□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ [2006/06/05]            【子 育 て 羅 針 盤】                              (第296号) □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ ■子育て一言メモ■               『足し算?』  曽野綾子さんが足し算の幸福について書いています。「私の出発点はいつも ゼロから出発する。ゼロから見ればわずかな救いもないよりは遥かにましであ る。私のは足し算の幸福であり,いつも自分の不幸を嘆いている人がいるとす れば,それは引き算の不幸のように私は思う。どちらがいいとかわるいとかい うことではないが」。こうでなければと思うのではなく,そう思えば気持ちが 落ち着くこともありますという提案です。  ものは考えようです。観点を変えると,結果は逆になります。特に人の気持 ちは,考え方でどうにでも変わるものです。例えば,うちの子はどうしてこう なんだろうと見ていると,子どもなんかいない方がいいと思ってしまいます。 赤ちゃんで何もできなかった子どもがここまでできるようになったと見てやれ ば,しっかりと育っているということが分かり,明日が楽しみになります。0 点から5点,10点,30点,65点,80点・・・。前向きの気持ちになる ことができます。  上を見ればきりがない。人は自分のことをまわりとの比較で見る癖がありま す。いわゆる相対評価です。そこからは競争の視点が引き出され,勝敗という 結果が突きつけられます。競争原理はやる気を引き出すためには有効なことで すが,それは限定された範囲で機能するものです。子育ての場合,育ちの競争 をしてしまうことは全く意味のないことです。育ちは個人的なペースがあり, また先はとても長いので,競争とは異質なものです。育ちとは絶対評価すべき ことなのです。 ○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○ ★子育ち12迷路★     【子どもって,どうして気持ちが安定しないんでしょう?】                             《V23:WHY-02》 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇  〜こんなこと・あんなこと〜  FORMAT教育。パソコンでは時にフォーマットをすることがあります。 そんなやり方を全く無意識に子どもにも適用してしまう過ちが見受けられます。 例えば,指導する場合に,次から次に「これこれは覚えておかねば」とインス トールしようとします。記憶させればすぐに機能するものとして,ハードディ スクのように思われていたら,子どもはたまりません。生きている子どもは機 械扱いされると,追い込まれていき,気持ちがついて行けなくなります。  横並び社会。子どもたちは年齢ごとにまとめて育てられています。似たもの 同士ですから,たくさんの子どもを一様に扱えるという教育上の便法です。と ころが,それが生活の中心になると,お互いの小さな違いを穿り出そうとしま す。子どもでも同じは嫌という気持ちを持っているからです。些細な違いを取 り上げるのは,ほとんど言いがかりになり,いじめとなっていきます。気持ち がピリピリして,落ち着かなくなります。  保育園でのお話しです。自閉症の子が入園し,よくなって卒園しました。先 生は教育者として生き甲斐を感じました。全盲の子が入園してきました。どう しても直りません。自閉症の子を直すのが教育なら,目の見えない子の目を見 えるようにするのが教育? 教育とは,目の見えないままで幸福にしてあげる ことではないかと気付きました。教育は人格改造? そう思いこんでいないで しょうか? 子どものありのままを否定すれば,子どもは救われません。  エリートたちがなぜオウムに? そんな疑問が議論されたことがありました。 優等生は完全性を求めます。理屈に合わない現実の方が間違っていると錯覚し ます。自らの思考に懐疑性を持ち得ないために,超能力のうさん臭さにも鈍感 になります。実証的な考察が生き方にまで染み込んでいません。中途半端な優 等生です。自分の足元である現実を実感できなくて否定するようになると,不 安な気持ちにとらわれ,虚ろな概念にすがるしかなくなっていきます。 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞  〜ママへのメッセージ〜  弱さ,そのものはマイナス価値ではありません。弱さに逃避する甘え,弱さ を否定する自惚れ,弱さを拒否する自棄,いろんな形があり,それぞれ望まし くないものとなっています。いきおい,弱さは持たないほうがいいということ になっていきます。しかし,本当のところは,弱さを自覚することが明日への 希望を芽生えさせます。また,自分の弱さを自覚できていれば,他人の弱さも 認めることができて,人へ優しくなれます。弱くてもいいという安心が育ちの 出発点です。  叱咤。子どもはいつも叱られていると感じています。例えば,「こんな成績 では高校・大学に行けない!」と追いつめられます。先を考えて,「ダメ,コ ーセヨ」と言い続けるのは,ただ先に駆り立てられることであり,疲れるだけ です。何をやってもダメ出しでは,嫌気がさして当然です。可能性とは,目の 前の一歩として今できることをすればいいということです。今が見えていれば 気持ちは充実してくるものです。将来を見て進もうとするから,足元が覚束な くなる不安が出てきます。  携帯電話。片時も携帯電話の画面から目を離すことができないのでしょう。 歩きながら,自転車を転がしながら,片手と目は釘付けです。メールが届いた ら,サッサとスグに返信しないと拙いという強迫観念があると聞きます。人が 機械のペースに合わせて生きているのが普通になったせいで,人のペースがズ タズタになっています。育ちは人そのものが持つ生理と,ゆったりとした触れ 合いがマッチして進展するものです。生きる力の基盤が何か,じっくりと考え てみましょう。                 ・・・《子育ちは 弱い自分を 慈しみ》 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞ ☆次号予告☆     【子どもって,どうして諦めることをしないんでしょう?】                           どうぞお楽しみに! □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ ★編集後記★  子どもたちの歩く姿勢に目を向けてください。肩をすぼめ,靴を引きずるよ うにドテッとした感じではありませんか? 食べる姿勢はというと,片肘をテ ーブルに突いて,どんぶりに顔を突っ込んで犬食いなんてことはないでしょう ね? そんな姿は誰かに支配されている奴隷のものです。作法の権威である必 要はありませんが,美しさという概念が,持ち物や装いに限定されてしまって いるような気がします。美しい振舞いをこそ真剣に見てやりましょう。 □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ ●タイトル:『子育て羅針盤』 [Kosodaterasinban] ●発行期日:毎週月曜日正午(2000年09月25日より) ●発行責任:モリのクマさん(詳細はHP「徒然窓」〜プロフィールに)   「徒然窓」= http://www5a.biglobe.ne.jp/~mbear    ・・・・・・「掲示板」もご相談などにご利用下さい。・・・・・・ ●掲載記事の著作権は筆者に有り、筆者の許可なく複製・再配信等を行う  ことはできません。事前に下記アドレスまでメールのご一報を下さい。 ■《講演》のご依頼は,メールで気軽にお問い合わせ下さい。 ※著者へのメッセージ: mori-bear@mvd.biglobe.ne.jp ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇ ●配信の協力を頂いている発行支援システム ◆インターネットの本屋さん『まぐまぐ』= http://www.mag2.com/   登録・解除= http://rap.tegami.com/mag2/m/0000046251.htm ◆メルマ***『melma!』= http://www.melma.com/   登録・解除= http://www.melma.com/mag/37/m00019737/ ◆無料メルマガ発行サービス『メルマガ天国』= http://melten.com/   登録・解除= http://melten.com/m/2166.html ◆よりすぐりメルマガサイト『めろんぱん』= http://www.melonpan.net/   登録・解除= http://www.melonpan.net/mag.php?005885 ※解除される方は,登録された配信先の解除手続きをして下さい。 ○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○