|
「第 97-04 章」 |
『子育ちは 紡ぐ命が 今ここに』
■子育ち12鍵語■
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
『子育ち第4鍵語』
【タテ社会】
《まえがき(毎号掲載)》
子育て羅針盤では,こどもの育ちを6つの方向と2つの領域から考察します。6つの方向とは,「誰が,どこで,いつ,何が,なぜ,どのように育つのか」という問題視座です。また,2つの領域とは,「自分の育ち(私の育ち)」と「他者と関わる自分の育ち(私たちの育ち)という育ち」の領域を表します。6つの方向にそれぞれ2つの領域を重ねた12の論点が「子育て羅針盤」の基本的な考察の構成となります。
この第97版でも,これまでの流れに沿って,子ども自身や親が育ちの確認をしていくときに,思考を開く鍵となる語を使って育ちの状況を展望していきます。今現在それぞれの育ちの度合いに違いがあってもそれは個性になり,達成度の評価ができるなら,幸せに育っていると考えることができます。子どもの育ちは見えにくいものですが,羅針盤としての全方位を見届けることができることを再確認していただけたらと思っています。
《タテ関係とは?》
育ちは,命を全うする準備活動です。その命はどのように手に入ったのでしょうか? 手に入れることはできませんね。私の命は,母から父の助けがあって,生まれました。その父母の命は祖父母から生まれました。一体私の命はどこから?と手繰っていくと,父母の父母の父母の・・・と限りなく続いていきます。その長い長いつながりの中の一つでもなかったら,今の私は生まれていなかったはずです。私の命はたくさんの人がつないできてくれた命です。
もしも,私が父母にならずに命を子どもにつながなかったら,私の後につながっていくはずのたくさんの命が消えてしまいます。今の私は,限りなく続いていく命のつながりの大事な一つの命です。私が今ここに生きている,それ自体が大事な意味を持っているのです。生きていることに迷う必要はありません。父母が託してくれた命を子どもに受け渡していく,それが生きるということです。育ちは,命をしっかりと受け継ぐという荘厳な営為です。タテの関係の中にいる自分,そこに自らの命の居場所が在るのです。
同世代のヨコのつながりに縛られていると,タテのつながりをついないがしろにしてしまいます。結果として,命を個人のものと矮小化し,自分の意のままにしていいと錯覚します。命は自分だけのものではないのです。たくさんの命とつながっているのです。その気付きによって,命を愛おしむ感動が点火され,生きている歓びが湧きあがります。次世代が健やかに命を育むことができるように,今の世代は自分を大切にしてみせる必要があるのです。そして,一人では命は産み出せないことに気付きましょう。
昔々あるところに,おじいさんとおばあさんがいました。昔話は,おじいさんとおばあさんが主役です。お父さんとお母さんは登場しません。人として生きていくための知恵を子どもに伝えてくれるのは,おじいさんとおばあさんなのです。おじいさんとおばあさんの過去の経験を,現在の子どもに伝える手段,それが昔話という言葉の魔法なのです。知恵を言葉として,今にリンクさせることができます。動物は現在を生きていますが,言葉が無いので,親の知恵を引き継ぐことができません。人は言葉で生かされているのです。
★落書き★
人類初の飛行機による有人動力飛行に成功したのは,1903年12月17日,ライト兄弟でした。その3年前に「飛行機」という言葉が初めて使われていました。当時,日本でも飛行機開発の動きは紹介されていて,飛行器,空中翔機械,飛空機,浮空機などと訳されていました。そんなときに「飛行機」という言葉を作ったのは文豪の森鴎外でした。鴎外著の「小倉日記」の1901年3月1日付に使われています。英語ではエアプレーン(空の板)ですが,ドイツ語ではフリュックツオイク(飛行道具)というので,ドイツ留学経験のある鴎外は飛行機と言ったのでしょう。
|
|
|