□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ [2006/05/22]            【子 育 て 羅 針 盤】                              (第294号) □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ ■子育て一言メモ■              『兄弟仲良く?』  こんな問題がありました。牛乳ビンとコップが一つあります。兄弟が二人い て,半分にして飲むにはどうしたらいいのでしょうか? 解答は「兄がどちら でも良いと思うだけコップに注ぎ,ビンとコップのどちらかを弟に選ばせる」 というものです。兄はどちらでもいいと思っているし,弟は好きな方を選んで いるので,兄弟には不満はないはずです。なるほどそういう手があったのかと 納得されましたか? クイズとしては,ここで話は終わります。  現実に即した考察は更に続きます。弟は「兄はずるいから,わざと少ない方 を取らせた?」と懐疑するかもしれません。一方,兄は「しまった.あっちの 方が多かったのでは?」と懐疑する可能性もあります。公平という点にこだわ ると,欲から生まれる不満は些細な曖昧さを種にして大きく膨らんでしまいま す。疑いの目で見れば,ほとんどのことが曖昧であることに気付かされます。 疑えばきりがないのです。  兄弟が仲良くすべきであるというこだわりを,公平さに託していると,うま くいきません。正解として紹介されていたのは,兄が「弟よ,好きなだけ飲め, でもちょっと兄ちゃんにも残して」。弟は「半分より少なめに飲む」。そして 兄は「少し残して飲む。残りは弟に」。分け合うというのは,自分の分を与え る気持ちから可能になります。お互いに取り分を少なめにするという譲り合い が,仲良くする秘訣です。取り分より与える分を加減できる兄弟に育てましょ う。 ○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○ ★子育ち12迷路★     【子どもって,どうして加減しようとしないんでしょう?】                            《V23:WHAT-02》 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇  〜こんなこと・あんなこと〜  ちょっぴり怖い話ですが,嫁は,舅,姑のどちらが先に死んで欲しいと思っ ているでしょうか? 断然,舅! どうしてかというと,舅は生活上の自立が 出来ていないからだそうです。舅は便所掃除したことがあるか? 舅は出来な い弱者? しようとしない甘えん坊? 自分に出来ることをしない,それを 「手が掛かる」と言います。自分には関係ない,どうして私がしなければ,そ んな風に自分の役割を減じていると,存在価値も減じられていくようです。  カード破産。人並みにモノを持たないことに耐えられない? ついつい無計 画になるといった自己管理能力の欠落が見受けられます。生活とは細々したこ との処理を重ねることであり,それを金で処理,サービスを有料で購おうとし ます。作らないから,ものの価値が不明となり,「有難さ」意識を持てません。 自分でできる力を外注で済ませば,いくら金があっても足りないはず? 金勘 定の前に,自分のできる力を加減することが先でしょう。  精密さ。工学の世界では,「いかなる製品や部品も,それを作る機械よりも 精密ではあり得ない」ということが言われます。乱暴な言い方ですが,「いか なる子どもも,それを育てる家庭よりも良品ではあり得ない」ということにな るでしょうか? もちろん機械と人は違います。しかし,育ちに環境の質が影 響することは認められます。与えすぎる環境は,加減を手抜きした環境であり, 子どもも加減ができないように育てられていきます。  知恵の方程式。知識(KNOELEDGE)+価値(VALUE)=知恵(WISDOM)。知識の大 きさ+価値の方向付け=生きる知恵。知っている,できるといった能力は,使 い道を決める価値観によって善悪に分かれていきます。能力を使うか使わない か,その加減を弁えていないと,生きることが難しくなります。例えば,子ど もの場合,大人には思いっきりぶつかってもいいですが,子ども同士の場合は 抑えなければ怪我をします。そんなつもりじゃなかった,それは加減をし忘れ ているからです。 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞  〜ママへのメッセージ〜  価値の有無。例えば,おもしろいか,出来たか,当たったか,ドキドキする かといった価値尺度があります。静けさに耐えられなくてダラダラテレビ,試 験は100点か否かといった尺度も登場します。「…ない」というのは否定的 な価値でしょうか? ないのが普通と考えることも大事です。して貰わないこ とが当り前だと思っていれば,して貰ったときに感謝できます。味のないお米 だから,飽きられず主食になります。無を否定したら,加減ができなくなりま す。  いい加減。フェアプレイとはいい加減であることです。例えば,小遣いの値 上げをしつこく言ってきたら,「いい加減にしなさい」。宿題をいい加減にし ていると,「いい加減にするな」。意味があちこちとふらついています。校則 は細々と取締っていますが,いい加減にしないから,自律の精神が育てなくな っています。自由と自律はワンセットであり,そこで最も必要なことは加減す る力です。こうでなければと硬直したとき,加減を失い,不自由さにとらわれ ます。  尺度の一元化。損得を優先したり,権利義務論で正当化しようとする傾向が 過剰になっています。例えば,なぜ私が手伝いをしなければ?という些末な疑 問を生み出します。また,勉強だけしていれば良い,余計なことはしなくて良 いといった所払いも横行しています。育ちとは生きることを目標にしているの に,一元化した尺度を使うせいで,生きることから隔離されています。これで は生きる喜びが涸れてしまいます。勉強時間が減っても手伝い時間を増やせば, 加減の帳尻は合うはずです。                ・・・《子育ちは 力の加減 身につけて》 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞ ☆次号予告☆     【子どもって,どうして待つことができないんでしょう?】                           どうぞお楽しみに! □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ ★編集後記★  自由と豊かさ。豊かさは精神の自由を引出します。そこから「する自由」が 膨らんでいきます。貧しさは「する自由」を奪います。ところで,若者は管理 された社会の中で,意識の自由の幅が狭まっています。今,何をしてもしよう がない,まあいいさという曖昧な状況に追い込まれ,不自由さを託っています。 結果として,「しない自由」が蔓延してきました。ニートというのもその例で す。人は豊かさの中でよりも,貧しさの中でこそ生きる力が発揮できるように なっているのでしょうか? □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ ●タイトル:『子育て羅針盤』 [Kosodaterasinban] ●発行期日:毎週月曜日正午(2000年09月25日より) ●発行責任:モリのクマさん(詳細はHP「徒然窓」〜プロフィールに)   「徒然窓」= http://www5a.biglobe.ne.jp/~mbear    ・・・・・・「掲示板」もご相談などにご利用下さい。・・・・・・ ●掲載記事の著作権は筆者に有り、筆者の許可なく複製・再配信等を行う  ことはできません。事前に下記アドレスまでメールのご一報を下さい。 ■《講演》のご依頼は,メールで気軽にお問い合わせ下さい。 ※著者へのメッセージ: mori-bear@mvd.biglobe.ne.jp ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇ ●配信の協力を頂いている発行支援システム ◆インターネットの本屋さん『まぐまぐ』= http://www.mag2.com/   登録・解除= http://rap.tegami.com/mag2/m/0000046251.htm ◆メルマ***『melma!』= http://www.melma.com/   登録・解除= http://www.melma.com/mag/37/m00019737/ ◆無料メルマガ発行サービス『メルマガ天国』= http://melten.com/   登録・解除= http://melten.com/m/2166.html ◆よりすぐりメルマガサイト『めろんぱん』= http://www.melonpan.net/   登録・解除= http://www.melonpan.net/mag.php?005885 ※解除される方は,登録された配信先の解除手続きをして下さい。 ○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○