『子育ちは あなたと共に 生きていく』
■子育ち12能力■
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『子育ち第4能力』
【子育ちは,共存を願って信頼することができることである】
《まえがき》
この子育て羅針盤では,子どもの育ちを6つの視点と2つの領域から理解することを目指しています。6つの視点とは,誰が育つのか,どこで育つのか,いつ育つのか,何が育つのか,なぜ育つのか,どのように育つのかという問に沿うものです。また,2つの領域とは,自分自身の育ち(私の育ち)と他者と関わる自分の育ち(私たちの育ち)という育ちの領域を想定しています。6つの視点にそれぞれ2つの領域を重ねると,12の論点が生じます。これが羅針盤の方位構成となります。
この56版では,子どもが育ちの中で獲得すべき「12のできる力」を考えます。子どもが発揮する可能性を拓いていく営みが育ちだと想定します。ここで述べていく力は,人が生きていく上で必須とされる基本的な力であり,バランス良く獲得されなければならないものです。
《信頼するのはどこでですか?》
多様な人間関係を持つことが子どもの居場所,育ちの場でした。人とのつながりといっても,知り合っている,遊び仲間といった程度では十分ではありません。深いつながりを持つことが大切です。それは共に生きていること,喜怒哀楽を共有できることです。
ある事件を起こした少女に対する家裁の書類に,「自分の欲求や感情を受け止めてくれる他者がいるという基本的な安心感が希薄だった」と記述されていたそうです。安心感の喪失が社会的に許されない行為を生み出す可能性を示唆しています。苦しいとき,寂しいときに,そばにいてくれる人がいれば,子どもは道を踏み外すことはありません。
新一年生はランドセルが借り物のようですが,数か月すると一年生らしくなってきます。自分が何者であるかを自覚するとき,社会的に認知されている立場に自分を適合させて居場所を獲得できます。
勤めるようになって,自分に合わない仕事であるという理由で辞める若者がいます。仕事に自分を合わせていくこと,求められている自分になることが社会化です。自分を生かすとは,自分を共同可能な形に育てて,他者と信頼を結んでいくことです。
お互いに相手を必要としている五分五分の関係が,人としてのつながりです。子どもは母親を必要としています。もう一人の子どもが,母親の方も子どもを必要としているということを分かると,信頼関係を持つことができます。子どもを受け止めるだけではなく,子どもに頼ってみましょう。共同する体験をしっかりと与えるようにしてください。
何かのすれ違いが生じて,父親に疎まれるようになった娘さんが拒食するようになりました。体調不良で病院で診察を受けますが悪い所は無いということで,念のために薬をもらって帰ります。よくなりません。別のお医者さんに診察を受けました。話を聞いていたお医者さんが「辛かったね!」と言いました。娘は涙を落としながら,「その一言が欲しかった!」と応えました。自分をすっぽりと受けとめてくれる人が救いになります。人とのつながりが切れると,育てなくなり,副作用として健康の害まで引き起こします。
家族には,物事を決めるときに,誰と誰が主に話すかのルールがあります。世代間連合という形で,片方の親と子どもが連合して物事を決める親子関係があります。子どもは自分の立場を見失い,もう一方の親は疎遠になっていきます。両親を心配する優しい子どもほど,親は取り込み,親の問題に入りこむようになります。
健康な家族では,親の世代が連合(両親連合)して,子ども世代と良い無関心な関係を保ちます。大事な場面だけ子どもに注意が向きます。世代間に適切な境界をおきます。けじめをつけることで,子どもは外に適応しやすくなります。親のケンカにも情緒障害を起こさなくて済みます。親世代はケンカをしても,子どもを巻き込まないことです。
あるとき,献血率と非行者率の数字を地域別に眺めたことがあります。そこに見えた特徴は,献血率の高い地域では非行者率が低い傾向があるということでした。献血は誰か他の人のために良かれと考えてする行動です。一方で,非行は誰か他人を自分の欲のために利用しようということです。共存を願う大人が多い地域では信頼という雰囲気が漂っているので,子どもも他者を大切に信じ合えるようになり,非行するものが育たないということです。
子どもたちは今,早く早くと急かされて,叱られています。命じられることが多くて,会話らしき会話をしていません。さらに直接体験も少なくなっています。一日が勉強,読書,テレビ・ネット視聴,ゲームなどの受け身の立場に身を置いています。そこでは,自分で考え,自分の言葉で話す習慣がありません。結果として,単語表現が中心で,まとまった話ができなくなっています。言葉を獲得することが育ちであることを留意してください。
★落書き★
昼食から夕食までは時間が長いので小腹が空きます。昔の時刻の数え方は,12時から2時までを9つ,2時から4時までを8つ,4時から6時までを7つと逆向きに数えていました。お腹が空いて間食をするのは,およそ3時頃です。その3時は,昔の呼び方では8つに当たります。間食をする時間が8つなので,間食のことを「お8つ(おやつ)」と呼ぶようになりました。
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