□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ [2005/11/14]            【子 育 て 羅 針 盤】                              (第267号) □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ ■徒然子育て想■             『知識と知恵の違い?』  知識は素材・材料であり,知恵は処方箋・レシピであると考えておくとイメ ージしやすいでしょう。学校での知育は,教科学習が知識の育て,総合学習が 知恵の育てに相当します。総合学習が目的とするのは生きる力,それは生きる 処方箋を作る力のことです。食事でいえば,素材を選び出して,バランスの良 い美味しい食事を作ることです。素材だけでは生かじりをするしかありません し,栄養も偏ります。何より美味しく食べるという楽しみがありません。  生きる力は,知識を生かす力です。知っている知識を使って実際に応用する ことができて,知恵に昇華します。知っていることとできることとは違うとい うことです。視聴覚による情報社会では,知っているだけの知識は豊富です。 しかしながら,知っていてもできないという能力の低下が顕著になっています。 学力の低下と言われているのは,知恵の低下なのです。繰り返しますが,知識 を使う力が低下しているのです。  例えば,教科書で「思いやり」という言葉を学び,大切なことだと知ります。 しかし,日々の行動の中で思いやりを発揮しているかというとそうはなりませ ん。知識を自分の知恵とすることができずに,かろうじて人の思いやりの無さ を咎める程度のことしかできません。自分の生きる力に取り込まない限り,知 識は一過性のものとして忘れ去られていきます。一夜漬けです。言ってもでき ない,ママがいつもこぼしている愚痴は,その辺りにあります。  知識は理想的なケースです。1個のリンゴを3人で分けると,一人当たり3 分の1になります。それは知識です。ところが,実際に3つに切り分けるのは 難しいことですね。さらには,3つに分けるとは,大きさですか,重さですか? また,3つに分けると食べるには少し大きすぎるかもしれません。6つに分け て2個ずつというのが普通でしょう。状況に合わせてリンゴを分けるのが知恵 になります。応用力も知恵の一つの側面です。 ○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○ ★子育ち12設問★       【お子さんは,気持ちよく手伝いをしていますか?】                            《V21:WHAT-01》 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇  ○能力の発揮!  子どもが家族の一員になれる機会として,お手伝いがあります。ところで, 家族の一員であると実感できるのは,可愛がってもらうときでしょうか? 夫 婦であると感じるときはどんなときですか? 優しくしてもらうときですか, それとも苦労を分かち合っているときですか? こうして見てくると,協働し ていることが必要な条件のようです。家族の生活に関わっている,その生きる 体験としてお手伝いというしつけに意味があるのです。  子どもにできることはたかがしれています。かえって邪魔になることもあり ます。だからこそお手伝いと言うのです。猫の手も借りたいときに,猫よりま しと言えば語弊がありますが,お手伝いを頼みます。親にとっては気休めかも しれませんが,子どもにとっては生きる能力の大事な学習の機会になります。 夫婦の分担と違って,ちゃんとやる責任はそれほど厳しくはありません。ある 程度は失敗することを想定してやらせる,そういう余裕が親には求められます。  ところで,子どもはお手伝いをどんな風にしているでしょうか? 言われて している場合には,すればいいんでしょという態度が見えます。遊んでいると きに急に頼まれると,面倒くさそうにのろのろとしています。そんな形だけの お手伝いをさせていても,無駄ではないかと思ってしまいます。その壁を通り 抜ける我慢が親子ともに必要な試練になります。その際の道案内が,親からの 「ありがとう」という言葉です。イヤイヤしたことを感謝されたら驚きます。  子どもは何で?と考えます。意外だからです。やがて気付きます。人を喜ば せるためには,面倒なことを引き受けて分かち合うことが必要であると悟りま す。人に御礼を言うとき「わざわざお越し頂いて」という言葉を添えるのが普 通です。相手が面倒だなと思う気持ちを自分のために抑えてくれたことに対し て,感謝の気持ちが湧いてきます。面倒だなという思いを,相手を喜ばせたい という思いで上書きするのは,感謝されるという喜びなのです。  ・・・《子どもが能力を発揮するのは,感謝という喜びを感じるからです》 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞  ○こんなこと・あんなこと!  幼い子どもはママのすることを見ていて,真似をしようとします。それだけ ならまだしも,ママに代わって「ワタシがする」と言い出します。自分にでき ることを確かめようとしています。見てみよう,やってみよう,それが子ども の育ちだからです。自分の身体に備わっている能力を使える形にして引き出そ うとしています。使える形で引き出すということが大切です。生活を含めて, 自分が生きていく上で必要な形の能力でなければ無駄な行動になってしまうか らです。  生きている実感というのはどういうときに感じられますか? 病を得て日常 から離れたとき,健康と同時に普段の何気ない暮らしの大切さを思い知らされ ます。それだけではありません。誰もいない家に帰ったときには虚しさがあり ます。何かが欠けているからです。生きている実感を醸し出してくれるくつろ ぎとは,孤独には備わっていません。家族と関わりがあること,それをお手伝 いという形で具体的に自分から実行できたとき,子どもにも生きている実感が 湧いてきます。  自分のことは自分でしなさい。そうしつけていますね。子どもが身の回りの ことを自分ですることができたら,それは当たり前です。子どもが育ってくる と世話の手間が少なくなっていきます。ママには解放感が出てくることでしょ う。育つことは子どもにとって楽しいことですが,親にとってもうれしいこと です。育ってくれてありがとうといいたくなります。こどもが自分のことをで きるようになる,それは十分にママにとってうれしいお手伝いなのです。褒め てやってくださいね。  子どもはママの喜ぶ顔が好きです。自分がお手伝いをすると,ママの喜ぶ顔 が見られます。ママを喜ばせるには,自分がちょっぴり余計なことをしてあげ ればいいと思うようになります。それがしつけです。気持ちよくお手伝いをす る,それは幼いときの体験であり,反抗期には一時棚上げされて影を潜めます が,やがてその種は思春期の芽生えの中でしっかりと花を咲かせます。幼いと きのしつけは種まきなのです。種が注入されていないと,親密な人間関係とい う実りはあり得ません。  ・・・《言われてする手伝いは,してあげたいと思うとき本物になります》 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞  《子育ては ママの喜び プレゼント》 ※人が生きていく上で大切なものは,家庭の中に詰まっています。家庭が寂し いものなら大切なものも,たとえ元々本物であったとしてもやがてまがい物に 変質します。温かい家庭,それは与えられるものではなく,夫婦がお互いのた めに,親子がお互いのために,わざわざ余計なことができているかどうかに拠 ります。家庭で「ありがとう」と言っていますかという問いかけがありますが, 単なる言葉かけの問題ではありません。 □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ ★編集後記★  日ごとに寒い方向に気候がシフトしていきます。寒がりのクマさんはパソコ ンの前で着ぶくれし始めました。同時に冬眠の誘いがあるのか,眠気が取れま せん。いっそもっと寒くなれば暖房モードに入れますが,中途半端なので厄介 です。縁側のひなたぼっこを午後の一時楽しんでいます。田圃の刈り取った後 に伸びた稲を食べに来るスズメもまるまるとふくれています。スズメはどのよ うに越冬するのでしょうか? ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞ ☆予告☆    次号では,【お子さんは,禁止されたことを守れていますか?】             について考えることにします。どうぞお楽しみに! □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ ●タイトル:『子育て羅針盤』 [Kosodaterasinban] ●発行期日:毎週月曜日正午(2000年09月25日より) ●発行責任:モリのクマさん(詳細はHP「徒然窓」〜プロフィールに)   「徒然窓」= http://www5a.biglobe.ne.jp/~mbear    ・・・・・・「掲示板」もご相談などにご利用下さい。・・・・・・ ●記事の一部、もしくは全部の無断転載・無断配布を禁じます。  掲載記事の著作権は筆者に有り、筆者の許可なく複製・再配信等を行う  ことはできません。事前に下記アドレスまでメールのご一報を下さい。 ■《講演》のご依頼は,メールで気軽にお問い合わせ下さい。 ※著者へのメッセージ: mori-bear@mvd.biglobe.ne.jp ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇ ●配信の協力を頂いている発行支援システム ◆インターネットの本屋さん『まぐまぐ』= http://www.mag2.com/   登録・解除= http://rap.tegami.com/mag2/m/0000046251.htm ◆メルマ***『melma!』= http://www.melma.com/   登録・解除= http://www.melma.com/mag/37/m00019737/ ◆無料メルマガ発行サービス『メルマガ天国』= http://melten.com/   登録・解除= http://melten.com/m/2166.html ◆よりすぐりメルマガサイト『めろんぱん』= http://www.melonpan.net/   登録・解除= http://www.melonpan.net/mag.php?005885 ※解除される方は,登録された配信先の解除手続きをして下さい。 ○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○