□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ [2006/03/13]            【子 育 て 羅 針 盤】                              (第284号) □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ ■子育て一言メモ■               『復元力?』  健康であるとは,風邪を引かないことではなく,風邪を引きかけても治癒力 が機能するということです。疲れると風邪を引きやすくなるのは治癒力が低下 するためです。健全であるとは,真っ直ぐに育つことではなく,逸れかけても 回復力が働くことです。安定という状態は,復元力があるときに実現するもの です。置かれている状況に的確に適応できる能力が,生きる力と呼ばれている 力です。  ロケットなどの制御をする方法はサイバネティクス法と呼ばれています。舵 を取る人という意味を持つ言葉です。発端は,生物の運動の形式の観察です。     (1) 目標を定めて運動を開始     (2) 目標とのズレを調べる     (3) 狂っていたら修正をする(機敏に変化に対応する力)     (4) 再びズレを調べる(以上を繰返す) 精密な目標の決定だけが科学的方法ではありません。それは無限の計算量とな り実現不可能です。とりあえず行動しながら,ズレを修正しつつ目標に到達す る方が効率的です。それが自然の妙理であり,自然に任せて計算の省略をして いるのです。ズレを感じたら復元する,それが生物の基本的な能力です。  人間の場合には,人体の情報は全てが共有されて機能しています。ですから, 歯が痛くても行動全てに影響が出てきます。一見不便なようですが,だからこ そ全身全霊を打ち込んだ高度な行動が可能になっていると言えます。子どもの 育ちは,立てるようになるのではなく,転ばないようになることです。できる ようになるのではなく,間違えないようになることです。だから,たくさん間 違えておかないと,育てないのです。 ○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○ ★子育ち12態★         【お子さんの失敗体験を許していますか?】                             《V22:HOW-01》 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇  〜こんなこと・あんなこと〜  道理。叱られたから腹いせに火をつけたという中学生が現れました。背景と なった事情もありますが,行動が短絡的すぎます。プロセスの把握が弱い,つ まり物事のつながりが狭くしか認識されていません。原因と結果とはつながっ ているものと認識する力が幼稚です。例えば,試験の結果に対して「当たった! ハズレタ!」で済ませる子どもがいます。自分のどこに弱点があるのかを見つ けること,それこそが育ちなのですが,目を逸らしています。間違いが折角見 えているのに!  少年野球。スポーツ活動をしている子どもの場合,例えば,野球の上手・下 手という判定だけが幅を利かせています。落ちこぼれたら救えないという状況 です。昔の草野球チームでは,野球以外のこと,グラウンド整備,マネージャ ー,場所取り,相手との交渉など,スルコトが豊かであり,その中で役割が持 てていました。仲間で有り得たのです。今は野球以外のことは大人が取上げ, 子どもにさせていません。多少失敗するでしょうが,任せてやらないと,子ど もは育てません。  不器用。最大の原因は,コントロール能力を養う動作や作業が絶対的な経験 不足になっていることです。例えば,上手に転ぶ,木を削る,買物など,かつ ては日常生活の中で自然に体験していました。今子どもは生活から隔離されて いるので,不器用に追い込まれています。コップの水をこぼさずに運ぶ,その ことに必要なのは力ではなく,筋力のコントロール能力です。失敗経験に修正 を加えながら,運動神経は身につき,神経系が学習の記憶をしていきます。  失敗の報酬。優等生よりも落第生のほうが人間として厚みや面白みがあるの はなぜでしょう? 成功は人間の表側を飾るに過ぎませんが,失敗は人間の内 面を豊かにするようです。自然は人間の成長のために失敗を用意してくれたの でしょう。人間が動物より優れているのは,人は失敗によって学びますが,動 物は偶然の成功しか当てにできないからです。勉強のできる子どもとは,間違 いをきちんとフォローできる子どもです。 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞  〜ママへのメッセージ〜  悩み。相談にいくほとんどの生徒は,「行動しないでの悩み」,「努力すれ ば解決できる問題での悩み」といった状況です。それは経験豊かな大人から見 た判断であり,当の生徒にはやはり相当な悩みです。そんなことぐらいでと軽 くあしらうのではなく,しっかりと受け止めることで信頼関係を結びます。そ の上で,もつれているように見える状況に対して,その成行き(道理)を具体 的にきちんと整理し刺激してやります。「やれるかも?」という気にさせるこ とで,悩みは半減します。  失敗の転換。「あなただめねえ」,つい軽く言ってしまいそうです。でも, 使わないでください。子どもをだめにします。ちょっと考えれば分かることで すね。そこで,「次,できればいいんだ。もう一度やってごらん」,「おしか ったわね。もうちょっとだったのに。もういっぺんやってごらん」という言葉 を口癖にしてください。「こうするんでしょ!」と教え込むのではなく,子ど も自身が「こうしよう」と考えるように,子どもを慰め,励ましていくことが 子育てですから。  頑張れ。この言葉も,子どもの尻を叩くようによく言いますね。でも頑張る って,どうすればいいのでしょう? 具体的には,やりかけていることを「ち ょっとだけ」続けることです。一気に成功しなくてもいいんです。小さな挑戦 を見極め,失敗を許すようにします。失敗して多少の迷惑があるような場合で も,親が引き受けてやります。ちょっとならできる,それが意欲であり,それ を引き出すキーワードがガンバレという応援です。60点を65点にするのだ ったら,できそうでしょ!               ・・・《子育ちは 行きつ戻りつ 少しずつ》 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞ ☆次号予告☆       【お子さんの成功体験を喜んでいますか?】                           どうぞお楽しみに! □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ ★編集後記★  子育てにもマニュアルがあればいいですね。何か新しいことを始めようとす るとき,まず本を買って来ることから始めることが普通になっています。しば らくすると,本を読んだからといってできるものではないことに気付かされま す。本の通りにはことが進まないからです。経験との突き合わせをしながら, 自分流のマニュアルに書き換える必要があります。かつては,人は自分の経験 をノートに記録していました。手で行動(出力)することで,学びが進むこと を知っていたからです。 □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ ●タイトル:『子育て羅針盤』 [Kosodaterasinban] ●発行期日:毎週月曜日正午(2000年09月25日より) ●発行責任:モリのクマさん(詳細はHP「徒然窓」〜プロフィールに)   「徒然窓」= http://www5a.biglobe.ne.jp/~mbear    ・・・・・・「掲示板」もご相談などにご利用下さい。・・・・・・ ●掲載記事の著作権は筆者に有り、筆者の許可なく複製・再配信等を行う  ことはできません。事前に下記アドレスまでメールのご一報を下さい。 ■《講演》のご依頼は,メールで気軽にお問い合わせ下さい。 ※著者へのメッセージ: mori-bear@mvd.biglobe.ne.jp ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇ ●配信の協力を頂いている発行支援システム ◆インターネットの本屋さん『まぐまぐ』= http://www.mag2.com/   登録・解除= http://rap.tegami.com/mag2/m/0000046251.htm ◆メルマ***『melma!』= http://www.melma.com/   登録・解除= http://www.melma.com/mag/37/m00019737/ ◆無料メルマガ発行サービス『メルマガ天国』= http://melten.com/   登録・解除= http://melten.com/m/2166.html ◆よりすぐりメルマガサイト『めろんぱん』= http://www.melonpan.net/   登録・解除= http://www.melonpan.net/mag.php?005885 ※解除される方は,登録された配信先の解除手続きをして下さい。 ○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○