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「第 86-10 章」 | 4
『子育ちは 今日をいっぱい 生き抜いて』
■子育ち12正負■
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『子育ち第10正負』
【今ここに全力投球する!】
《まえがき(毎号掲載)》
子育て羅針盤では,子どもの育ちを6つの方向と2つの領域から考察します。6つの方向とは,「誰が,どこで,いつ,何が,なぜ,どのように育つのか」という問題視座です。また,2つの領域とは,「自分の育ち(私の育ち)」と「他者と関わる自分の育ち(私たちの育ち)という育ち」の領域を表します。6つの方向にそれぞれ2つの領域を重ねた12の論点が「子育て羅針盤」の基本的な考察の構成となります。
この第86版では,子どもが育っていく方向があるべき正しい場合と逆の負の場合をセットにして考察していきます。育ちの進み方はふらふらしますが,正しい向きであることを見守っておかないと,逆に逸れたままにしておくと,戻り損ねます。後悔しないために,見届ける際の参考にしてください。
【正の育ち:今ここに全力投球する】
●生きているのは今です。考えたりしたりするのは今です。今を掴まえることしかできません。父親が3歳になる息子と宝探しゲームをしました。息子が父親の結婚指輪を隠してワイワイと捜索します。ところが,なかなか見つからず「ヒントちょうだい」と言うと,「う〜ん・・・,ボクもわからん!」と満面の笑顔です。父親は顔面蒼白です。幼い子どもは今に集中しているので,先のことは想定外です。
○物事の処理の仕方に,まとめて一気にしてしまう,毎日少しずつし続ける,二通りがあります。ケースバイケースですが,基本は毎日の処理でしょう。ウサギとカメの駆け比べのお話しのように,コツコツ続ける方が正当と思うようにしたいものです。規則正しくリズムのある生活は,今すべきことをきちんとすることで実現します。さらには,子ども時代の勉強も遊びも今しておかなければ,後からやり直すことはできません。若いときにもっとしておけばという後悔は,取り返し不能です。
○寝食を忘れて打ち込むということがあります。集中している時に中断させられると,勢いがそがれます。子どもたちの集中力が長続きしない,集中できないという傾向が見られます。例えば,テレビを見ていると,グッと盛り上がってきたところでコマーシャルが入ります。集中してきた気持ちに水を差されます。常にそういう経験にさらされると,集中し盛り上がることをしなくなります。はぐらかされるストレスを回避するためです。今集中する,そういう経験を普通に持たせてやって下さい。
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【負の育ち:どんどん先延ばしにする】
●子どもは成長するにつれて,甘えるという余録をそぎ落とさなければなりません。「お兄ちゃんになった」,「大きくなった」と言われるのが大好きな3歳の息子がいます。あるとき,抱っこをせがまれた母親が,重くてだんだんしんどくなってきたので「大きくなったから,重くてもうこれ以上抱っこできないよ」と下におろしました。するとあわててしゃがみ「ほら!小さくなったよ!」。大きくなるよろこびも抱っこには勝てないのでしょうか。自分の足で歩く楽しみを教えなければなりません。
○しなければならないことがありながら,面倒だなという気持ちが出ると,「後で」という言葉を使いたくなります。ところが,後になると後のすべきことが待っていて,積み重なります。その連鎖が処理能力を上回るのはすぐです。夏休みの宿題を後回しにした付けに苦しむ経験は,来年に活かされなければなりません。経験を活かさずに済ますことも又,先延ばしにする逃げになります。今日すべきことを明日に回さないこと,そして,明日のことを今日しないこと,それだけのことなのですが・・・。
○明日というのは,希望を託すところです。明日に今日の付けを詰め込んだら,希望が入る余地がなくなります。明日は今日と同じ容量しかないのです。明日を開けておくから,明日を迎える希望があります。先延ばしにすることによって今日の楽を手に入れているのですが,明日の希望の席を奪っていることになります。賢いことではありません。ことをやり終えたときの清々しさは,次の時間が空白になって何でも入ることができるという期待につながっています。明日を開けておくようにしましょう。
自転車に乗るバランスは,倒れそうになることを感じ取って,逆にハンドルを切ることで可能になります。真っ直ぐに進むためにずれてはいけないと考えていたら,制御は不可能です。小さなずれを感じてそれを修正しようとすることで,真っ直ぐに進むことができます。あえていえば,ずれがなければ真っ直ぐに進めないのです。育ちのずれがあって,それを検知する感覚が育って,ずれを修正する能力が育っていくこと,それが育ちのプロセスです。間違うから真っ直ぐに育っていけるのです。
★落書き★
世界一の記録ばかりを集めた本と言えば,ギネスブックです。発行元のギネス社はイギリスのビール会社です。ビールと世界一の本の結びつきとは? ギネス社の専務が漁に出かけ,ハンター仲間と最も速く飛ぶ鳥は何かと言う議論になりました。議論が盛り上がる中で,世界記録の話ばかりを集めた本を作れば,酒飲みの場は盛り上がって,ビールの売り上げも伸びるのではと,ひらめいたからです。酒のつまみだったのです。
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