『子育ちは できそうなこと やってみる』
■子育ち12態様■
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『子育ち第12態様』
【子育ちは,学習をした上で進んで挑戦していく】
《まえがき(毎号掲載)》
子育て羅針盤では,子どもの育ちを6つの方向と2つの領域から考察します。6つの方向とは,「誰が,どこで,いつ,何が,なぜ,どのように育つのか」という問題視座です。また,2つの領域とは,「自分の育ち(私の育ち)」と「他者と関わる自分の育ち(私たちの育ち)という育ち」の領域を表します。6つの方向にそれぞれ2つの領域を重ねた12の論点が「子育て羅針盤」の基本的な考察の構成となります。
この第94版では,こどもが育っている態様を説明しようとするとどうなるかを考えます。こどもには健全に育っていってほしいと願いますし,幸せに生きていくことができるように育ってほしいものです。何となく育っているように見えても,生きる喜びを掴まえられる脳力を身につけて欲しいのです。健全な育ちを実現する羅針盤として具体的な育ちの全方位を見届けることができるように確認していただけたらと思います。
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《どのように育つのか?》
悩みを抱えた生徒が,相談に行きます。ほとんどの生徒は,「行動しないでの悩み」や「努力すれば解決できる問題での悩み」といわれます。成行き(道理)を具体的にきちんと整理して刺激してやり,「なんとかやれるかも?」という気にさせれば,悩みが期待に変化します。ただ頑張れと背中を押すのではなく,一歩の踏み出しを見えるようにします。自分の足で歩き始めると,乱暴な言い方ですが,悩んでいる暇がなくなるということかもしれません。
勉強ができる子は,どんな子どもなのか? どうすれば,勉強のできる子どもになるのか? いかにもすらりと,誤らず迷わぬようになることによって成就するものではありません。自分のしでかした誤りや迷いときっちりとつきあうことによって,誤りを乗り越えていく力を養うしかありません。自分の弱い部分を大事にするとセンスがよくなります。誤りを考える種にする,誤りを解く楽しみを身につける,そうするとやがて,考えることが苦にならなくなるので,学びが進むようになります。
心理学者のカール・ビューラーが,機能快ということを提唱しています。機能快とは,人が持ち合わせている潜在する機能を使えば楽しくなるということです。例えば,散歩が楽しいというのは,人の歩く機能を使うからです。学習が楽しいのは,言葉を話す機能を使うから,言葉を覚えることが楽しいからです。逆に言えば,機能が使われないままに据え置かれていると苦しくなります。落ちこぼれている子どもは,機能快を封じ込められているという苦しさがあるのです。うれしそうに走って回る子どもの姿を思い出して下さい。
挑戦といえば,実力の限界に挑むという悲壮感があります。そうではなくて,自分に出来そうなことをすることです。例えば,算数の応用問題を解くことを想定すれば,見てすぐに答が分かるものは問題ではありません。どうすれば解けるのか,一見しただけでは見通せないものが問題です。その問題に対して,先ずは自分にできることに手を付けて計算してみます。一つの計算が終わると,次にできること,その次に,と進んでいく内に,答が自然にたぐり寄せられてきます。楽しくなります。
「少しならやれる!」,その言葉で挑戦できる自分,それが自信の元ととなり,事態は開けてくるものです。創造性は,なるべくしてなるもの=道筋(道理)を見つけだすことです。そのためには,座していては始まりません。学びの階段においては試行錯誤であり,やってみれば迷いという選択肢は自然に減少していきます。失敗しては考えてやり直していく,できるかもしれないと挑戦する,それが創造性という道につながっていきます。
学力には二つの種類があります。ハードな学力である「知識,技術」は,評価しやすい学力であり,したがって,教えることができます。一方の,ソフトな学力である「文化,教養」は,貯め込みながら,忘れ去られていきます。その繰り返しの中で,耕されて心に染み付いていきます。教えることはできなくて,自ら学ぶしかありません。無知な子どもが学び方を学ぶためには,親や大人が文化という生き方すべてを手渡ししていかなければなりません。
《どのように育つのか?》
人は人として生きていかなければなりません。時代や場所によって,物事の状況は違いますが,生き方を受け継いでいます。日本人は日本人としてという生き方です。受け継ぐということには,伝承と伝統とがあります。伝承とは,伝え受け継ぐことであり,伝えられたものをそのままに受け継ぐことです。一方で,伝統とは,伝承に同じ面もありますが,特にそのうちの精神的核心について,旧と新をまとめる,つまり,旧を受け継ぎながら,今の時代の新をはめ込んでいくというプロセスが予定されています。統という字が「まとめる」の意味を持っているからです。子どもは親から受け継ぎながら,子どもの独自の新しいものも獲得して育っていくのです。
★落書き★
イチゴはバラ科の多年草で,野菜に分類されることも多い植物です。江戸時代にオランダから伝えられました。表面のつぶつぶが種で赤くてふっくらした部分が果肉と思われているかもしれません。このつぶつぶが気持ち悪いという人もいるようです。あのつぶつぶですは種ではなく,痩果と呼ばれる果肉で,種はこの中に入っているのです。実と思われている赤い部分は茎が肥大化した部分で,偽果と呼ばれます。
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