□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ [2006/06/19]            【子 育 て 羅 針 盤】                              (第298号) □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ ■子育て一言メモ■              『教育の原点?』  身体にいいからと,緑黄色野菜を食卓に並べても,子どもの手は伸びてくれ ません。教室の机でも同じことが起こります。将来必ず必要になるからと大事 な知識を教えようとしても,目や耳を素通りするだけでどうにもしようがあり ません。覚えなさいといっても,その気がなければ無駄になります。教室でど れほどの知識が残滓として捨てられていくことでしょう。おもしろい情報に溢 れている中で,子どものメモリーは目一杯で満腹状態なのです。お菓子腹では 食事は進みません。  教える手管として,小さな驚き,新鮮な発見,それを与え続けることが勧め られます。「小さな驚き,新鮮な発見があれば,生徒の目は縦になり表情豊か に授業に食らいついてきます」と言われる先生もおられます。ペスタロッチは, 「例えば……と話を進められますか?」と先生に問いかけています。その際に 注意することがあります。東京ドームの三倍といったマスコミがよく使う例え 方は,ドームを見たことがなければ通用しないということです。  虹が出ていると生徒が教えてくれたとき,何と答えるでしょう? 三流の教 師は「もう消えかかっているだろう」,二流の教師は「七色はどうして出るの か知っているかな?」,一流の教師は「美しい虹はね,急な雨で濡らしてゴメ ンという,空のお詫びの印」。雨上がりというありふれた経験と結びつけて, 虹を身近なものと感じさせたら,虹のことをもっと知りたいと思うようになり ます。教育はよい例題,経験とリンクできる例題によります。 ○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○ ★子育ち12迷路★     【子どもって,どうしてしっかりと考えないんでしょう?】                             《V23:HOW-02》 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇  〜こんなこと・あんなこと〜  思考のオーバーラン。回転ドアにはさまれて子どもが亡くなる事故がありま した。回転部分は事故防止のために軽くしておくのが本質であるのに,見かけ をよくするためにドア部分にステンレスを張り,その重さからモーターが回転 部分に移設されて,さらに重くなったせいでブレーキが利きにくくなったこと が原因だったそうです。細部にこだわることで,本質的なポイントをないがし ろにしがちであることは,日頃経験することでもあり,気をつけたいことです。  要素還元主義。考える方法として,アリストテレスはアナリシス(分析)を, プラトンはアナロジー(類比)を使いました。デカルトは方法序説の中で, 「問題はできるだけ多くの小さい部分に分けて,単純で認識しやすい要素を見 いだすこと」と勧めています。その流れが学問の専門分野や業種の分業となっ てきました。そこで現れてきたのが縦割りの弊害ということです。融通が利か ないという不都合さの解消には,総合する力が必要です。スペシャリストより ゼネラリストが求められています。  教育の弱点。創造性の弱さは定説になっています。創造性は核心を掴む力の 発露です。教わるという受け身の立場にいる癖がつくと,創造性には届きませ ん。自分でとことん考え抜くプロセスがあってこそ,創造への扉の前に立つこ とができます。言われたとおりにするお勉強では,気付きというインスピレー ションが育ちません。「そうか!」という理解の経験を積み重ねることが物事 の本質を引き寄せる力になります。時間を掛けても自分で考えるという癖をつ けてやりましょう。  生活実践。自分で考えるのはどんなときでしょうか? 今しなければいけな いことに直面するときです。生活実践の場面では,できないとか無いとか言っ て投げ出すわけにはいきません。取りあえず何とか成し遂げなければなりませ ん。しっかりと考えざるを得ないのです。例えば,食パンを買いに行くお手伝 いで,食パンがなかったと帰るわけにはいきません。別のお店に行くとか別の パンを買うとか,考えます。自分でなんとかする,そういう局面が考える体験 につながります。 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞  〜ママへのメッセージ〜  忠告。あなたのために。親が持ち出す切り札です。ところで,友だちに対し て忠告してあげているつもりということがあります。 相手の立場になって みれば,そういう行動しか取れないときに,「こうした方がいい」と言うのは, 相手を批判したことになります。批判されたと感じさせたら,折角の忠告が届 かなくなります。心理学者のオルポートは,「ある友人を本当に理解するとは, その人の将来を理解することである」と言っています。子どもが考えたことを 先ず理解することです。  横並び。人は逆向き(向い合わせ)に教えても覚えません。横に並んで「こ うする」と動いて見せると,すぐに覚えてくれます。宿題を見るときも,横に 並んで座ります。ソファで向い合わせになると緊張感が出てきます。教室で教 壇を挟んで向き合っているから,覚えづらくなります。後ろ姿で教えるとは, 同じ向きになる所に意味があります。一緒に考えているという姿勢をとるよう にしてください。頭ごなしは考えさせないということです。  次善策。最善を尽くせと檄が飛びます。ところで,伴侶のことをベターハー フといいます。ベストハーフではありません。ベストであろうとすれば疲れま すし,相手にベストを求めると破綻します。ちょっとだけ良ければいいのです。 いろんな問題に出会うとき,間違ったときがチャンスです。少しでも解こうと するプロセスで新しい方法を発見することができるからです。いきなり最善の 解答を求めるから,考えることが重荷になります。次善を重ねていけば,最善 はやってくるものです。                ・・・《子育ちは 今できること 考えて》 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞ ☆次号予告☆     【子どもって,どうしてこんなにも愛おしいんでしょう?】                           どうぞお楽しみに! □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ ★編集後記★  情報化社会。情報が公開されるということは,個人の責任を要求する社会に なってきたということです。自己責任を課すために情報公開が必要なのです。 人のせいにしていては生きられないのです。大事なことは,溢れる情報から生 きる上で必要な情報を選び取る力です。バラエティやゲームの情報に詳しくて も,自己責任とは無縁であり,実社会では爪弾きされます。教えてくれなかっ たから知らなかったでは済まなくなっているのです。自分で考えるべき社会と は,きついですね。 □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ ●タイトル:『子育て羅針盤』 [Kosodaterasinban] ●発行期日:毎週月曜日正午(2000年09月25日より) ●発行責任:モリのクマさん(詳細はHP「徒然窓」〜プロフィールに)   「徒然窓」= http://www5a.biglobe.ne.jp/~mbear    ・・・・・・「掲示板」もご相談などにご利用下さい。・・・・・・ ●掲載記事の著作権は筆者に有り、筆者の許可なく複製・再配信等を行う  ことはできません。事前に下記アドレスまでメールのご一報を下さい。 ■《講演》のご依頼は,メールで気軽にお問い合わせ下さい。 ※著者へのメッセージ: mori-bear@mvd.biglobe.ne.jp ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇ ●配信の協力を頂いている発行支援システム ◆インターネットの本屋さん『まぐまぐ』= http://www.mag2.com/   登録・解除= http://rap.tegami.com/mag2/m/0000046251.htm ◆メルマ***『melma!』= http://www.melma.com/   登録・解除= http://www.melma.com/mag/37/m00019737/ ◆無料メルマガ発行サービス『メルマガ天国』= http://melten.com/   登録・解除= http://melten.com/m/2166.html ◆よりすぐりメルマガサイト『めろんぱん』= http://www.melonpan.net/   登録・解除= http://www.melonpan.net/mag.php?005885 ※解除される方は,登録された配信先の解除手続きをして下さい。 ○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○