□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ [2006/02/06]            【子 育 て 羅 針 盤】                              (第279号) □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ ■子育て一言メモ■              『和顔愛語?』  出稼ぎで北海道から東京へ出ていた父親が,年末になって帰郷してきます。 年末の風物として,ある家族がテレビ局の取材を受けていました。父親の帰り を待ちわびる家族の気持ちを捉えようと,小学2年生の女児に的を当ててイン タビューがされました。「お父さんが帰ってきたら,なんて言う?」。「分か らない。言うことがいっぱいあるから」。女の子は何を言おうか,考えあぐね て返事に困っています。  インタビューはさらに突っ込みが入ります。意地悪ですね。「駅で出迎えて, お父さんの姿が見えてきたら,なんて言う?」。しばらく考え込みました。そ の光景を思い浮かべていたのでしょう。やがて出てきた答えは,「笑う」とい う言葉でした。普通なら「お帰りなさい」でしょう。でも,帰ってきた父親を 迎える自分の気持ちを伝えるためには,うれしい笑顔が一番と思ったのです。 笑顔は心を開いて丸ごと受け入れようとするサインです。父親にとって,最高 の出迎えです。  おそらく女の子は笑顔に囲まれて育ってきたのでしょう。笑うという所作が, 何か面白いものごとに付随するものとして限定されていないでしょうか? テ レビが提供する「押し付けられた笑い」に馴染んでいると,自発的な笑顔を忘 れていきます。フッと横を見ると,そこに親の優しい笑顔が待っている,そん な温かい笑顔を子どもにたくさん見せてやってください。そう心掛けていると, 肩の力も抜けて,子育てが楽しくなってくるはずです。 ○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○ ★子育ち12態★         【お子さんの言葉遣いを導いていますか?】                            《V22:WHEN-02》 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇  〜こんなこと・あんなこと〜  かつて若者言葉の不明瞭さが指摘されました。例えば,語尾が伸びたり上が ったりする(次の語を考えている)。話が長々と続き切れ目がない(ズバリと 言い切れない)。感覚的で曖昧な表現が多い(「やっぱり,とか,なんか,み たいな感じで,…」)。語彙が少ない(限られたつきあい範囲)。発音が曖昧 (あごの力が弱い)などです。はきはきとした話し方が,聞いていて気持ちが いいと教えてやってください。小さいうちに良い癖を付けてやるのが,しつけ です。  体験不足が,現実からの無意識の逃避を植え付けています。意見を明確に言 語化する能力は持っているのですが,言葉そのものを批判しない所があるため に,考え方がすごく単純です。現実に対面しないで,言語で語ればすべてを言 い尽くし理解したと思い込んでしまっています。例えば,「バスで席を譲る」 と言うことはできるのに,実際にはできない弱さに気付いていません。言葉と 現実のせめぎ合いを経験しないと,言葉が卑しくなります。  人工的な暮らしの空間では人や自然と直に触れ合う機会が少なくて,五感が 鈍っていきます。その結果,無感動が蔓延しているようです。表情が硬く,白 けていると見えます。優しい笑顔,哀しい目,冷たい風,温かい日射し,流れ る雲,輝く水面,心を動かすことがたくさんあるはずですが,それを言葉で表 現させましょう。無感動を治すには,豊かな言葉を覚えさせることです。例え ば,「ありがとうございます」ではなく「どうも」と言っていると,感謝がな く,頭も下がりません。  私立高校の体育館で,3年生の男子生徒が喧嘩をして死亡するという事件が ありました。喧嘩の原因は悪口を言った,言わないというすれ違いでした。コ ミュニケーションがうまく機能していないせいです。ある文化人類学者は, 「人は友好的関係を作り出すために"言葉"を発明したのでは」と言っています。 例えば,「俺はお前を殺さない」がお辞儀に,握手は敵意が無いという表現で す。心は,人の声,言葉によって満たされるものなのに,現実は言葉が通じて いないようです。 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞  〜ママへのメッセージ〜  コミュニケーションという言葉の,コム(ラテン)は"一緒"という意味で, コムニカーレとなると"共有すること"になります。そこで,コミュニケーショ ンとは,何かを共有することの確認作用であり,そのことが対話の目指すもの です。さらに関連を辿ると,情報とは情に報いることであり,対話という手続 きは「聞く+話す」のセットでなければなりません。相手の意にきちんと報い なければ返って来ません。共感するということが対話の目的であることを忘れ ないでください。  子どもは分ってくれる分だけ話します。大人は話せば分ると思っています。 何が分かるのでしょう? 実は,話せば違いが分ります。お互いの違いを明ら かにして,その現実を受容することが必要です。話すとは,言って聞かせるこ とではありません。そんな話しかけでは,口が達者になるだけです。例えば, 「これは魚?」,「馬鹿ね,どじょうでしょ」。これでは話は続きません。 「違うね!」とだけ言います。「じゃ何?」と考えようとします。次に進むこ とが大事なのです。  母国語というように,子どもは母の言葉によって人としての育ちをします。 子ども時代にしっかりとした言葉を覚え込まないと,高校まで12年間の学習 についていけなくなります。学習とは母国語を使って知能回路を組み上げる営 みだからです。質のよい言葉でなければ,良い学習はできません。言葉は最も 大事な教養であり素養なのです。子どもの言葉遣いをしつけることで,頭のよ い子に育てることができます。美しい日本語が学習の優れた道具であることを 知っておいてください。                 ・・・《子育ちは 言葉の質が 別れ道》 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞ ☆次号予告☆       【お子さんの自己実現を助けていますか?】                           どうぞお楽しみに! □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ ★編集後記★  人は言葉を使って心の扉を開閉します。子どもの心を開く言葉は,「そうか, おもしろいね,もっと知りたい,どう思う,言ってごらん」などです。閉じる 言葉は,「ばかだね,だめだよ,つまらないこと言って,それは未熟な考え」 などです。違いは分かりますね。聴く耳を持っていれば,それに相応しい言葉 が浮かぶはずです。自分に向かって言葉を真っ直ぐに向けさせるには,受け止 めようときっちりと構えてみせることです。導きは受け止めてこそ完成するも のです。 □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ ●タイトル:『子育て羅針盤』 [Kosodaterasinban] ●発行期日:毎週月曜日正午(2000年09月25日より) ●発行責任:モリのクマさん(詳細はHP「徒然窓」〜プロフィールに)   「徒然窓」= http://www5a.biglobe.ne.jp/~mbear    ・・・・・・「掲示板」もご相談などにご利用下さい。・・・・・・ ●掲載記事の著作権は筆者に有り、筆者の許可なく複製・再配信等を行う  ことはできません。事前に下記アドレスまでメールのご一報を下さい。 ■《講演》のご依頼は,メールで気軽にお問い合わせ下さい。 ※著者へのメッセージ: mori-bear@mvd.biglobe.ne.jp ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇ ●配信の協力を頂いている発行支援システム ◆インターネットの本屋さん『まぐまぐ』= http://www.mag2.com/   登録・解除= http://rap.tegami.com/mag2/m/0000046251.htm ◆メルマ***『melma!』= http://www.melma.com/   登録・解除= http://www.melma.com/mag/37/m00019737/ ◆無料メルマガ発行サービス『メルマガ天国』= http://melten.com/   登録・解除= http://melten.com/m/2166.html ◆よりすぐりメルマガサイト『めろんぱん』= http://www.melonpan.net/   登録・解除= http://www.melonpan.net/mag.php?005885 ※解除される方は,登録された配信先の解除手続きをして下さい。 ○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○