『子育ちは 小さな快を 掘り起こし』
■子育ち12信条■
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『子育ち第9信条』
【平凡な暮らしを楽しむ!】
《まえがき(毎号掲載)》
子育て羅針盤では,子どもの育ちを6つの方向と2つの領域から考察します。6つの方向とは,「誰が,どこで,いつ,何が,なぜ,どのように育つのか」という問題視座です。また,2つの領域とは,「自分の育ち(私の育ち)」と「他者と関わる自分の育ち(私たちの育ち)という育ち」の領域を表します。6つの方向にそれぞれ2つの領域を重ねた12の論点が「子育て羅針盤」の基本的な考察の構成となります。
この第88版では,子どもが育ちによって身につけていく能力の具体的な形を考えていきます。人間としての複合的な能力を過不足無く獲得しなければなりません。もちろん個性的な能力の伸長は大事ですが,人間としての基礎的な能力のバランスが生きていく基盤になります。能力獲得のペースは子どもそれぞれに違いますが,成人までにはすべての力をそれなりに獲得できるように,側にいる大人がちゃんと導いておくようにしましょう。
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●かつて言われていた飽食という言葉が聞かれなくなり,美味しいものを求める情報が日常的に氾濫しています。味覚が贅沢になったということなのでしょうか? 一方では,心の味覚である関心もまた,面白さ・楽しさに貪欲になっています。時代に育てられている子どもたちも,面白さという関心に浸っているために,人の情動に対する感覚が鈍くなっています。面白くて人をいたぶってしまうのも,思いやるという感性を埋没させているから,いじめと感づくことができなくなっています。面白おかしくの世界から脱出すべきです。
●人の感性には,慣れという特徴があります。面白いことも,慣れてくると面白くなくなり,もっと強烈なものでなければ感じないという鈍化が進行します。お菓子やおかずだけ食べているから,激辛や激甘を求めます。パンやご飯を主食にすることは,味の薄いもので味の感度を修復することができます。ご飯でもよく噛めば甘く感じることができます。今の暮らしが陥っている副作用は,五感の感度を鈍化していることです。心の健康のためには,刺激の少ない倹しい日常の世界に感度を高めておく必要があります。
●在ることが当たり前ではなく,無いことが当たり前という発想に戻らなければなりません。人は0から出発して生涯を送ります。それは,自分の能力で生活のあれこれを一つ一つ積み上げていくことです。親のすねをかじって,我が物にしていくのは楽でしょうが,生き方として不幸です。何も持っていなかった自分が,努力をして今はこれを持っている,そのことを楽しむように気持ちを動かしましょう。空腹であれば,ありふれた食事が美味しく味わえるというものです。心身の空腹を恐れずに,普段の中に取り入れておきましょう。
●平凡な暮らしのリズムを楽しむことができます。例えば,朝起きる時間を30分早めてみます。朝の時間の過ごし方に余裕が生まれ,気持ちがゆったりしてきます。時間に追われて飲み込んでいた朝食を,味わって食べることができます。人にあれこれ指図されて過ごす生活を,自分で決めて過ごす生活に変えると,楽しくなります。楽しみとは与えられるものではなく,自分で作り出すものです。生活のあれこれを工夫しようという気になりさえすれば,楽しみはそこここに転がっています。自活の楽しみを教えましょう。
●人生を楽しむ。人生の喜びを深く味わう。自分の人生を満喫し,一瞬一瞬を楽しんでいますか? 正しい姿勢でいれば,平凡なことすら素晴らしいものになり得ます。その気になれば,朝ごはんを食べること,ベッドに入って眠ることすら,この上ない幸せなことだと思えるようになります。素晴らしい体験を思い出しましょう。そして,頭の中でもう一度同じ体験をします。研究によると,このような「ポジティブな回想」を行うと,3人に1人が抱えている問題に対して,有効な考え方ができるようになることが分かっています。
●暮らしだけではなく,自分自身を平凡な存在と認める謙虚さがあれば,育ちそのものを楽しむことができます。甘やかされて自分を特別な存在と勘違いすると,育ちに対する意欲は湧かず,楽しみではなく愚痴が出てくるばかりでしょう。平凡ということはダメであることではありません。自信を持って平凡であればいいのです。平凡であるからこそ伸びる余地があり,少しずつでも伸びていくことをうれしく感じるはずです。日々がつまらないと感じるようになったら,育ちが滞っているかもしれません。
学習しようという意欲は,自分が無知であるという自覚を持ったときです。知りたい,知らなければ,という欲があるから,学びます。少しずつでも分かっていけば,学びが楽しくなります。無いものを求める欲望があれば,満たされるときに快感があります。満腹では,何を食べても美味しくはありません。ハングリー精神が意欲になるといわれることがありますが,子どもの育ちに必要なことは,自分が未熟である,弱い存在であるという自覚です。ダメという他者からの評価ではなく,弱点に自ら気づかせる導きが大事です。
★落書き★
思春期になると,ボーイソプラノの少年だったのが,突然声が枯れ出して,3ヶ月もすると大人の声になります。声変わりは,生理学的には男性ホルモンの分泌が活発になり,声帯が2倍に伸びるために,低音になるからです。実は,声変わりは女性にも起こりますが,ただ,女性は元々声帯の長さが男性の2割ほどしかなく,声帯の伸び方も男性ほど激しくないために,目立たないのです。
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