□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ [2006/07/24]            【子 育 て 羅 針 盤】                              (第303号) □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ ■子育て一言メモ■            『天国は母親の足元にある!』  忙しい家庭の中で,手の掛からない子どもが育っていきます。親にはいい子 かもしれませんが,子どもはどうでしょう。いつの間にか自分なんか「いても いなくてもいい」のではないかと思うかもしれません。一人ぽつんとなんとな く生きていると思ったなら,自分は何なんだろうという「不安」が脹らんでき ます。自分の存在性を維持しようと,嫌われないように気配りして暮すように なります。いつも防衛的ですから緊張・ストレスの連続で,やがて心身をすり 減らします。  子どもよりパパが重症なのかもしれません。男の子が帰宅しましたが,母と 姉は不在で,父が新聞を読んでいます。男の子は「誰もいないのか!」とつぶ やきました。パパは存在感を取り戻そうと,ある日小さなお菓子を10個買っ てきました。夫婦が2個ずつ,子ども2人は3個ずつという心づもりでした。 おやつの時間になり,パパが自分の皿を見ると1個です。ママと子どもたちは それぞれ3個でした。似たようなことは茶飯事です。子どもはポケモン,パパ はノケモンという寂しさです。  「あなたは勉強さえしていればいいの」と,生活から隔離されているような 状態です。家族がそれぞれ自分だけの暮らしをしているクールな関係です。か つて流行した「パラサイトシングル(実家に寄生している独身若者)」は,こ のような関係の行き着く先でしたが,それでも少しは自立していました。最近 はニートやフリーターにまで進行し,生活を丸ごと依存しています。ちょっと 気配りのできる子どもであれば,自分だけが遊んでいるようで落ち着かないこ とでしょう。  家庭で「自分のことは自分で」というしつけだけを厳しくし過ぎると,家族 であって家族ではないような「いてもいい」という不安定で曖昧な存在に追い つめてしまう危険性があります。家庭の雑事を「うるさい用事」と思うように 育てられた子どもは,生きる実感を与えてくれる日々の家庭生活から逃げるよ うになり,自立に向かう道から逸れていきます。家族であるとは,生活上に持 ちつ持たれつの相互関係がなければなりません。子どもも家族として受け入れ てください。  冒頭の言葉は,10世紀のイスラム苦行僧の諺です。母親の後ろ姿に家族で あることの形を見届けて育てば,家族が生きるという心構えを自然に身につけ ていきます。それはこうあるべきであるという頭の理解ではなく,体感という しつけです。人が幸せを感じる居場所はここにあると感じることができたら, 子どもにとって天国は母親の足元にあると心に刷り込まれていきます。幸せの 種まきを忘れないでください。 ○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○ ★子育ち12モード★     【あなたのお子さんは,家族との信頼関係がありますか?】                            《V24:WHERE-02》 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇  〜いなくてはならない人?〜  子どもは甘えることから育ちはじめます。十分に甘えさせてやりますが,い つまでも甘えん坊で依存していては困ります。そこで甘えを止めさせようとす るしつけをします。依存しないことが自立することであると思われています。 ある面では確かにそうなのですが,別の面では思いこみという誤解もあります。 自立という言葉の本意は迷惑を掛けないようにすることではなくて,何か役に 立つことをすることでなければ筋が通りません。  パパは自分が会社でも家庭でも「いなくてはならない人物」であることに張 り合いを持っています。病に倒れて見舞いを受けるとき,「早くよくなって出 てきてもらわないと皆が困っています」と言われればご機嫌がよいのですが, 「後のことは皆でちゃんとやっていますから,どうぞゆっくり養生してくださ い」とでも言われたら落ち込むことでしょう。自分がいなくてもいいと引導を 渡されるのですから,つらいのは当然です。必要とされていることが自立の証 だからです。  桃太郎のチームリーダーとしての手腕を見てみましょう。犬は猿とは犬猿の 仲です。ところがどちらも桃太郎の家来として協力しています。どうしてでし ょうか。犬は桃太郎と,猿も桃太郎とキビ団子契約でつながりました。犬と猿 はそれぞれ桃太郎に協力するという形でつながっています。チームとしてのポ ジションを与えられ役割を担っています。共同体の中で責任ある役割があると いう信頼関係が,存在感を実感させてくれます。ケンカをする必要など失せて しまいます。  共同体ではお互いに役割を担う自覚が大切です。言い換えれば,相手の役割 に共に依存してもいいということです。お互い様なのです。忙しいママはお使 いや手伝いなど,子どもに依存する,つまり頼ればいいのです。頼られればそ れに応える,それができたとき共同社会の中で自立したことになります。必要 とされている,頼られている,いなくてはならない人と思われている,それが 気持ちを「安定」させ生きている充実感をもたらしてくれます。  ・・・分担と手伝いの違いは,責任を負う覚悟の有無です。  手伝いはすればありがたがられますが,しなくても責められることはありま せん。した方がいいという程度のものです。一方で,分担はしなければ全体が 滞ることになり責めを負うことになります。それだけに頼りにされ方の重みが 違い,やり甲斐もあります。子どもには手伝いから入らせて,「ありがとう, 助かったよ」という感謝の言葉でやる気を育ててやりましょう。「ボクに,ワ タシに,任せておいて」と言うようになれば,任せましょう。 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞  〜ママへのメッセージ〜  ※いて欲しい人!  社会的な関係が必要な場合には,いなくてはならない人と自覚できていれば 十分でしょう。しかしながら,人間関係としては,まだまだ十分ではありませ ん。例えば会社勤めでは定年を迎えて役に立たなくなったらあっさりとお払い 箱です。パパの名刺から肩書き役割が消えてしまったら,たださみしくなるだ けではなく,自分の存在感までもが失せていくように感じられるはずです。亭 主元気で留守がいい,それは家族であることを厭われている冗談ばかりではあ りません。  4歳の男の子がオネショをするようになりました。妹が誕生してまもなくの ことです。ママはあちこちに相談に行きますが,いっこうに止む気配はありま せん。そんなつらいある日のことです。オネショをしなかったのです。ママは 「できたね」と思いっきり男の子を抱きしめました。そのときです,「あのね, ママ。またできたらだっこしてくれる?」・・・。母親の膝を妹に奪われた寂 しさ,不安に駆られ,無意識に自分への注目を回復するためのオネショでした。  つわりのひどいママがいました。幼い女の子がいます。祖母が女の子をしば らく預かろうと申し出てくれました。でも,ママはある決意から断りました。 数日前,トイレでしゃがみ込んでいたときのことでした。苦しさの中でふっと 気が付くと,背中を小さな手が一所懸命にさすってくれていました。「この子 といっしょに産もう」と思ったからです。幼児でも大人に力を授けられます。 大したことはできなくても,いてくれるだけでいいのです。  子どもはパパが出張先から買ってきてくれるおみやげを喜びます。ところが, 数日するとおみやげは飽きられて隅に転がっていることがあります。せっかく 買ってきてやったのにと,パパはおかんむりです。でもそれでいいのです。お みやげは出張先でも子どものことを気遣っているから買って帰ります。子ども は「パパは出張していても,自分のことを気に掛けていてくれた」という証拠 として受け取っています。パパの気持ちを確認できれば,おみやげそのものは どうでもいいのです。でも,ママが傍から「子どもにばっかり」とにらんでい ることにご注意を!?  お互いに役に立たなくても,いるだけで「ほっと安心する」関係,いて欲し い人,それが家族の人間関係です。               ・・・《子育ちは ママの手伝い 楽しんで》 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞ ☆次号予告☆     【あなたのお子さんは,正しい言葉遣いをしていますか?】                           どうぞお楽しみに! □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ ★編集後記★  もしも母親から「お前さえ 生まなかったら」と言われたら,子どもは生き ることに絶望します。そこまであからさまではないにしても,ちょっとしたす れ違いが起こることがあります。ママは忙しくて子どもをかまう暇もあまりな く,自分は何をしているのかと思うことがあるかもしれません。子どもは口に は出しませんが,ママの後ろ姿にありがとうと感じています。それでもやっぱ り,ママの優しい言葉を聞きたいと耳を澄ましています。交わす言葉の大事さ が次の課題です。 □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ ●タイトル:『子育て羅針盤』 [Kosodaterasinban] ●発行期日:毎週月曜日正午(2000年09月25日より) ●発行責任:モリのクマさん(詳細はHP「徒然窓」〜プロフィールに)   「徒然窓」= http://www5a.biglobe.ne.jp/~mbear    ・・・・・・「掲示板」もご相談などにご利用下さい。・・・・・・ ●掲載記事の著作権は筆者に有り、筆者の許可なく複製・再配信等を行う  ことはできません。事前に下記アドレスまでメールのご一報を下さい。 ■《講演》のご依頼は,メールで気軽にお問い合わせ下さい。 ※著者へのメッセージ: mori-bear@mvd.biglobe.ne.jp ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇ ●配信の協力を頂いている発行支援システム ◆インターネットの本屋さん『まぐまぐ』= http://www.mag2.com/   登録・解除= http://rap.tegami.com/mag2/m/0000046251.htm ◆メルマ***『melma!』= http://www.melma.com/   登録・解除= http://www.melma.com/mag/37/m00019737/ ◆無料メルマガ発行サービス『メルマガ天国』= http://melten.com/   登録・解除= http://melten.com/m/2166.html ◆よりすぐりメルマガサイト『めろんぱん』= http://www.melonpan.net/   登録・解除= http://www.melonpan.net/mag.php?005885 ※解除される方は,登録された配信先の解除手続きをして下さい。 ○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○