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「第 68-05 章」 |
『子育ちは 聞いた言葉が 伝わって』
■子育ち12改善■
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『子育ち第5改善』
【独話から対話へ】
《まえがき》
この子育て羅針盤では,子どもの育ちを6つの視点と2つの領域から理解することを目指しています。6つの視点とは,誰が育つのか,どこで育つのか,いつ育つのか,何が育つのか,なぜ育つのか,どのように育つのかという問に沿うものです。また,2つの領域とは,自分自身の育ち(私の育ち)と他者と関わる自分の育ち(私たちの育ち)という育ちの領域を想定しています。6つの視点にそれぞれ2つの領域を重ねると,12の論点が生じます。これが羅針盤の針路構成となります。
この第68版では,いわゆる「子育て」から「子育ち」への改善について,お伝えしようと思っています。子どもを育てよう,育てなければと願うあまりに,子どもの育ちに水を差したり邪魔をしていることになっていることに気付いてほしいのです。子育てでのしつけのつもりで叩いてしまうと,子育ちを壊す虐待になるといったことが起こらないようにしたいと願っています。決して子育てがいけないということではなく,子育ちとの上手な連携を保っていただきたいのです。
《独話から対話へ?》
最近は聞けなくなりましたが,食育という言葉が話題になったことがありました。なじみのなかった言葉ですが,この言葉によって新しい概念を獲得することができます。言葉によって知識が生まれてきました。ところで,健康への配慮は大切なことですが,もう一方の心の健康も忘れるわけにはいかないでしょう。言葉という心の糧に気配りをすることが忘れられています。毎日の何気ない食事,毎日の屈託のない言葉,その普段の心身の糧だからこそ,語育がとても大切だと再認識してください。
「片付けなさい」。子どもはしつこく言われているはずです。一度で済まないのも珍しくありません。意味が通じていないのです。言っている方は片付けるとはどうすることか分かっていますが,言われた子どもはどうすればいいのかが分かりません。具体的に何をどこに納めるのかという手順をいちいち教えてやらなければなりません。一度覚えてしまえば,次からは「片付ける」という言葉の意味が思い出されます。子どもの中に言葉の辞書を作らなければ,言葉は通じないのです。
静かな場所ということを弁えずに,大きな声を出す子どもがいます。「おとなしくしなさい」。子どもは首をかしげてきょとんとしています。「口を閉じて」という直接的な行動を指導した方が有効です。ちゃんと,きちんと,しっかりといった形容的な語句は具体的な内容を先に教えておく必要があります。どのような行動をすればいいのか,動詞で指示することから始めます。その上で,黙っている子どもに「おとなしいわね」と声をかけてやると,言葉を覚えていきます。
子どもが言葉を覚え始めてしばらくすると,口にしてはいけない汚い言葉をしきりに話す時期があります。それが人に悪感情を引き起こすことまでは思いが及んでいません。注意してもあっさりとは止めようとしません。たとえ嫌な顔をされても,相手の反応が面白いからです。自分の言葉が相手に何かしらの影響を及ぼすという言葉の力を目の当たりにして感動しているのです。でもその感動は母親からの嫌な反応という形で,修正されなければなりません。禁句として封印されていきます。
子どもの目線に。子どもと向き合う姿勢について語られます。大きな親から見下ろされて言われる言葉は,子どもには重く響きます。何か言われても,何か分からないことがあります。言った方は分かっていますが,言われた方は分かりません。「分かったわね」と念を押されても,分からないと答えるとさらに何か言われそうなので,「うん」と生返事をします。親の独話であり,対話になっていないのです。子どもに分かるように話す,そのために子どもの目線に下がることが大事なのです。
フランスでは子どもたちの筆記具として,鉛筆と消しゴムは使わないで,万年筆を使うそうです。間違えて消すときは,線引きです。どのように間違えたかを残すためです。先生は,子ども毎に間違えたところがどこかを知ることができて,的確に修正することができるからということです。日本のように間違いを消して書き直してしまうと,子どもの考えている筋道が見えなくなります。間違えているところは,子どもにとって今現在の最も大事な成長点なのです。
★落書き★
お寺にお参りしたときや,お盆で帰省して仏壇にお参りするとき,手と手を合わせます。お釈迦様の時代から伝わるインドの礼法です。両の手のひらと指をまっすぐに伸ばし,ずれや隙間がないようにぴったり合わせるのが正式だそうです。インドでは,右手を清浄,左手を不浄とし,この両方を合わせることによって2つが高められ,真実の心があらわれると考えられています。そう言われると,手を合わせるとき,気持ちが落ち着いて穏やかになるような気がします。
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