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「第 99-11 章」 |
『子育ちは 新世界への 踏み込みで』

■子育ち12美醜■
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『子育ち第11美醜』
【勇気】
《まえがき(毎号掲載)》
子育て羅針盤では,こどもの育ちを6つの方向と2つの領域から考察します。6つの方向とは,「誰が,どこで,いつ,何が,なぜ,どのように育つのか」という問題視座です。また,2つの領域とは,「自分の育ち(私の育ち)」と「他者と関わる自分の育ち(私たちの育ち)という育ち」の領域を表します。6つの方向にそれぞれ2つの領域を重ねた12の論点が「子育て羅針盤」の基本的な考察の構成となります。
この第99版でも,これまでの流れに沿って,子ども自身や親が育ちの確認をしていくときに,状況を特徴付けるキーワードとなる語を選んで育ちを展望していきます。ただ構成上に変化を繰り入れます。奇数号では美しい育ち,偶数号では醜い育ちという配置をします。育ちがずれていかないためには,避けるべきことにも目配りをしておくべきです。予め注意すべきことを知っておくと,安心することができるはずです。
《勇気とは?》
勇気とは,「普通の人が不安・恐れを懐いたり躊躇,恥ずかしさを感じたりする所を屈しないで,自分が正しいと思った通りやってのけようという積極的な気力」とあります。参観に行って,我が子が手を上げないと,勇気を出してほしいと思ったりします。恥ずかしさを振り払ったり,失敗する恐れを振り切ってくれることを期待します。もっとも小学生低学年までは,自意識が未熟ですので後先を考えずに,つい先走りしがちです。自分が正しいといった確信に基づいた勇気ある行動ではありません。
人と違うことをすると目立つので,見られる自分という意識が目を覚まします。人にどう思われるか,笑われないか,嫌われないか,憎まれないかという心配を強く感じると,行動を抑制することになります。横並びが安心という思いが強いと,勇気を出すことを避けてしまい,自分らしさを育てることができなくなります。人の目を気にしないでいいという気持の持ち方の転換を導いてやることが必要です。乗り物の中で高齢者に席を譲ることに勇気がいるのはなぜでしょう? 勇気を出さなかったら後悔するのはなぜでしょう。
育つという営みは,どんなことであれ,初体験となります。したことがないことをするというのは不安であり怖いものです。何しろ先が全く見えないのですから。その不安などを押さえ込む気力を持つように,親や大人は「勇気を出して」と背中を押すことになります。そう言われても,怖いのは変わりないので,勇気を出すことはできません。ただ闇雲に「しなさい」というかけ声ではなく,「大丈夫だから」という安心を与えることが大切です。不安を丸ごと消すことはできませんが,軽減できれば,手持ちの勇気が間に合うようになります。
幼い子どもは無鉄砲ですので,何でもやってしまいますが,勇気を出しているとはいえません。無理・無茶の領域に踏み込んでしまうので,ブレーキを掛けてやらなければなりません。もう一人の自分が育って,自分を守るということを考えられるようになると,臆病になるので,勇気という気力を育てる必要が出てきます。そのためには,正しいことをするという確信が必須の条件になります。する価値のあることである,その自信がなければ,勇気を出す意味が見いだせないでしょう。
★落書き★
ランドセルは,もともとはオランダ語でランセルという兵士が背負う布製の鞄であり,幕末に軍隊制度の採用の際に伝わりました。やがてランドセルと呼ばれるようになった布製の鞄を,最初に学習院初等科が採用しました。1887年に皇太子嘉仁(よしひと)親王(後の大正天皇)が入学する際に,伊藤博文首相がお祝いに革製箱形のランドセルを送り,現在のランドセルの原型になりました。
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