□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ [2005/12/12]            【子 育 て 羅 針 盤】                              (第271号) □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ ■徒然子育て想■              『保護の拡大?』  保護者という言葉がますます意識されなければならない状況が生まれてきま した。幼い子どもたちが悪魔の手にかかるというとんでもない事件に,憤りを 禁じ得ないのはもちろんですが,具体的な行動を起こさなければいけない切迫 感があります。登校時は朝なので大人も通勤途上にあるということで比較的見 守りがしやすいのですが,下校時は大人はまだ仕事中の時間であり,子どもの 家の近くである地域は,もぬけの殻という状況になります。保護の手が及んで いない隙間になります。  子どもに対する事件が表立つ度に,集団登下校,子ども110番の家,防犯 パトロールなどの対応がなされてきました。非常事態への特別なシステムとい う認識があるために,普段の活動として定着するまでには至っていません。時 が流れると,形だけのものになっていることが多いようです。親は保護者とし てどのように行動すればいいのでしょうか? できることから始めるしかあり ませんが,今まで通りでは何も変わりません。  家を出て家庭に帰ってくるまでは,子どもの保護は誰が請け負っているので しょうか? 子ども一人一人に身辺警護がつくほどの余裕は,社会にはありま せん。ガードマン的な警護には金銭的な負担が伴いますので,現実的ではあり ません。行政の責任というものにも限度があります。結局子どもの保護は保護 者が担うことになります。仕事をしているのでできない,そんな理由を不安に 思っている子どもに対して親は言えないでしょう。  地域の教育力,保護力を高めることが一つの方策です。親の保護力のネット ワークで地域が覆われているということです。実際には地域の人に手伝っても らうことであり,それは親と地域の人がしっかりとつながっていることで可能 になります。「山口さんちのツトム君」という風に親子共に地域の人に馴染み があると,親の保護力が地域の人を介して広がっていきます。「どこの子ども ?」ということでは,地域の保護力は働かないのが普通です。 ○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○ ★子育ち12設問★       【お子さんは,積極性を発していると思いますか?】                             《V21:HOW-01》 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇  ○反省の豊穣!  やってみなければ分からない! それが積極性を発する際の一言ではないで しょうか? 積極性に水を差すのは,先が見えないという不安です。人は経験 によって先を見越す力を持っていきますが,それは常に中途半端なものです。 用心のために,最悪のことを考えるようになります。できなかったらどうしよ う? それが二の足を踏ませることになります。できなくて元々! できなか ったらやり直せばいい! できるかできないかはっきりしなければ,先には進 まないのですから!  失敗を恐れると臆病になります。子どもを育てるときの親の我慢は,子ども にたくさん失敗をさせることです。子どものうちにあらゆる失敗をしておけば, 大人になって失敗をしなくて済みます。失敗しなくなることが育ちなのです。 もちろん,失敗は何度も重ねてします。そのたびに今度はどうしようと工夫を 考えます。考える力は工夫をするために使うことで進歩していくものです。育 ちの間はすべてが練習であると思うことです。  親の務めは子どもの失敗の尻ぬぐいをすることです。それが嫌だと感じたと き,親の心を失うときです。尻ぬぐいなど格好悪いことは,親にしかできない ことだからです。親が積極的に子どもに失敗をさせるとき,子どもは積極性を 発することができます。余計なことをしないで! その言葉が積極性を封じ込 めます。余計なことをすれば,子どもは身体の使い方,頭の使い方を練習する ことができます。子どもにとって危険なこと以外,余計なことはないのです。  失敗しなくなる,そのためには反省というプロセスを踏むことが必要です。 反省とは後悔することではありません。何が失敗の原因かを直視し,どのよう に改善できるかを考えることです。子どもが失敗したとき,咎めることはタブ ーです。咎められたら反省には進まずに,中止に向かうからです。常に今度は どうすればいいかを考える癖を付けてやってください。子どもは失敗すること で考える力を培い,反省の後押しを得て,積極性を発するようになります。  ・・・《失敗と反省ができるとき,いろんなことに対し積極的になれます》 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞  ○こんなこと・あんなこと!  子どもは常に壁に出会います。幼い頃はできないという壁を意識することは ありません。ドアを開けられなくても,開かないものだと思ってしまいます。 高いところにあるオモチャに手を伸ばしても届かなければ,それでお終いです。 どうしてできないのかと考えるためには,自分を振り返るもう一人の自分が育 っていることが必要だからです。自分と周りの状況との関係を認識する力が備 わってはじめて,壁の存在に気付かせられます。  思うようにできないとき,子どもが癇癪を起こします。挫折感を味わってい ます。挫折感とは自分に向かう感情です。しかし不快な感情ですから,追い出 そうとあがいて,八つ当たりをするようになります。例えば,ものであればグ チャグチャにしたり,放り投げたり,人であれば叩いたり蹴ったりという行動 をします。しかし,やがてそんなことをしても壁はびくともしないことに気付 き,もう一度自分の方に目を向けるときがやってきます。  思い通りにならないストレスに直面しなければなりません。その気持ちの方 向付けが積極性への扉になります。積極性とは外部に原因を探すのではなく, 自分の方に工夫の余地を見つけようと発想の転換をすることです。人やモノの せいにしていると,人やモノはこちらの思い通りにはならないので,進展の可 能性は見えてきません。できるようになるためには,自分の中に可能性を探す しかないのです。どうすればいいのかという思考を自分に向けることが,自分 を動かそうとする積極性です。  子どもにはいろんな遊びの体験が必要です。ママの目から見れば何の意味も ない役に立たない他愛のない遊びであっても,そこにはたくさんの工夫が埋ま っています。もっとも基本的なことは,手で道具を使うということです。ある いは,身の回りにあるモノがすべて道具になるという経験が大事です。高いと ころにあるモノを取ろうとするとき,何か棒のようなモノがあればという発想 が生まれ,新聞紙を丸めて棒の代用品を作るという工夫に至ります。何とかな るという体験が積極性を育みます。  ・・・《何とかしようと経験の知恵を引き出すことが,積極性を生みます》 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞  《子育ては 子どもの力 出るを待ち》 ※苦しいときの神頼み。神様はなかなか助けてはくれません。いったん神に預 けた上で,助けを待つ間,自分でできることはしてみようかなと思い立ちます。 それができる人が前向きに生きている人です。すべて自分の力で,そんな風に 気負い込んでいる人が必ずしも立派ではありません。できないことだってあり ます。できるところまでやってみる,その程度の覚悟でいるほうが,永続きし ます。自分を過信することも挫折から立ち直れない深みを招きます。助けても らえばいい場合もあります。 □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ ★編集後記★  新しい年の手帳を購入しました。来年の予定が入ってくるようになり,今年 の手帳では書き入れる場所がありません。2冊の手帳が必要な時期になってい ます。来週まで講義があるので,最終週に必要な転記をして,手帳の交替をす る予定です。ところで,このマガジンも今年はあと2号です。新版は新年2日 の月曜日から配信します。どんな版にするか,考えなければなりません。年賀 状もあり,あれやこれや,考えることが尽きないようです。皆様,寒さにご用 心ください。 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞ ☆予告☆    次号では,【お子さんは,後始末がきちんとできていますか?】             について考えることにします。どうぞお楽しみに! □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ ●タイトル:『子育て羅針盤』 [Kosodaterasinban] ●発行期日:毎週月曜日正午(2000年09月25日より) ●発行責任:モリのクマさん(詳細はHP「徒然窓」〜プロフィールに)   「徒然窓」= http://www5a.biglobe.ne.jp/~mbear    ・・・・・・「掲示板」もご相談などにご利用下さい。・・・・・・ ●記事の一部、もしくは全部の無断転載・無断配布を禁じます。  掲載記事の著作権は筆者に有り、筆者の許可なく複製・再配信等を行う  ことはできません。事前に下記アドレスまでメールのご一報を下さい。 ■《講演》のご依頼は,メールで気軽にお問い合わせ下さい。 ※著者へのメッセージ: mori-bear@mvd.biglobe.ne.jp ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇ ●配信の協力を頂いている発行支援システム ◆インターネットの本屋さん『まぐまぐ』= http://www.mag2.com/   登録・解除= http://rap.tegami.com/mag2/m/0000046251.htm ◆メルマ***『melma!』= http://www.melma.com/   登録・解除= http://www.melma.com/mag/37/m00019737/ ◆無料メルマガ発行サービス『メルマガ天国』= http://melten.com/   登録・解除= http://melten.com/m/2166.html ◆よりすぐりメルマガサイト『めろんぱん』= http://www.melonpan.net/   登録・解除= http://www.melonpan.net/mag.php?005885 ※解除される方は,登録された配信先の解除手続きをして下さい。 ○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○