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「第 76-04 章」 |
『子育ちは 育ち合いして 生き合いで』
■子育ち12動心■
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『子育ち第4動心』
【他を慈しむ!】
《まえがき》
この子育て羅針盤では,子どもの育ちを6つの視点と2つの領域から理解することを目指しています。6つの視点とは,誰が育つのか,どこで育つのか,いつ育つのか,何が育つのか,なぜ育つのか,どのように育つのかという問に沿うものです。また,2つの領域とは,自分自身の育ち(私の育ち)と他者と関わる自分の育ち(私たちの育ち)という育ちの領域を想定しています。6つの視点にそれぞれ2つの領域を重ねると,12の論点が生じます。これが羅針盤の針路構成となります。
この第76版では,第75版の続編として,「子育ち」をしている子どもたちが育ちに向けて心を動かそうとしている言葉に寄り添って考えてみようと思っています。育ちたいという切なる衝動を12の指標になぞらえてみることで,子どもたちにしっかりと寄り添うことができるはずです。それによって,子育てをしている大人の願いも子どもにきちんと伝わっていくことでしょう。子どもが思わず向かっていかざるを得ないと心を震わす新たな12の指標盤を楽しんでください。
《他を慈しむ!》
赤ちゃんが見せる笑顔に,つい引き込まれます。周りに居る人に自分への関心を持たせようとしているようです。どうすれば自分を構ってくれるか,生きていく本能がさせています。笑顔という相手が悦ぶメッセージを出して,自分との良好な関係をつくり出していきます。ぶすっとしていては,関係を創り出すことはできません。他者と良い関係を持とうとすると,自然に他を慈しむ基盤が培われます。笑顔が結ぶ関係の中で,人との温かな結びつきを経験し,他者と共に生きている世界を受け入れていきます。
育ちの居場所が家庭なら,人として生きていく居場所が地域から広がっていく社会です。周りに居る人たちを大切な人であると感じると,挨拶を交わしてお互いを認め,力を出し合って良い環境を生み出し,生きる居場所を豊かなものにしていくことができます。もしも社会性という面での育ちが不完全になると,他者を自分が生きる上で利用していい人,若しくは邪魔になる人と思い違いをしてしまって,自分が生きる居場所を縮めてしまいます。人を慈しむから,皆が居場所を作ってくれるのです。
子どもが「他を慈しむ」という動心を実現できるためには,親としてどのように関わっていけばいいのでしょう。親が生きている居場所を支える人たちとの関係を見せることです。ご近所との笑顔の付き合いを見せてください。面従腹背,笑顔で話して,別れたら陰で悪口を言ったりすることは御法度です。もちろん,世の中には警戒する必要がある人間関係もあります。その備えを忘れてはいけません。子どもの人間関係を親が見守っていることが必要です。そこが子どもの生きる居場所だからです。
令和の時代ですので,和算を復習しましょう。男の子3人と女の子2人を足すと? 電信柱3本とマッチ棒2本を足したら? 5人は男の子ですか女の子ですか? 5本とは足せないですね。違ったものは足せません。5人は男でも女でもない、同じ子どもとして足せたのです。電信柱とマッチ棒は同じになりません。ミカン3個とリンゴ2個の足し算では,果物として同じだから果物が5個となります。和とは「同じ」であるという条件があります。和やかとは,同じ思いがあるからです。違いを言い立てず,同じを見つけると仲良くなれます。
★落書き★
子どもがどこで聞きかじってきたのか,ませた口をきくことがあります。ちょこざいなと,受けていませんか。漢字では,猪口才と書きます。猪口は,「ちょく」といって,口が広く底のすぼまった小さな容器で,やがて小型の杯を指しました。小さな杯程度の才能を小生意気と思ったとき,猪口才と言うようになったということです。子どもが大人を試そうとしているのではなく,覚えたことがちゃんと通じるのかを確認しているだけです。無碍に一蹴するのではなく,一旦きちんと受け止めた上で,直すべきは直してやってください。
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