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「第 50-08 章」 |
『子育ちは 同じ思いの 友がいて』
■子育ち12心能■
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『子育ち第8心能』
【共感心能】
《まえがき》
ハーバード大学のハワード・ガードナーが多重知能という概念を提唱しています。脳の研究によって,ある部分は視覚に,ある部分は聴覚に,ある部分は情動に関係しているというように脳の機能が分かってきたことを受けて提唱されました。提唱された多重知能とは,言語的知能,論理数学的知能,音楽的知能,身体運動的知能,空間的知能,博物的知能,対人的知能,内省的知能の8つです。
これらは学校教育の中で教科として成り立っていて,国語,数学,音楽,体育,図工,理科に対応しています。ところで,最後の方の対人的知能と内省的知能というのは教科として存在しません。この2つ,すなわち,人と人との間の関わりに関する知能と,自分自身の中を見つめる知能が,サロベイ,メイヤー,ゴールマンが提唱している情動知能(Emotional Intelligence)に当たります。
この版では,情動知能に基づく研究の結果を参考にさせていただき,羅針盤らしくまとめてお届けします。子育て羅針盤12章では,奇数章で自分自身に関する「私の育ち」(→内省的知能),偶数章で人との関わりである「私たちの育ち」(→対人的知能)を考えていますので,構成が偶然にも一致しているということが幸いしています。
心能という言葉は,この版のために創り出した造語です。情動知能が心の知能とも呼ばれているというところから,心能と略して使っています。造語ですので,世間では通用しないことをご留意ください。
《想像力》
情報社会になって使われなくなった力として,想像する力があります。特に映像情報が溢れていますので,文字からイメージを作り上げる想像という経験が失われています。想像は細部が曖昧である分,変幻自在です。だから余裕があります。人の言葉や姿から思いを想像するとき,「こうではないかな」と大まかに捉えています。次の段階で見直しができて確かめることができると,「そうなんだ」と共感に至るのです。子どもたちが想像をせずに,思い込みをしていることが気になります。
○お子さんは,友達が喜ぶことをしてあげようとしていますか?
人付き合いの原則があります。自分がされて嫌なことは,人に向かってしないこと。これは銀の道徳律です。自分がされてうれしいことを,人に向かってすること。これは金の道徳律です。英語のプリーズという言葉は,相手を喜ばせるという意味があります。日本語では「どうぞ」です。「ありがとう」と感謝することは大切ですが,ありがとうはして貰うときに言う言葉です。してあげるときの言葉が「どうぞ」になります。どうぞが先にあって,ありがとうがくっついてきます。この順序をきっちりと自覚させて下さい。
○お子さんは,どうすれば友達に喜んでもらえるかを考えていますか?
自分なら喜ぶということが,友達に喜んでもらえるとは限りません。また,折角の行為がかえってありがた迷惑ということもあるでしょう。喜ばせることを思い込んでいると,押しつけがましくなります。友達の立場や状況を想像して,とき,ところ,ものなどを友達に合わせることが大切です。例えば,プレゼントをあげるとき,包装のこと,タイミング,添える言葉など,相手の反応を想像しています。相手のことを想像しているから,その関わりが独りよがりではなく共感的になるのです。
○お子さんは,困っている友達がいたら,どうしたのか聞いてあげようとしていますか?
困っているときに寄り添うから,友達です。このことは,友達であるかどうかの試金石と誰もが考えています。困っている様子に気付いたら,困っている理由を想像するでしょう。しかし,想像しても確定できないので,「どうしたの」と尋ねるしかありません。もしかしたら,何かしてあげられることがあるかもしれない,そう想像するのが友情です。心配事は分かち合うことで,楽になります。友達は一緒に荷物を担いでやりたいという相棒なのです。
子どもが思い詰めて命を絶とうとするとき,「この先,生きていてもいいことはない」と思い込んでいるようです。また,「死ぬことは怖くない,今の苦しみから逃れることができるから」と,感じているようです。どちらにも無いのが,明るい明日,未来です。逆のことを考えてみましょう。「明日の朝,起きるのが楽しみな人は幸せです」。明日に期待があるとき,人は幸せであり,生きていく気力が湧きあがってくるものです。些細な期待でもいい,明日の可能性を想像できるようにしていたいですね。
★落書き★
遊んでいた子どもが,テレビのCMがはじまると,食い入るように見ています。子どもはCMが好きだと思われます。なぜなのでしょう。想像してみます。番組が中断すると,一瞬の間があります。すぐ後にCMの音が流れてきます。子どもの敏感な耳がこの変化に反応します。CMの最初の音は,衝撃音など,音量も大きめなので,なおさらです。子どもがじっと見つめているので,大人もチャンネルを切り替えにくく,つい見てしまいます。スポンサーのねらい通りです。
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