□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ [2005/10/17]            【子 育 て 羅 針 盤】                              (第263号) □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ ■徒然子育て想■               『親離れ?』  ラジオを聞いていたら,こんなことを伝えていました。ある調査で,子ども の遊び相手がママになっていることが示されたというのです。友だちと遊ぶの ではなく,ママと遊ぶ子どもが増えてきたのです。近所の子どもと群れて遊ぶ 機会が失われているのでしょうか? 少子化の中で子どもの数が少なくなって, 群れるほどの子どもが近くにいないということでしょうか? 年齢の違う子ど もとは生活のサイクルが合わないので,出会うことがないのでしょうか?  NHKの体操のお兄さんだった方が言っています。番組の中で一緒に体操を しようとすると,ママから離れられない子どもが増えてきたというのです。マ マにべったりとくっついて,見ているだけです。甘えん坊さんが増えてきたの は,どうしてなのでしょうか? ママから離れると,ママがどこかに行ってし まうと恐れているのでしょうか? それともママが子どもを離れないように無 意識のうちに縛り付けているのでしょうか?  母子の密着それ自体は微笑ましい姿なのですが,その程度がとても気になり ます。育ちの中では親離れが不可欠です。そういった知識をママは持っていま す。そこで子離れしなければと考えて,機会を捉えて子どもの背中を押し出そ うとします。そのことも正しいことですが,そのタイミングがわずかにずれて いるようです。子離れは親離れの結果として現れるものと考えてください。親 が決めるのではなく,子どもが決めることだということです。  親はどうすればいいのでしょうか? 子どもを身近において何やかやと世話 をしてやることが母子のつながりではありません。それくらいのことは他人で もできることです。母でなければできないこと,それは慈しみを持って抱きし めてやることです。文字通り触れ合うことです。言葉かけで済ませていません か? それは手抜きです。手の温もりを直接伝えるようにしてください。十分 に慈しみを与えられたら,子どもは自然に親離れをしていきます。 ○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○ ★子育ち12設問★      【お子さんは,園や学校が楽しいと思っていますか?】                            《V21:WHERE-01》 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇  ○居所の確保!  皆が遊んでいる輪から,ポツンと外れている子どもがいます。遊び仲間とい う居場所がないからです。一緒に遊びたいと思っても,相手がそう思ってくれ ないと遊びの居場所は得られません。輪の中に親しい友だちがいれば,その伝 手によって輪の中に入っていくことができます。友だちの友だちというつなが りが社会性の形です。その伝手もないときには,いつも傍にいて顔なじみにな るという時間を掛ける手があります。  登園,登校をしぶる子どもが増えていると聞きます。朝のお出かけしぶりは, 子どもの居場所の問題です。子どもが安心を得る場所の縮小化が起こっている からです。家庭と園・学校が離れて存在する点になっています。家庭の外の普 段過ごしている広がりの中に園・学校があれば,つながっているという実感を 持つことができて不安はありません。ところが,そんな環境は現在ではかなり 少なくなっていて,子どもはとても不安になっているはずです。  親が車で送っていくと,自分ちの車が園・学校に直結し,ドアツウドアにな るので,あんがい素直に入り込めます。離れた空間をつなぐ途中の道筋が子ど もの居場所になるためには,慣れるという期間が必要になります。とはいえ, 慣れるまで放置するというのではなく,いくつかの準備をしておかなければな りません。不安を沈める何かお守りを持たせることも一つです。さらに,園・ 学校での楽しい場面を思い出せるように話を誘います。楽しいという気持ちが 勇気をもたらしてくれます。  「どうして行かなければいけないの?」。涙の目で問いかけてきます。行か ねばならないのではなく,「行けば楽しいことが待っているから」。「行って も楽しくなんかない!」。楽しいことも不安があれば楽しくはありません。マ マの傍で安心しているときに,園での新しい体験を思い出させます。本当は楽 しかったのかもしれない。そんな積み重ねをたくさんしましょう。子どもの不 安を吸い取って,園までの空間を居場所にしてやれるのは,ママしかいません。  ・・・《園までママの配慮が伸びていると感じたら,園が楽しくなります》 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞  ○こんなこと・あんなこと!  枕が代わると寝付けないということがあります。うちに帰ると落ち着くとい う感覚があります。自分の場所には気遣いや不安がないからです。逆にいえば, すっかり安心していられます。ママのそばにいるとホッとする,そうありたい ものです。ところが,ママがしつけという役割を持ちだしてきた途端に,子ど もにとってママの傍は落ち着ける場所ではなくなります。あれやこれや突かれ るのではと不安だからです。パトカーの前を走っているときのドライバーの心 境です。  子どもは生活のほとんどすべてを親に頼っています。親のご機嫌を損ねると つらいことになるので,親を伺うようになります。「ママ,きれいね」という 追従を無邪気さに隠して向けてきます。大人のような見え透いた打算ではあり ませんが,無意識のうちに自己防衛をしています。特別に咎め立てることでは ありません。素直に受け止めておけばいいのです。自分の居場所を得ようとし ているだけです。  帰ってきた子どもに,「今日はどうだった?」と尋ねることがあります。子 どものことを気に掛けているというメッセージのつもりかもしれませんが,子 どもにすればそうは思われません。具体的な問いかけではないことが,ただの ポーズにしか過ぎないと感じさせるからです。試しに「別に」と答えてみると, 「そう」と受け止めてお終いになることからも見抜かれます。自分のことを具 体的に分かってくれている,それが子どもの求める居場所です。  子どもの育ちは,子どもが居場所を確保したときに,その居場所に根を下ろ して始まります。子ども部屋を与えておけばいいという問題ではありません。 そんなものはどうでもよくて,心の居場所が大切です。親との気持ちのつなが りです。親が自分のことを大切に思い気を配っていてくれる,それが豊かな育 ちを保証する育ちの場になります。親が忙しくしていてもどこかに自分のため に何かしておいてくれる,そんな証拠を子どもは心待ちにしています。  ・・・《親とつながっている確かな証拠が見つかれば,子どもは育てます》 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞  《子育ては ぐっと抱きしめ 解き放し》 ※親による世話と他人の手による世話とは,どこが違うのでしょうか? 食べ させて身体の育ちをさせることは親でなくてもできますが,心の育ちは親でな ければできません。親に抱かれると安心しますが,他人に抱かれると不安が先 立ちます。幼子が人見知りをするのは当然です。親は何事があっても子どもの 傍に寄り添っていくというメッセージを発しているからです。「パパ,ママの 子どもでよかった!」。 □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ ★編集後記★  子どもの頃から大好きな秋桜の花があちこちに咲いています。秋桜の花言葉 は少女の真心だそうです。だから好きだというわけではありませんが,子ども の頃たまたま傍に咲いていた花だったためでしょう。幼い頃のクマさんの居場 所を飾る花だったということで,強く心に刷り込まれています。皆さんの幼い 頃の居場所にはどんな花が咲いていたのでしょうか? お子さんの傍に美しい 花を飾ってあげてください。 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞ ☆予告☆    次号では,【お子さんは,心を許して話せる親友がいますか?】             について考えることにします。どうぞお楽しみに! □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ ●タイトル:『子育て羅針盤』 [Kosodaterasinban] ●発行期日:毎週月曜日正午(2000年09月25日より) ●発行責任:モリのクマさん(詳細はHP「徒然窓」〜プロフィールに)   「徒然窓」= http://www5a.biglobe.ne.jp/~mbear    ・・・・・・「掲示板」もご相談などにご利用下さい。・・・・・・ ●記事の一部、もしくは全部の無断転載・無断配布を禁じます。  掲載記事の著作権は筆者に有り、筆者の許可なく複製・再配信等を行う  ことはできません。事前に下記アドレスまでメールのご一報を下さい。 ■《講演》のご依頼は,メールで気軽にお問い合わせ下さい。 ※著者へのメッセージ: mori-bear@mvd.biglobe.ne.jp ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇ ●配信の協力を頂いている発行支援システム ◆インターネットの本屋さん『まぐまぐ』= http://www.mag2.com/   登録・解除= http://rap.tegami.com/mag2/m/0000046251.htm ◆メルマ***『melma!』= http://www.melma.com/   登録・解除= http://www.melma.com/mag/37/m00019737/ ◆無料メルマガ発行サービス『メルマガ天国』= http://melten.com/   登録・解除= http://melten.com/m/2166.html ◆よりすぐりメルマガサイト『めろんぱん』= http://www.melonpan.net/   登録・解除= http://www.melonpan.net/mag.php?005885 ※解除される方は,登録された配信先の解除手続きをして下さい。 ○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○