『子育ちは 言葉を覚え 理解でき』
■子育ち12課題■
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『子育ち第5課題』
【主体的に理解しよう!】
《まえがき(毎号掲載)》
子育て羅針盤では,子どもの育ちを6つの方向と2つの領域から考察します。6つの方向とは,「誰が,どこで,いつ,何が,なぜ,どのように育つのか」という問題視座です。また,2つの領域とは,「自分の育ち(私の育ち)」と「他者と関わる自分の育ち(私たちの育ち)という育ち」の領域を表します。6つの方向にそれぞれ2つの領域を重ねた12の論点が「子育て羅針盤」の基本的な考察の構成となります。
この第90版では,育ちの課題について述べてみるつもりです。この羅針盤で考えている「私の育ち」と「私たちの育ち」に対応して,もう一人の自分の育ちを考えて「主体的」という言葉を,また人は社会生活が必至なので,自分は他者と対等な関係を持つことができるように育つと考えて,「社会的」という言葉を冠します。
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《理解》
子どもが誕生すると,先ず名前を付けます。その子どもがここに存在していることを皆が認知するという証です。誰かがいるという曖昧な存在ではなく,○○ちゃんがいるという特別な存在の明確化です。やがて,子どもは自分のことを名前で呼ぶようになります。そのときに,自分を客観的に意識できる「もう一人の自分」が誕生します。言葉は物事を理解する手段ですが,名前という言葉は,自分を理解できるようになるための必須の言葉なのです。もう一人の自分が自分と対話できるようになったとき,人に生まれ変わります。
○お子さんは,自分の思いや考えを言葉を使って表現できていますか?
子どもは体験を通して知恵を獲得していきますが,その大事な体験が不足しているといわれます。いろいろな体験を仕掛けてやる活動が行われています。初めてのことは見よう見まねで体験します。その体験を言葉で表現させるとき,体験が身につきます。したことがあるというだけでは,経験知にはなりません。一生懸命に走った後,「疲れたね」と言ってやると,身体がだるいと感じていた子どもは,疲れたという言葉で身体の感じを表現できるようになります。言葉の先生である母親は,語りかけて言葉を教えてやってください。
○お子さんは,自己の感情を察知し自己理解をしようとしていますか?
授業中に「眠いな」と思っています。自分が眠いという状況にあることを,もう一人の自分が眠いという言葉の表現で理解できています。することがなくて手持ちぶさたのとき,「退屈だな」とつぶやくことで,もう一人の自分が自己理解しています。日記を綴るとき,自分の感情を言葉に翻訳して書き留めています。書いている自分が自分を理解しようとする営みです。作文が苦手な子どもは,自己理解の言葉を持ち合わせていない子どもです。日頃から喜怒哀楽の感情を豊かな言葉で言い表すようにしましょう。
○お子さんは,感情を抑制する力,高揚する力を持っていますか?
卒業式。別れの言葉にほだされて涙が零れます。悲しいから泣くのではなく,悲しさを開くまじないの言葉によって,泣いてしまいます。乱暴な言葉遣いをしていると,感情が乱暴になり,行動が粗野になります。売り言葉に買い言葉が激情の連鎖をもたらします。柔和な言葉は穏やかな気持ちにしてくれます。落ち着け,頭を冷やせという言葉が我に返るきっかけを与えてくれます。がんばれという言葉が勇気ややる気を鼓舞してくれます。言葉は人の感情を起動し能力を発揮させる自己コントロールのスイッチなのです。
逆転の発想が困難な状況を打開する道を開いてくれます。役員を決めるとき,「忙しい」という言い訳によって逃げる方がいると,決まらなくなります。役員は暇な人でなければできないと思い込んでいます。役員は忙しい人がなるべきです。暇な人が計画すると,皆が忙しいので,参加できません。しかし,忙しい人が計画すれば,忙しい人が参加できるものなので誰もが参加できるはずです。忙しい人が役員適任者と考えるようにすれば,参加者も増えて,活動が活性化するはずです。
★落書き★
盲導犬を見かけることがあるでしょう。飼い主を先導するだけではなく,信号が赤ならちゃんと止まります。盲導犬は信号を見分けられることもできるのですが,疑問を持つ人もいるはずです。犬は色盲だからです。当然,信号の色も見分けることはできないはずです。実は,盲導犬は信号の色ではなく,明暗によって赤信号や青信号が区別できるるように,長い時間を掛けて調教されているのです。青と赤では波長が違い,それが明暗の差になります。
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