*****《ある町の社会教育委員のメモ》*****

【研修会での会長あいさつ集(その2)?】

 社会教育委員メモ第87号で,地区社会教育委員研修会での会長あいさつをまとめておきました。その続編をまとめておきます。会長は年ごとの流れを把握しておかねばならないので,どうしてもしておかなければならない作業です。

**********《平成18年度》**********

 平成18年度の○○ブロック社会教育委員研修会を□□地区で開催し,◇◇地区,△△地区,▽▽地区及び□□地区の社会教育委員並びに社会教育関係者の皆様方をお迎えするにあたり,実行委員を代表してごあいさつを申し上げます。

 社会教育委員の皆様方のご参加に対して,心より敬意を表します。さらに,ご来賓の皆様には社会教育活動に対し深いご理解と広いご支援をいただいており,その上本日の研修会にご参列を賜り,厚く御礼を申し上げます。

 さて,全国,九州,○○県における研修会が「社会教育」の研修会であるのに対して,この○○ブロックの研修会が「社会教育委員」の研修会であるということは最大限に意識する必要があります。研修の主題として例年「社会教育委員の役割」が付加されてきた背景には,単に社会教育の推進に関する研修ではなく,委員自身に関する研修であるという意図が働いています。社会教育委員は直面する課題を分析し,基本的な目標を設定し,解決の方策を考察し,実践されている諸活動の計画的な運用を図らなければなりません。

 明日への期待に向かう教育活動はさまざまな現実的課題の解決を迫られています。その中で○○ブロック研修会では明日の社会を担う子どもたちが健やかに育つ環境づくりが緊急の目的であると認定し,過去5年間家庭及び地域の教育力を高めることを目標としてさまざまな社会教育活動について研究協議を行ってきました。

 今回の研修会では,社会教育の実践の場である地域とはどのような機能要素から成り立っているのかを明らかにしながら,そこから具体的な社会教育活動がどのように評価できるかという委員としての研修を提案しております。地域づくりとひと言でいっても、そこにどのような機能を期待しているのか、必ずしも共通した統一的理解がなされていませんでした。地域が備えるべき機能をきちんと整理した上で,実状と照らし合わせ過不足を見積もることが活動の推進に必要な評価手続になります。○○ブロックの社会教育委員の皆様が地域のあるべき姿を総合的に捉えるための機会にしていただくことができたら幸いです。


**********《平成19年度》**********

 平成19年度の□□地区社会教育委員研修会を開催いたしました所,皆様方にはご多忙の中にもかかわらず,ご参集下さいましたことを,主催者としてお礼を申し上げます。
 また,ご来賓各位には,常日頃より□□地区における社会教育活動に多大なご支援を頂き,さらに本日は私どもの研修会にご臨席を賜り,心より感謝申し上げます。

 さて,開会に当たり,今回の研修会のねらいについて,簡単に述べさせていただきます。

 昨年末,教育基本法が改正されました。第2条教育の目標に,「公共の精神に基づき,主体的に社会の形成に参画し,その発展に寄与する態度を養うこと」と掲げられました。簡単に言えば,みんなでまちづくりをする態度を養うということです。
 まちづくりは社会教育がこれまでの活動で進めてきた目標ですが,改めて基本法に明記しなければならないということは,現状がまちづくりをする態度を無くしているという反省と考えるべきです。
 さらに,家庭教育の第10条,学校・家庭及び地域住民等の相互の連携協力の第13条が新設されましたが,これも社会教育がこれまで取り組んできたことであり,基本法に明記されたことは,事態が深刻であるという警鐘と受け止めなければなりません。
 私たち社会教育委員が直面してきた課題は,基本法に謳わなければならないほどの重大な目標課題になっているという認識を迫られているのです。

 このような状況にある社会教育を担っている私たちは,何が出来るかではなく,何をしなければならないかという使命を自覚するために,研修に取り組みたいと思います。

 本研修会では,まず,町政のトップとして実際にまちづくりを推進しておられる○○町の△△町長様に,その願いやご苦労の一端をお聞かせいただきたく,ご講演をお願いしております。まちづくりの方向性について得難いご教示をしていただけることと思います。
 次に,午後からの分科会では,「青少年教育活動と社会教育委員の役割」というテーマで,研究協議を進めていただくことにしております。
 まちづくりという課題への取組は根源的な段階,すなわち次世代に焦点化した長期的な視野を持った活動から出直す必要があるのではという強い思いがあります。
 委員としてなすべきことは何か,それは目先の活動ではなく,明日の社会につながる道筋を見いだすことであると考えて,有意義な研修を進めていただきますようにお願いを致します。

 最後になりましたが,この研修会を開催するに当たり,ご後援をいただきました□□地区社会教育振興会,ご指導をいただきます◇◇教育事務所,会場のご提供をいただきました○○町,事務局業務を担っていただきました○○町教育委員会,その他関係各位に対しまして,厚くお礼を申し上げます。


**********《平成20年度》**********

 今年度は4つの研修会が2週間毎に開催される日程になっており,委員の皆様方にはたいへんお忙しい中,万障を繰り合わせて,○○地区研修会にご参集をいただきまして,ありがとうございます。
 また,ご来賓の方々には,常日頃より○○地区の社会教育活動の振興にご尽力をいただいており,本日の研修会にもご臨席を賜りご指導をしていただけることに,厚くお礼を申し上げます。

 さて,○○地区の社会教育委員の活動は,県内一だと自負しております。それは先輩委員の方々が築かれた伝統です。どのような伝統でしょうか? 他地区の状況を拝見していると見えてくるのですが,その伝統は,社会教育委員と社会教育行政職員との緊密な協働活動が実現しているということです。私たちにとってはごく当たり前のことですが,この伝統に感謝しなければなりません。

 その伝統を維持するために社会教育委員に求められていることは,一言で言えば頼りがいがあるということです。委員には,住民とのパイプを持つ方,活動の指導をしている方,教育活動の経験のある方,いろんな実践活動をされている方など,多士済々の方がおられます。

 そのような素晴らしい方々が気持ちを一つにして連携することによって,まちづくりへの駆動力を発揮することができます。社会教育委員としての役割と目的を自覚している委員であるからこそ,頼りがいのある委員になることができ,まちづくりという目標に向かって,行政との協働活動が実現されます。

 ところで,まちづくりは人づくりといわれていますが,人づくりは地域づくりからというのが社会教育の目指している目標です。人々が地域人として生きようとすることを通して社会人としての責任と品格を身につけることができると期待しているからです。その実現のためには,地域が与えられているものではなく,一人ひとりが自らの手で作り上げるものであるという意識を涵養しつつ、具体的な行動を喚起する社会教育の仕組みを整える必要があります。

 このような現状認識の下で、今,社会教育委員に求められているプランナーとしての役割と目的を再確認するために
  「地域づくりを目指す社会教育委員の役割」
というテーマを設定して,本日の研修会を開催いたします。

 先ず午前には,◇◇町の□□町長様に「私の目指すまちづくり」という演題でお話をいただきます。こんなまちをつくりたい,その願いは私たちにとっても願いであり,プランナーとして共感できる内容があると思います。
 午後は,地域づくりについて,△△町と▽▽町の実践的取り組みについて発表をしていただきます。地域が自ら生きる上で大切な空間であることを住民が納得するような学習と活動を進めることは,社会教育の中心的な課題です。社会教育は、教育活動であることを再確認していただけることと思います。

 どうぞ,今日一日の研修を委員としての生涯学習として受け止めていただくことをお願いいたします。

 最後になりましたが,研修会の開催に当たって,◇◇町の関係者の方々には会場の準備や運営その他に関して大変お世話になっております。心より感謝申し上げます。
 ありがとうございました。

(2008年10月02日)