*****《ある町の社会教育委員のメモ》*****

【研修報告?】

 社会教育委員の役割について,県連の会長の講演を聴く機会(平成20年8月)があったので,報告書の原稿として,まとめておきます。(研修会に参加した者は報告書を提出することに決めています)。

 講演趣旨が新任者研修であることから,基本的な示唆をベースとした内容であった。要旨を箇条書きに整理しておく。

○社会教育と生涯学習の概念の異質性整理
・社会教育は営為だが,生涯学習は理念である。
・社会教育は実体を持つ現実的な営みであり,
 生涯学習は愛などと同じ実体のない抽象的なシンボリックアイデアである。
・社会教育は教育の領域に基づく概念だが,生涯学習は時間軸に基づく概念である。
・社会教育は生涯学習の下位に位置する概念である。

○社会教育委員の役割
・社会教育委員は,教育委員会に置かれる社会教育行政の助言・諮問機関である。
・社会教育は学校教育との連関で捉えられ,連携が基盤であり,
 関係団体代表が委員となる意義がある。
・社会教育法第17条による役割がある。
 (計画立案,諮問答申,意見具申,委嘱された青少年事項への助言と指導)
・合議体としての社会教育委員会は存在しない,委員の独任性がある。
・団体への補助金交付について,委員の会議の意見を聴取される。

○社会教育の当面する基本課題
・福岡発のプログラム「通学合宿」の広がり
 宿泊体験は楽しさ優先ではなく,試練の後の感動の場でなければならない。
・社会教育行政における職員と委員の役割の違い
 役人は専門知識・技術より幅広い教養を必要とする。(配置換えの意義)。
・生活文化の振興の場としての公民館
 各種機関・団体の連絡を図ることが端緒となる。
 社会福祉事業の増進を図ることが主となる。
・ボランティアの導入
 社会教育施設におけるボランティア活動の促進が求められる。
・子どもと高齢者を一体化できる方策
 子どものしつけと高齢者の生き甲斐をリンクさせる。
・子ども・保護者・教員の認識の差
 課題意識を共有するために,現状認識を調査する。

 教育基本法の改正趣旨の説明や,市町村の合併による公民館施設の変動,県の教育ビジョンの提言を踏まえながら,社会教育委員に必要な情報が提示された講演であった。

【感想】
 委員として,今どのような場にいるのかという認識を持つことが必要であり,そこから現状を自ら見つめ,行動に入っていくことが期待されている。ともすれば個々の事業活動に目を向けてしまうが,委員には事業をつなぐという大きな視野が求められている。講演全体から,そのような印象を受けた。
 また,講師は県の社会教育行政を勤め上げられた方なので,話に行政側からの意識・観点に触れる点があり,共同者としての行政職員の思いを理解させられることがあった。

(2008年08月23日)