『子育ちは 力で招く 支合わせを』

■子育ち12試問■
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『子育ち第8試問』
【お子さんは,力を生かそうと努めていますか?】
《まえがき(毎号掲載)》
子育て羅針盤では,こどもの育ちを6つの方向と2つの領域から考察します。6つの方向とは,「誰が,どこで,いつ,何が,なぜ,どのように育つのか」という5W1Hの問題視座です。また,2つの領域とは,「自分の育ち(私の育ち)」と「他者と関わる自分の育ち(私たちの育ち)という育ち」の領域を表します。6つの方向にそれぞれ2つの領域を重ねた12の論点が「子育て羅針盤」の基本的な考察の構成となります。
この第101版では,子ども自身や親が育ちの確認をしていくときに,状況を分析するキーワードとなる12の試問を選んで育ちを検討していくことにします。その構成は,奇数号では「私の育ち」を,偶数号では「私たちの育ち」という配置をします。私の育ちだけに意識が向くと,私たちという社会性に基づく仕合わせな育ちが疎かになります。あちらこちらで人のつながりに欠陥が見られる現状は,私たちという育ちから得られる「私たち」という意識が未熟だからです。そのことに注目して,羅針盤を手元に設定していただくようにお願いいたします。
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《「力を生かす」ということについて説明が必要ですね!》
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○美しい言葉には刺があるかもしれません?
アリガトウは最も美しい日本語だと言われています。だから,アリガトウと言える子どもは素直ないい子なのです。しかし,この言葉は美しいが故に棘を潜めています。その棘は「受け取る(テイク)」ときの言葉だということです。
子どもは親や周りの大人からあれこれ世話を受けて育ちます。その都度「アリガトウ」の言葉をしつけられ,素直に育ちます。あれこれ欲しいものが出てきても,ただおねだりするだけで待っていることしかできません。やがてテイクできる獲物を親以外に探すようになります。テイクすることしか知らないので,店や他人から取ろうとします。そうすればアリガトウと言えるからです。
かつて,豊かさが実感できないという言い方がされたことがあります。欲しいものはおよそ手に入って,これ以上欲しいものがないのに,豊かである実感がわかないということのようでした。ものの豊かさは受け取る豊かさ,アリガトウという豊かさです。テイクには際限がないから当然です。大人も子どももアリガトウに縛られている世情は不健全です。
・・・アリガトウは,テイクするときの言葉です。
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○ものの豊かさより,心の豊かさに!
人間関係は二人の人から成ります。アリガトウは待っている言葉ですから,関係が作れません。いきなりアリガトウはあり得ません。知らない他人が行き会ったとき,ドウゾと譲る人がいるから,アリガトウと関係が成立します。ギブアンドテイクを思い出してください。「ギブするときドウゾ」と言い,「テイクするときアリガトウ」となります。
英語でプリーズとは,相手を喜ばせるという意味があります。ドウゾと相手に与えることが先です。これが表社会のルールなのです。自分ができることを相手にドウゾと提供すること,それが「力を生かす」ということです。繰り返しますが,テイクするために用いられる力は,闇の力です。
子どもには,アリガトウとドウゾをセットにして教え,ドウゾが先なんだとしつけなければなりません。ドウゾと言える子は非行と無縁になります。本当にいい子とは,ドウゾが使える子どもです。ドウゾという言葉は,優しく思いやりのある子どもにしつける魔法の言葉です。同時に,人に向けて自分から働きかけることができますから,自発性や積極性にもつながっていきます。
ものの豊かさがアリガトウの豊かさなら,心の豊かさはドウゾの豊かさです。イギリスには「牛乳を飲む人よりも,届ける人が健康になる」という俚諺があるそうです。人にドウゾと行動することが,ひいては自分の幸せへの道になります。どちらの豊かさがお望みですか?
・・・ドウゾが表社会のキーワードだと思い出しましょう。
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○ドウゾのしつけは?
子どもにドウゾをしつけることは難しくありません。ドウゾという立場に置いてやればいいのです。そのために,親や大人がアリガトウの立場にいて,子どものドウゾをひたすら待てばいいのです。子どもがタマにでも手伝ってくれたら,そのときを逃さず,「アリガトウ」と笑顔で言ってやるのです。
非行に落ち込んだ子どもは,親から「アリガトウ」と言ってもらったことがないと語ります。大人がアリガトウと言えば,子どもは自然にドウゾと言えて,その喜びを体験できます。ママが喜んでくれたということほど,子どもをやる気にさせることはありません。
注意してほしいのは,親が「しなさい」と命じてさせたら,アリガトウと言えないことです。アリガトウは待つ言葉であることを忘れないでください。子どもが持っている力を「ママに向けて使って!」と,受け取り手になってあげることが大切です。それが基本的な「生きた力」の発揮法だからです。
・・・親がアリガトウと言うことが,子どもへのドウゾのしつけです。
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《力を生かすとは,ドウゾと引き出されているかということです》
○親は保護者として子どもにドウゾという立場にいます。そのことが,子どもをアリガトウしか言えない子どもに育てます。親が子どもに手伝ってもらうようにし向けて,アリガトウと育てれば,子どもは本当にいい子に育つはずです。昔はそうやって育てていたのですから,できないはずはありません。
【質問8:あなたのお子さんは,力を生かそうとしていますか?】
●答は?・・・もちろん「イエス」ですね!?
子どもは年齢が一つ上でも,できることに差があります。お兄ちゃんやお姉ちゃんと同じにしたいのですが,できない自分に気付かされます。そこに,育ちへの意欲が湧き上がってくるはずです。一人でいると,できる自分しか見えないので,育ちについて何も感じなくなってしまいます。駄目な自分ではなく,今の自分を知るということが大事なのです。
★落書き★
丸々とした姿からブタは肥満のように思われていますが,食用のブタでも体脂肪率は14〜18%程度だそうです。厚生労働省が「普通」とする体脂肪率は,男性が15〜20%,女性が20〜25%です。ブタは太っているどころか,女性で言えばモデル級の体脂肪率なのです。ブタと言われたら,喜んでいいようです(笑)。