『子育ちは 自分のことは 自らで』
■子育ち12定義■
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『子育ち第1定義』
【子育ちは,もう一人の子どもの誕生から始まるものである】
《まえがき》
この子育て羅針盤では,子どもの育ちを6つの視点と2つの領域から理解することを目指しています。6つの視点とは,誰が育つのか,どこで育つのか,いつ育つのか,何が育つのか,なぜ育つのか,どのように育つのかという問に沿うものです。また,2つの領域とは,自分自身の育ち(私の育ち)と他者と関わる自分の育ち(私たちの育ち)という育ちの領域を想定しています。6つの視点にそれぞれ2つの領域を重ねると,12の論点が生じます。これが羅針盤の方位構成となります。
この版では,子育ち,子どもが育つということを,12の定義として体系的に表現していきます。子育ち12定義は子育ちの全体を12の視点から理解できるように組み立てられています。この12定義を理解することによって,世にあふれている子育て論のそれぞれが,どの定義に連なるものかという位置づけが納得できるはずです。
《誰が育つのか?》
物事を理解するために有効な方法は,適切な問を設けることです。自信という言葉が自分を信じることであるとして,「自分を信じるのは誰か」という問が想定できます。「自分が自分を信じる」という答えになります。信じる自分を,「もう一人の自分」と呼ぶことにします。このもう一人の自分というイメージが,他のケースでも有効であるかを確認できれば,人間理解のキーワードとして使えることになります。
我を忘れることがあります。我に返るということもあります。我を忘れるのは誰か? 我に返るのは誰か? もう一人の自分が自分を忘れ,自分を取り戻すのです。自暴自棄ということも,自分を捨てるのは,もう一人の自分であると言うことができます。自殺というのも,自分を殺すのは,もう一人の自分です。もう一人の自分は確かに存在していると考えてよいようです。そこで,次の問を想定することになります。子どもの育ちを考えるとき,もう一人の子どもはどこに現れてくるのでしょうか?
父親の出番ということが求められます。母親を補完するという意味ではありません。生まれたばかりの子どもにとって,母親は一心同体です。ところがやがて,自分の一部と思っている母親が離れていくことに気がつきます。母親が自分とは違う人と関わることが気になります。自分から母親を引き離すライバル,父親が子どもの前に現れます。母親に対する自分と父親の関係が意識されるようになります。母離れによって,自分を客観視するもう一人の子どもが誕生します。物心がつくといわれてきたことです。
父親が夫としての魅力をはっきすることが出番ですが,そのためには,父親の保証書を妻が発行しなければなりません。もう一人の子どもが,父親と自分を比べ,密着している母子以外の人間を意識させられ,自分意識が誕生します。これが育ちの始まりであり,母子間の第二の臍の緒を断つ「第二の出産」が起こります。
子どもたちの読書量が話題になるのはなぜでしょう? 読解力や言葉の豊かさという国語力を判定しているのですが,背景に大事なことがあります。読書をするとき,もう一人の子どもが主人公に同化して,疑似体験をしているということです。本を持って読んでいる自分ではなく,もう一人の自分が物語の世界に入り込んでいます。もう一人の子どもが眠りを覚ますことができるのです。日記を書くという行為も,自分を振り返っているのはもう一人の自分なのです。もう一人の自分が目覚めることで,育ちができるのです。
教育といえば授業を思い浮かべるかもしれません。少し違います。1時間の授業に対して,2時間の予習と1時間の復習が重なって1セットです。授業の前にもう一人の自分が自分の力を見計らい教わる課題を見つけておく準備がなければ,授業は効果を発揮できません。さらに,復習で定着化を図るのです。教えることは,大人が子どもに詰め込むことではなく,もう一人の子どもが子ども自身に教えることであり,任せるつもりで待つことが大事です。立場を代えて,学ぶとはもう一人の自分が自分を鍛えることなのです。
「宿題は済んだの?」,「しようと思っていたのに,言われるとしたくなくなる」。子どもも,自分のことはもう一人の自分が決めたいのです。ところが,もう一人の子どもを育てていないと,「何となく」,「皆がするから」といった形で,もう一人の子どもが決めることができません。大人が決めて指図しているからです。操り人形になっていると,もう一人の子どもはいつまでも出番を迎えられません。もう一人の子どもが決めなければならない状況を作ってやってください。育つことを決めるのはもう一人の子どもなのです。
《誰と育つのか?》
もう一人の子どもが誕生すると,人見知りをするようになります。もう一人の自分が,他者と違う自分を意識することができるからです。共同生活の場にいる家族の一員という自覚は,自分を身近な者と結び付けるもう一人の自分が育つからです。自分の幼い頃のことを何歳から思い出すことができますか? 自分を見ているはずのもう一人の自分が生まれたときからです。自分と他人の区別が付けられるのは,共同生活を営む人間関係を通した経験によります。
★落書き★
心臓が動きを止めると,大変です。でも,四六時中全くの休み無しで疲れないか心配です。腕や足は脳からの指令で動いていますが,心臓は指令無しで勝手に筋肉を収縮させて,血液を全身に送り出しています。その動きを見ると,筋肉が収縮しているとき,心臓には力が働いています。しかし,血液を送り出した後は元に戻るだけだから力を抜いた状態です。血液を送り出すときに働き,送り出したら休んでいるということになります。それでも途切れなく動くというのはたいへんです。頑張って動き続けて欲しいですね。
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