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「第 53-09 章」 |
『子育ちは 今の自分を 励まして』
■子育ち12幸福■
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『子育ち第9幸福』
【小さなきっかけで新しい世界が開ける】
《まえがき》
この子育て羅針盤では,子どもの育ちを6つの視点と2つの領域から理解することを目指しています。6つの視点とは,誰が育つのか,どこで育つのか,いつ育つのか,何が育つのか,なぜ育つのか,どのように育つのかという問に沿うものです。また,2つの領域とは,自分自身の育ち(私の育ち)と他者と関わる自分の育ち(私たちの育ち)という育ちの領域を想定しています。6つの視点にそれぞれ2つの領域を重ねると,12の論点が生じます。これが羅針盤の方位構成となります。
この版では,子どもたちが幸せに向かって育っていくことを願って,タイトルとして「アランの幸福論」に語られている言葉を選択し,子育て羅針盤の視点で考えてみることにします。
《幸福であるために》
こうありたい,こうなって欲しいという欲望や夢があります。そうであれば幸せですが,自分の力不足,個人としての限界などにより,実現されないことが普通です。自分の思い通りに事は運ばないもの,そういう言葉が経験豊かな年寄りから聞かされます。しかし,その悟りをしているように見えて,○○詐欺にのせられてしまう高齢者も後を絶ちません。欲望というのは貴重な経験知を脇に置く力があるようです。思い通りに事が運ぶ機会もわずかながらあると信じている束の間が幸せですが,それは発表までの宝くじの幸せです。
全くの運任せにすがって,自らは何の努力もしないのでは,不幸を嘆くことになるでしょう。それはもう一人の自分が自分を信じていないからです。幸福であるためには,もう一人の自分が自分を信じて前向きに歩んでいくことが必要です。そのためには,強い自分ではなく,弱い自分を自覚しなければなりません。弱いからこそ努力ができるからです。強いと思い上がっていると,努力をする気にはなりません。頑張っている姿を見ると,誰しもさわやかな気持ちになり応援したくなるものです。自分を応援できることが幸福なのです。
《幸福になるために》
人生という大きなことではなくても,日々の暮らしの中で,道に迷うことがあります。どっちに行けばいいのかということが分からなくて,立ち往生するときがあります。二つのことが解決しなければなりません。一つは歩みを進める方角を見定める地図です。目標が何処にあるかを見通す大きな視野です。目の前ばかり見ていては,いわゆる先を見通すことができないので,堂々巡りをすることになります。立ち止まるということは,したいこと,ありたい姿などを具体的に思い描く時間を取るためなのです。迷いこそよいきっかけです。
もう一つのことは,地図を見る上で必須の現在地を確認することです。地図があっても現在地が分からなければ,役に立ちません。迷ったときに,自分の今の立ち位置を明らかにすれば,目標に歩み出すことができます。現在地,それは今の自分,今の弱い自分を知ることです。今の実力を弁えて,とりあえず自分にできることをしようとする,その思い切りのきっかけをつかめばいいのです。頑張ろう,やるぞ,オー,といった掛け声,そんなきっかけ作りもあります。小さなきっかけ,それは小さな自分の自覚なのです。
問題を解く際に,答を求めようとすると難しくなります。答のことは置いておいて,とりあえず自分の力でできることをしていくという姿勢で臨めば,自然に答にたどり着いていきます。小さなできることを一つ一つ積み重ねていく,その歩みは着実です。日々の積み重ねがないように見えて,1年前の子どもと今日の子どもは違っています。アルバムを開いて,しっかりと育っている地道な歩みを子どもに気付かせてください。突然に1年分育つのではないのです。写真を撮っているのは,そのためなのですよ。
★落書き★
公園や神社などの松には,寒い冬を迎えるとき,ワラが巻き付けられます。防寒対策をしていると思ってはいませんか。それにしては幹の一部にしか巻いていないので,寒さよけにならないようです。松の葉を食い荒らす害虫マツカレハの幼虫マツケムシを捕まえる仕掛けなのです。マツケムシは温かい間は葉の間にいますが,寒くなると下に降りて,枯れ葉に潜んで冬を越します。そこで,降りる途中に温かいワラを巻いて潜り込ませ,春先に燃やして一網打尽に駆除するのです。虫取りの罠なのです。
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