□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ [2005/11/21]            【子 育 て 羅 針 盤】                              (第268号) □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ ■徒然子育て想■             『思いやりとお節介?』  相手によかれと思ってしてあげたことが,余計なことである場合があります。 例えば,目の不自由な人が路上で困っているとき,誘導してあげるつもりで手 を引こうとすると,時として嫌がられます。知らない人に手をつかまれると, なんとなく不安になるからです。手を引くのではなく,手につかまってもらう ようにします。相手の意思を尊重する形式になるので,安心感を与えることが できるからです。思いやりもやり方で台無しになります。  子どものためにと親がしてやることが,場合によっては子どものためになら ないことがあります。昔から繰り返されていることに,甘やかしがあります。 子どもの喜ぶ顔が見たいという大人の側の気持ちが,モノを与えすぎて我慢を 忘れさせ,食べさせすぎて肥満に育てます。一方逆に,甘やかしては子どもの ためにならないと,子どもの自主性に任せるという理由からの放任も見受けら れます。「それでは,どうしたらいいの?」という問が出てくるはずです。  一つには,ことさら子どもを喜ばせようとはしないことです。喜ばせようと いう思いやりは,子どもにはお節介になります。喜びとは自分で見つけるもの だからです。もちろん,誕生日などの特別のことに対しては,節目として祝う という喜びは必要です。普段のことを言っています。もう一つは,モノではな く,心で甘やかすことは育ちに必要なことであると考えておくことです。笑顔 を見せていつでも受け入れるという温もりは,与え過ぎることはありません。  思いやりがお節介に変質するのは,押しつけがましい場合です。「折角して あげたのに」という気持ちが出てくるような時は,要注意です。「わざわざ買 ってきてあげたのに,どうして食べないの?」。「高いお金を払って塾に行か せているのに,どうしてちゃんと勉強しないの?」。「誰のお陰で大きくなっ たと思っているの?」。子どものためにという親心から出てくる思いやりは, 「〜のに」という値札をはがしてから渡してやってくださいね。 ○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○ ★子育ち12設問★       【お子さんは,禁止されたことを守れていますか?】                            《V21:WHAT-02》 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇  ○価値の尺度!  子どもたちの社会性を育む力が低下しています。例えば学力の低下などの子 どもの未発達な問題を招く根源的な要因であることに気付いてもらいたいと願 っています。また,教室での私語,図書館やバスの中での騒ぎなど,基本的な マナーと呼ばれるものが守られていないという嘆きで止まっていて,子育てに 対する反省につながっていないようです。どんなことを意識して子どもに向か えばいいのでしょう?  社会性を表すキーワードの一つは,公私の別です。あるいは,自他の別と言 うこともできます。暮らしの中で出会う局面は,場所柄を弁えるということで す。教室は学ぶ場所であり,そこでは静かに先生の話を聞かなければならない という制約が働いています。私語を持ち込むことは,場所柄にそぐわないので す。子どもに教えるべきことは,一つは何をする目的の場所かを理解すること, もう一つ大切なことは自分のことと受け止めることです。  例えば,お店で万引きをする子どもがいます。お店とはお金を出して買う場 所であると分かっています。理由にならない「欲しかったから」という自分の 側の言い訳を持ち出します。買う人という自分の立場が守られていません。ま た,成人式で騒ぐ未成人がいます。式典という場所柄の意味が分かっていませ ん。分からないから自分には関係ないと埒外にはみ出して,目立ちたいという 自分の悪ふざけを持ち込んでいきます。自分も参列者の一員であるという意識 が希薄なのです。  ルールに反したことを咎められたとき,「皆もしているのに,どうして自分 だけ」というすり替えを持ち出す卑怯な大人もいます。ルール違反をした自分 を認めたくない心根も分かりますが,社会的な価値判断をする尺度が欠けてい ることになります。皆にとってよいことがルールになっており,皆が守るから, 自分にもよいことになるというのが社会生活の尺度です。教室で私語を止めて 静かに聞いていれば,学力の育ちが約束されているのです。  ・・・《皆にとってよいものが,自分にとってよいものになっていきます》 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞  ○こんなこと・あんなこと!  今時の子どもにとって,ご馳走とは何でしょう? ガッツ石松さんは子ども 時代バナナを食べるのが夢であったそうです。今ではバナナはありふれた果物 で,食べたいという目標ではありません。テレビで○○産の高級食材を使った ご馳走が食べ比べられています。一方で,子どもたちの食生活が置き去りにさ れて,食育という言葉ができてしまいました。少ない食材をかき集めて食べて いた頃は健康で,豊かな食材?を偏食する今は不健康とは,食の禁止を守って いないことですよ。  幼児は走るとき,怖さを知らずに突っ込んでいくという走り方をします。見 ているとハラハラします。幼児は転けたら危ないということが分かりません。 こうしたらこうなるという推論は,自分の姿を離れたところから見るもう一人 の自分が考えることですが,そのもう一人の自分はまだ生まれていません。危 険だから禁止されているという意味が分からないので,守ることができません。 親が目を離せない時期は,親が見守る必要がありますよ。  オモチャを乱暴に扱ってはいけません。思い通りにならないオモチャに腹を 立てて,放り投げることがあります。精密なオモチャは取り扱いも細やかにす ることが前提です。子どもの扱い方に合わせたオモチャを与えるのが大切です。 オモチャはモノが壊れるということを学ぶ教材でもあると考えて,どうして壊 れたのかをきっちり反省させることが大事なしつけです。禁止を守れなかった ら,その後の対応をしてやりましょう。  子どもが成長してくると,禁止事項の内容が変わってきます。社会的な禁止, 他人に対する禁止事項が追加されていきます。してはいけないことをしたとき に,ちゃんと叱るというしつけを守ってください。最近はよそのおじさんは叱 ってくれません。親が社会人として叱るという役目を担わなければなりません。 蛇足ですが,叱るのはいけないことをしたときです。よいことをしないからと 叱るのは,叱責の誤用になります。  ・・・《してはいけないことは,してしまい反省したときに身に付きます》 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞  《子育ては するとしないの けじめ付け》 ※これからますます寒くなっていきます。紅葉に雪が降り積もっている映像も 届いてきます。寒い中では身が引き締まります。樹木はその引き締まった部分 を濃く年輪として刻んでいきます。寒い中での我慢の痕跡が,樹木をしゃんと 立たせる芯になっています。温もりだけではなく,寒い環境も大事な試練とし てその後の在り方を決めます。その寒さを乗り切るためには,大地の支えが不 可欠です。子どもにとっては,家庭が大地です。 □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ ★編集後記★  この週末に,宮崎,鹿児島方面に旅行してきました。知覧特攻平和会館を訪 ねました。1,036人の若者が沖縄特攻に散っていったということです。母 の写真を抱いて出撃しますという遺書もありました。掲示されている年表によ ると,特攻という悲惨な作戦を考えたのは二人の大佐でした。いろんなことを 考えさせられるひとときを過ごしました。平和を創り出すのは,すべての人の 努力によるものです。 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞ ☆予告☆    次号では,【お子さんは,忍耐力が育っていると思いますか?】             について考えることにします。どうぞお楽しみに! □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ ●タイトル:『子育て羅針盤』 [Kosodaterasinban] ●発行期日:毎週月曜日正午(2000年09月25日より) ●発行責任:モリのクマさん(詳細はHP「徒然窓」〜プロフィールに)   「徒然窓」= http://www5a.biglobe.ne.jp/~mbear    ・・・・・・「掲示板」もご相談などにご利用下さい。・・・・・・ ●記事の一部、もしくは全部の無断転載・無断配布を禁じます。  掲載記事の著作権は筆者に有り、筆者の許可なく複製・再配信等を行う  ことはできません。事前に下記アドレスまでメールのご一報を下さい。 ■《講演》のご依頼は,メールで気軽にお問い合わせ下さい。 ※著者へのメッセージ: mori-bear@mvd.biglobe.ne.jp ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇ ●配信の協力を頂いている発行支援システム ◆インターネットの本屋さん『まぐまぐ』= http://www.mag2.com/   登録・解除= http://rap.tegami.com/mag2/m/0000046251.htm ◆メルマ***『melma!』= http://www.melma.com/   登録・解除= http://www.melma.com/mag/37/m00019737/ ◆無料メルマガ発行サービス『メルマガ天国』= http://melten.com/   登録・解除= http://melten.com/m/2166.html ◆よりすぐりメルマガサイト『めろんぱん』= http://www.melonpan.net/   登録・解除= http://www.melonpan.net/mag.php?005885 ※解除される方は,登録された配信先の解除手続きをして下さい。 ○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○