『子育ちは 皆が歓ぶ 価値探し』
■子育ち12定義■
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『子育ち第8定義』
【子育ちは,共有すべき価値を納得して選び出すものである】
《まえがき》
この子育て羅針盤では,子どもの育ちを6つの視点と2つの領域から理解することを目指しています。6つの視点とは,誰が育つのか,どこで育つのか,いつ育つのか,何が育つのか,なぜ育つのか,どのように育つのかという問に沿うものです。また,2つの領域とは,自分自身の育ち(私の育ち)と他者と関わる自分の育ち(私たちの育ち)という育ちの領域を想定しています。6つの視点にそれぞれ2つの領域を重ねると,12の論点が生じます。これが羅針盤の方位構成となります。
この版では,子育ち,子どもが育つということを,12の定義として体系的に表現していきます。子育ち12定義は子育ちの全体を12の視点から理解できるように組み立てられています。この12定義を理解することによって,世にあふれている子育て論のそれぞれが,どの定義に連なるものかという位置づけが納得できるはずです。
《何が育つのか?》
人が暮らす社会には,ルールがあります。人の嫌がることをしてはいけない,といった形でしつけられます。しかし,言葉の意味が分っていても,訳が分っていないので,効き目がありません。叱られるから守っているので,叱られないと守れません。ルールの応用ができないのです。そこで,いちいちルールを作って,叱らなければなりません。大人がルール破りをすることもあります。例えば,灰皿のあるところで喫煙を強いられると,灰皿を持ち込もうとします。ルールの条件を無効化しようとするのは,アンフェアです。
社会の第一ルールは,「信」です。信用を得て,かつ維持することは大切な社会的価値です。そのためになすべき方策は,「迷惑の最小化」+「役立ちの最大化」であり,そのことが,信頼関係における「ブレーキとアクセル」に相当します。同じように,責任を持つ=迷惑かけない+期待に応える,ということです。今時の若者が言われないとしないと言われるのは,役立ちの最大化という方策を教えられていないためです。自分の役割を果たせば迷惑をかけることはない,そこで途中下車しているのです。
アメニティという言葉があります。ラテン原語のアモエニタスは,感じのよい人が集まる所という意味です。ギリシャ類語でのアメイノンは美しい人格となります。ところで,感じのよい人とは,どういう人をいうのでしょう? 人を無理矢理に類別すると,「いない方がよい人」,「いてもいなくてもよい人」,「いた方がよい人」,「いなければならない人」,「いてほしい人」。いなければならない人は,時折押しつけがましいので,いない方がいい人に格下げになります。
人の評価をするときに,言われる言葉があります。「よくできる人」とは,仕事がバリバリこなせる職業人=専門家に冠せられ,余計なことはしない人,私のことを主に考える人というイメージがあります。一方で,「よくできた人」とは,温かな社会人であり,私たちという視点を持つ人のイメージがあります。よくできる人は,いなければならない人。よくできた人は,いて欲しい人。感じのよい人は?
社会の目標について,整理しておきます。目的ではありません。社会が目指している理想とは,「自由,平等,博愛」であり,人間個人は自由,人間関係は平等,人間社会は博愛という階層になっています。もちろん,その背景には,「抑圧,格差,残酷」という現実があるからであり,目標に向かう努力として,「秩序,公正,規則」という方策を活用しようとしています。何となく自由や平等を目的と錯覚しているから,自由を手に入れても虚しさを託ちます。目的は「幸せ」になることなのです。幸せとは,仕合わせと書くことに気付きましょう。
《何故育つのか?》
いい子に育ってほしい。子どもの育ちに関わる者の願いです。その願いを過度に意識すると,やぶ蛇になります。「いい子になりなさい」としつけようとすると,「いい子・悪い子」を峻別し,子どもを差別して見るようになります。いい子でない子は悪い子に貶められます。似たようなこととして,期待される人間像という言い方があります。それは一方で,期待されない人間像を生み出してしまいます。子どもたちの心に,この世に生きている値打ちがないと宣告するような場合も起こり得ます。要注意です。
★落書き★
朝食にパンを食べるというご家庭もあるでしょう。ところで,食パンというのは,どういう意味でしょう。パンは食べるものですから,わざわざ食べるパンというのはおかしな言い方です。お菓子パンではなく,食事用パンということだと何となく思っているかもしれません。かつて,絵画の木炭デッサンをするとき,消しゴムを使うと固すぎて,用紙が傷むので,パンを消しゴムとして使っていました。これを消しパンと言ったのですが,食べる方は消しパンではないと,わざわざ「食パン」と区別したのだそうです。
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