って,もう一人の子 どもに委託するようにします。するかどうかを自分が決めた,なるべくそう言 う形になるように指導をしてください。  何かいけないことをして見つかったとき,その自分の行動を他人のせいにす ることがあります。下手な言い逃れをします。誰でも自分は悪くないと思いた いものです。大人でも社会や上司のせいにして,自分の正当性を主張すること があります。自尊心です。もちろん子どもにもあります。あなたが悪いといき なり詰め寄られたら,もう一人の自分は必死に反発し反省はできません。自尊 心を認めてやり,その後で反省を促すようにしましょう。  叱ったりほめたりすることで,子どもをしつけていきます。その相手はもう 一人の子どもであることを忘れないようにしてください。特に叱るときには, 子どもを頭ごなしに否定するのではなく,行動の悪いところを改めればいいの ですから,きちんと言って聞かせるようにしましょう。子どもはわざと悪さを しようなどとは思っていません。結果としてそうなっただけのことと,余裕を 持って対処することです。  ・・・《もう一人の子どもに向き合っていれば,子育てはうまくいきます》 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞  《子育ては 子どもの育ち 促して》 ※子どもを育てている,なんとなくそう思っておれられることでしょう。子ど もの中にもう一人の子どもが生まれて,そのもう一人の子どもが育つように世 話をするという考え方をすれば,子育ての一つのポイントが見えてきます。子 どものことは子どもに任せるということです。例えば,自信を持つのは自分を 信じるもう一人の自分がいるからできることなのです。子育ちとは,もう一人 の子どもの育ちです。 □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ ★編集後記★  2日は町民運動会でしたが,午後からの雨で中断されました。昨年は朝から 雨で中止,一昨年は午後から雨で中断しました。なにか因縁があるのでしょう か? 昼食後小雨が降ってきた中,午後のプログラムのトップであった幼稚園 児による太鼓演奏が繰り上げて行われました。雨に濡れながら健気に太鼓に向 かう法被姿の園児達に,たくさんの拍手が送られました。練習の成果を発表で きてどの子もみんなとても誇らしげでした。 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞ ☆予告☆    次号では,【お子さんは,お友だちの目を気にしていますか?】             について考えることにします。どうぞお楽しみに! □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ ●タイトル:『子育て羅針盤』 [Kosodaterasinban] ●発行期日:毎週月曜日正午(2000年09月25日より) ●発行責任:モリのクマさん(詳細はHP「徒然窓」〜プロフィールに)   「徒然窓」= http://www5a.biglobe.ne.jp/~mbear    ・・・・・・「掲示板」もご相談などにご利用下さい。・・・・・・ ●記事の一部、もしくは全部の無断転載・無断配布を禁じます。  掲載記事の著作権は筆者に有り、筆者の許可なく複製・再配信等を行う  ことはできません。事前に下記アドレスまでメールのご一報を下さい。 ■《講演》のご依頼は,メールで気軽にお問い合わせ下さい。 ※著者へのメッセージ: mori-bear@mvd.biglobe.ne.jp ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇ ●配信の協力を頂いている発行支援システム ◆インターネットの本屋さん『まぐまぐ』= http://www.mag2.com/   登録・解除= http://rap.tegami.com/mag2/m/0000046251.htm ◆メルマ***『melma!』= http://www.melma.com/   登録・解除= http://www.melma.com/mag/37/m00019737/ ◆無料メルマガ発行サービス『メルマガ天国』= http://melten.com/   登録・解除= http://melten.com/m/2166.html ◆よりすぐりメルマガサイト『めろんぱん』= http://www.melonpan.net/   登録・解除= http://www.melonpan.net/mag.php?005885 ※解除される方は,登録された配信先の解除手続きをして下さい。 ○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○