□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ [2006/07/03]            【子 育 て 羅 針 盤】                              (第300号) □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ ■子育て一言メモ■             『我思う,故に我あり!』  哲学的に有名な言葉ですが,要するに「私があれこれ考えるから,私がいる」 ということを言った人がいました。古い言葉を持ち出したのには訳があります。 最近の青少年が起こす犯罪は訳が分からなくなっています。何かがおかしくなっ ていると感じるのは親ばかりではありません。どうもここ十数年の子育てがど こかで間違っていたのではないかと思われ,その手がかりをつかみたいと考え ているからです。順を追ってお話ししていきます。  話材としてはあまり目にしたくない言葉ですがしばらく我慢していただいて, 「自殺」という言葉を取り上げます。自分を殺すというのですから,殺人です。 犯人がいるはずです。犯人は誰でしょう? 犯人は「もう一人の自分」です。 自分が自分を殺すのです。「お前は生きていてもいいこと無いよ」と引導を渡 すのは,「もう一人の自分」です。もちろん,死んではいけないと止めるのも, もう一人の自分です。  冒頭の言葉は,「もう一人の自分がいるから,自分という者がいる」と言い 換えることができます。このような観点から,「誰が育つのか?」という第一 の問に対して,「もう一人の子どもが育つ」と答えることにします。育つのは 子どもと漠然と考えてしまうと,子どもが見えなくなります。自信とは,もう 一人の自分が自分を信じることです。自虐とは自分をもう一人の自分が虐げる ことです。もう一人の子どもを育てていると自覚することから,この子育て羅 針盤は始まります。 ○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○ ★子育ち12モード★     【あなたのお子さんは,自分の考えを主張していますか?】                             《V24:WHO-01》 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇  〜親離れの意味は?〜  ママが子どもを思う気持ちはひとしおでしょう。健やかな成長を願ってしつ けにも一所懸命です。あれはダメ,これはしなさいと,指図することがたくさ んあります。幼いうちは必要なことですが,いつまでも続けるわけにはいきま せん。「もう一人の子ども」を育てなければなりません。  ママが思うようには子どもはできません。「こんなこともできないの」とけ なします。子どもは意気消沈して途中で止めます。「なぜ止める!」と追い打 ちをかけます。子どもはどうしてよいか分からなくなります。こんなことが度 重なると,子どもは母親の顔色をうかがうようになります。「お母さんがイカ ンと言う」,「お母さんに怒られる」と言い始め,「自分の好きなこと」より, 「母親が好むこと」をしなければとしつけられます。  母親という背後霊が子どもに取り憑いてあれこれ指図ばかりしていると,依 頼心の強い子どもに育ちます。母親がもう一人の子どもにすり替わって,育ち を邪魔しています。親離れとは,「もう一人の子ども」を登場させ,育ちを促 すことなのです。子どもを育てようとするのではなく,もう一人の子どもが育 つのを気長に支えることなのです。具体的には,子どものことはもう一人の子 どもに任せましょう。もう一人の子どもがどうしたらいいのか考えて決めるよ うにし向けてください。  ・・・指導と干渉の違いは,もう一人の子どもの決定権の有無です。  「ママの言うことを聞いていればいいの!」 それは干渉です。決めている のがママだからです。「こうしたらいいよ」,「そうしてみる」。それが指導 です。決めているのが,もう一人の子どもだからです。もし子どもが「そうし ない」と決めても,無理強いはよくありません。それは干渉になるからです。 指導とはまどろっこしいものです。手を換え品を換え,根気よく付き合うこと が大事です。もちろん,わがままを主張する場合は論外であり,毅然としたマ マの決定が必要です。 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞  〜ママへのメッセージ〜  ※子どもの可能性を引き出すのは誰?  子育てが子どもの可能性を引き出す営みであることはよく知られています。 ところが大事なことが案外と見落とされています。それは誰が可能性を引き出 すのかという点です。なんとなく親や先生が可能性を引き出してあげるんだと 思っていますが,それは思い違いです。子どもの可能性を引き出すのは,もう 一人の子どもなのです。自分のことは自分でするという言い方がありますが, もう一人の自分がそこにいるのです。  子どもたちの望みは「ゆっくりしたいこと」という調査がありました。口癖 は「疲れた」です。ちょっと何かをさせてもすぐに疲れます。親ははがゆい思 いで尻を叩きます。なぜ疲れるのでしょうか? それは「させられること」だ からです。しなければならないと追い立てられるからです。人に言われてする ことは疲れるものです。では疲れないときはどんなときでしょう。「もう一人 の自分」がしようとするときです。しなければならない授業は疲れ,したいと 思ってする遊び時間は疲れません。親はあまりにさせようとし過ぎていません か? 遊びが大切だという意味は,もう一人の子どもを目覚めさせるからです。  子どもは甘える生き物です。我慢や忍耐が苦手です。我慢しなさいと命じて 我慢させます。無理矢理ですから,何とか逃げ口上をひねり出そうともがきま す。しまいには親は自分のことを分かってくれないと邪推しかねません。「我 慢しようね」ともう一人の子どもに伝えるように語りましょう。言われてする のではなく,もう一人の自分が我慢しようと決めるようにし向けるのです。忍 耐力が無いというのはもう一人の自分が育っていないからです。  自立とは自分が立つと書きますが,立たせるのはもう一人の自分です。きつ いな,イヤだな,こわいな,面倒だなという自分の思いを,もう一人の自分が できることはやってみようと決めて,自分の可能性を引き出すことが育ちです。 自分を信頼できるようになることが自信をもつということです。自分が信じら れなくて自信は持ち得ません。自分を生かそうともう一人の自分が懸命に考え るように,親がほめて手助けをしてやることが育てることです。                 ・・・《子育ちは 自分が自分 導いて》 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞ ☆次号予告☆     【あなたのお子さんは,他者の目で自分を見ていますか?】                           どうぞお楽しみに! □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ ★編集後記★  若者は自分に合った職を探そうとしています。経験の浅い自分に奥の深い社 会を合わせようとしているように見えます。洋服を誂えるのと同じように簡単 に考えています。自分の考えがそのまま世間に通用すると見くびっています。 自分を社会に合わせることをしないと,社会参加の扉は開きません。同じこと が人間関係にも及んでいます。自分の考えに添うように人を変えることができ ると思っています。変えることができるのは自分自身でしかありません。社会 力の低下の根源は,裸の王様に育ってしまった自分に気付いていないところに あります。もう一人の子どもに自分を見る均衡の取れた目を育ててやることが 次の課題になります。 □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ ●タイトル:『子育て羅針盤』 [Kosodaterasinban] ●発行期日:毎週月曜日正午(2000年09月25日より) ●発行責任:モリのクマさん(詳細はHP「徒然窓」〜プロフィールに)   「徒然窓」= http://www5a.biglobe.ne.jp/~mbear    ・・・・・・「掲示板」もご相談などにご利用下さい。・・・・・・ ●掲載記事の著作権は筆者に有り、筆者の許可なく複製・再配信等を行う  ことはできません。事前に下記アドレスまでメールのご一報を下さい。 ■《講演》のご依頼は,メールで気軽にお問い合わせ下さい。 ※著者へのメッセージ: mori-bear@mvd.biglobe.ne.jp ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇ ●配信の協力を頂いている発行支援システム ◆インターネットの本屋さん『まぐまぐ』= http://www.mag2.com/   登録・解除= http://rap.tegami.com/mag2/m/0000046251.htm ◆メルマ***『melma!』= http://www.melma.com/   登録・解除= http://www.melma.com/mag/37/m00019737/ ◆無料メルマガ発行サービス『メルマガ天国』= http://melten.com/   登録・解除= http://melten.com/m/2166.html ◆よりすぐりメルマガサイト『めろんぱん』= http://www.melonpan.net/   登録・解除= http://www.melonpan.net/mag.php?005885 ※解除される方は,登録された配信先の解除手続きをして下さい。 ○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○