□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ [2006/09/04]            【子 育 て 羅 針 盤】                              (第309号) □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ ■子育て一言メモ■         『過去にこだわるものは,未来を失う!』  親は子どもに期待を寄せます。そのことは自然な気持ちです。ところが,期 待に添わないと「ダメな子」と突き放すことがあります。子どもにすれば親の 勝手な思いこみです。でも,いわゆるいい子であれば,その期待にこたえよう と親の顔色をうかがいながら意識しないまま自分を曲げていきます。無理は積 み上がりやがて力尽きて本当にダメになりかねません。期待にこたえるという ことが励みになるか苦痛になるか,その加減は難しいものです。  人の育ちは決して一直線ではありません。親がなんとなく想定しているよう なレールはありません。親の心は「子どもに苦労の少ない道を選ばせたい」と いうものですが,どんな道を選んでも苦労のない道はありません。親は子ども の将来を見通せるほどの神通力は持っていないでしょう。例えば今流行の職種 は今のことであり,明日には別のものが現れるはずです。つまり,今を目指し たら,子どもが育った明日には過去になっています。柔らかな期待が大切です。  期待は「将来のために今子どもはこうあるべき」という形をとります。それ がママのあせりを生み,「早く,さっさと,きちんと,ちゃんと」と畳みかけ るようになります。赤ちゃんにはとても優しいママだったのに,育ち上がって くると声が一オクターブ跳ね上がり,しつけのための声変わりをします。落ち 着いてくださいね。育ちはゆっくり進みます。スイッチを押したらすぐに反応 する機器とはできが違うのです。期待とは,期して待つと書きます。  子どもは親の期待につぶされないように自衛行動をとります。おなじみの 「メーカー希望小売価格をズバリ半額」というわけです。そのとき親は子ども を見放したくなります。その時がチャンスです。期待を「ありたい」と考える ようにすれば,将来の可能性をプラスに評価できます。今がダメなのではなく, 明日にはできるようになれるかもしれないと待つことです。その方がわくわく しませんか? 親の愛とは無条件に子どものあるがままを愛するのであり,あ るべき姿ではありません。  冒頭の言葉はイギリスの首相であったチャーチルに拠ります。ママの得意技 は「あなたはいつでもそうだから!」と過ぎたことをいつまでも持ち出してく る記憶力のよさです。それを言って反省させようというつもりかもしれません が,あまり効果はありません。言われた子どもには,これから先に対する励ま しが感じられないからです。逆にあの頃は良かった,そう言いながら年齢を重 ねていては先が楽しくありません。育ちを支える積極性とは未来志向から生ま れます。 ○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○ ★子育ち12モード★     【あなたのお子さんは,明日を楽しみにできていますか?】                             《V24:WHY-02》 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇  〜明日に向かう目標?〜  子どもは人生の始まりにいますから,時の流れは未体験で実感できません。 弟妹がいれば育ちがわずかに見えますが,少子化では無理です。ましてやお父 さんに子ども時代があったという育ちの長い時間など,思いも及ばないでしょ う。おばあちゃんがいればお父さんの子ども時代のことを話してやれますから, なんとなく時間の流れが想像できるようになります。子どもに親のアルバムを 見せてやることも役に立つでしょう。  縦集団が身近にあると1年先,数年先,10年先と,自分の明日がイメージ できます。今日と明日は決して同じではなくて,人は育っているのだというこ とが目に見えてくるはずです。子どもの映像を記録に残しているなら,ときど き子ども自身に成長を振り返らせてやってください。育ったという実感が与え られることでしょう。昔は柱の傷が成長の証でしたが,柱に刻んだ意味はいつ でも育ちが目に付くようにということだったのです。  今の子どもは「早く大人になりたい」と思っているでしょうか? それが育 ちの意欲なのですが,子どもたちからは伝わってきません。育ちの意欲を持つ ためにはどうすればいいのか考えましょう。二つの条件があります。「実現可 能性」と「魅力あるモデル」です。実現可能性とは,そのうちにきっと自分も なれるという見通しを持てることです。すぐには無理ですが時が経てばやがて 実現するはずと思えることです。お父さんも昔は子どもだったんだと納得でき たらいいでしょう。  魅力のあるモデルとは,親や周りの年長者の中に見つかる「〇〇みたいにな りたい」という人です。特に親は子どもにとっては,将来の自分です。生き生 きとしている親の姿を見せられたらいいのですが,疲れ果てて苦労ばっかりと 嘆く姿ばかりを見せていたら,子どもを大人になりたくないとしつけているよ うなものです。外で働く親の姿を見せることができたらぜひそうしてください。 また地域で活躍する姿も良い後ろ姿になることでしょう。向き合うのではなく, 共に前向きになりましょう。  ・・・期待と強制との違いは,育ちへの信頼感の有無です。  鉄は熱いうちに打て。いささか乱暴なことわざですが,スパルタ教育という 育て方に通じます。甘やかしたらダメになるという不信感が根底にあります。 確かに一理はありますが,それはどちらかといえば非常時における過激な教育 です。現在のような穏やかな時代に育っている子どもには通用しません。また 核家族の中でしか信頼関係がないといった支えのか細くなっている今の子ども たちには,信頼に基づいた子育てがふさわしいのです。 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞  〜ママへのメッセージ〜  ※また明日!  毎日子育てにがんばっているパパやママは,日々幸せですか? 忙しくてそ んなのんびりしたことなど考えたこともないとは言わないで下さい。簡単な幸 せチェックがありますのでお教えしましょう。夜お休みになるときに「明日の 朝,起きるのが楽しみな方」は幸せな人です。もしも,「やれやれやっと一日 が終わった。寝るだけが楽しみ」と思っていたら,不幸ではありませんが幸せ ではないでしょう。  どなたも明日は明日でしなければならないことがいっぱい控えていることで しょう。明日の朝が楽しみなどとは考えられないと思います。しかし,小さい ことでもしたいことを見つけられたら,明日が楽しみになるはずです。それを 見つけることが幸せの扉の鍵になります。子どもは学校に行かなければならな いと思っています。それでも友達と遊ぶ時間といった楽しみがあれば,我慢で きます。放課後に自分の好きなことができる時間があれば,それを待つことに よって一日を楽しく過ごせます。  お母さんに作ってもらったお弁当をナフキンで包んで持っていきます。とこ ろがママがよく見るとナフキンが裏返しです。男の子は裏表に頓着しないのだ ろうと見過ごしていました。その後もママが見ているといつも裏返しです。わ ざと裏返しにしている風なので「裏返しでしょ!」と注意しました。子どもは 怪訝な顔をしています。「どうして裏返しにするの?」。「お弁当を開いたと き,きれいだから」。楽しみを見つけていたのです。  明日になったらこれができるようになるかもしれないと,成長を楽しみにす れば毎日が楽しみになります。大人になって風呂で幸せになっているときは, 成長という楽しみを失っているときです。死ぬまで自分を成長させようとする 意欲が見えないと,幸せは逃げていくでしょう。子育てをしているときは,親 としての成長をしているときで,明日が楽しみになるはずです。それが子ども からの親への贈り物なのです。              ・・・《子育ちは 楽しみ見つけ 追いかけて》 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞ ☆次号予告☆     【あなたのお子さんは,小さな失敗を経験していますか?】                           どうぞお楽しみに! □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ ★編集後記★  最近,子どもの学力に経済的な格差が反映していると言われています。どこ まで確かな関連があるのか分かりませんが,あまり気にする必要は無いと思い ます。考えられることは,子どもたちが「お金のかかる環境が整っていなけれ ば勉強できない」と,簡単に見限る傾向があるということです。環境がどうで あれ,明日に向かう目標を意識して継続することが大事です。環境はただ継続 を促すために機能しているにすぎません。続けることの再認識が次の課題にな ります。 □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ ●タイトル:『子育て羅針盤』 [Kosodaterasinban] ●発行期日:毎週月曜日正午(2000年09月25日より) ●発行責任:モリのクマさん(詳細はHP「徒然窓」〜プロフィールに)   「徒然窓」= http://www5a.biglobe.ne.jp/~mbear    ・・・・・・「掲示板」もご相談などにご利用下さい。・・・・・・ ●掲載記事の著作権は筆者に有り、筆者の許可なく複製・再配信等を行う  ことはできません。事前に下記アドレスまでメールのご一報を下さい。 ■《講演》のご依頼は,メールで気軽にお問い合わせ下さい。 ※著者へのメッセージ: mori-bear@mvd.biglobe.ne.jp ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇ ●配信の協力を頂いている発行支援システム ◆インターネットの本屋さん『まぐまぐ』= http://www.mag2.com/   登録・解除= http://rap.tegami.com/mag2/m/0000046251.htm ◆メルマ***『melma!』= http://www.melma.com/   登録・解除= http://www.melma.com/mag/37/m00019737/ ◆無料メルマガ発行サービス『メルマガ天国』= http://melten.com/   登録・解除= http://melten.com/m/2166.html ◆よりすぐりメルマガサイト『めろんぱん』= http://www.melonpan.net/   登録・解除= http://www.melonpan.net/mag.php?005885 ※解除される方は,登録された配信先の解除手続きをして下さい。 ○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○