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「第 76-13 章」 |
『子育ちは 違いの前に 等しさを』
■子育ち12動心■
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『子育ち第13動心』
【自他を等しく!】
《まえがき》
この子育て羅針盤では,子どもの育ちを6つの視点と2つの領域から理解することを目指しています。6つの視点とは,誰が育つのか,どこで育つのか,いつ育つのか,何が育つのか,なぜ育つのか,どのように育つのかという問に沿うものです。また,2つの領域とは,自分自身の育ち(私の育ち)と他者と関わる自分の育ち(私たちの育ち)という育ちの領域を想定しています。6つの視点にそれぞれ2つの領域を重ねると,12の論点が生じます。これが羅針盤の針路構成となります。
この第76版では,第75版の続編として,「子育ち」をしている子どもたちが育ちに向けて心を動かそうとしている言葉に寄り添って考えてみようと思っています。育ちたいという切なる衝動を12の指標になぞらえてみることで,子どもたちにしっかりと寄り添うことができるはずです。それによって,子育てをしている大人の願いも子どもにきちんと伝わっていくことでしょう。子どもが思わず向かっていかざるを得ないと心を震わす新たな12の指標盤を楽しんでください。
《自他を等しく!》
秋の空に輝く星たちは,都会ではたくさん見えませんが,田舎に行くと満天の星といった夜空です。今見ている星の光は,北極星では430年前に出てきた光です。何世代も前の祖先が生きていたときに北極星を出た光が,今目に届いていると思うと,人の命の短さを思い知ります。光が走っている宇宙という広がりに比べると,星を見上げている自分たち人間は,どれほどちっぽけなものなのかと感じます。自分と他人とがガタピシしていることが,とても小さくつまらないものと思われます。同じ小さな存在同士,そういう経験は大切です。
今子どもたちは,保育園や学校で同年齢の付き合いしか経験しません。それでは互いの違いばかりが目について,ストレスを感じるために,いじめで解消しようとします。親や先生ではない大人との日常的な付き合いがあれば,大人の世界という大きな未知の世界を感じて,自分たち子どもはお互いに小さな存在として同じであると納得させられます。自分と周りの友だちは同じじゃないか,その感覚が今の子どもだけではなく親世代にもないのではと気がかりです。人のタテのつながりを面倒と断ち切ったために,自分を見失ったようです。
子どもが「自他を等しく」という動心を実現できるためには,親としてどのように関わっていけばいいのでしょう。子どもの前では大人としてのすごい姿を見せつけてやります。地域の活動で子どもたちの前に大人たちの本物の姿を見えるようにします。大人だけで裏で準備してという事ではなく,子どもを巻き込んでしまうことです。お父さんたちはすごい,ぼくたちもがんばろうと,子どもの気持ちが同じ子ども同士だからとまとまるように仕向けます。不謹慎なたとえですが,五十円玉が十円玉をバカにしていても,千円札の前では同じ小銭だという感覚です。
かわいい子には旅をさせよと言われていました。旅をすると,あらゆることについて違いに出会います。違いを知ることで,同じであることを再発見することができます。トランプのハートのキングとクイーンが違っていても,ダイヤのクイーンが現れると,同じハートというつながりに気がつきます。地域の家庭の付き合いの中で,子どもは子ども同士で同じであるけど,家族という面ではそれぞれに親子として同じという感覚を掴むことができます。さらには,高校野球大会では,同郷の学校を応援するというつながり意識も大切です。
★落書き★
子どもは興味に動かされて,普通でないことを仕出かします。大人はいたずらをしていると勘違いすることがあります。咎めると,子どもはあれこれ口実を持ち出さざるをえなくなります。この実は満ちるという意味で,口の中が満ちるということから,人の言葉やその言い方を意味しました。ところで言葉には,実体が伴わないものが多いところから,やがて言い訳や言いがかりの材料を意味するようになったということです。言葉は使う人によって真偽の表裏があるので,注意しなければなりません。
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