*****《団体・グループの運営の窓》*****

【指導者の忘れもの】

 [2]講師料を無駄にするな!

 「講師にどんな交渉をするか?」
 講演会を企画することがあるでしょう。最初に決めなければならないことは,講演のテーマです。組織であればそれなりの目的があるので,大テーマは自ずから決まっている場合が多いはずです。通常,近隣で開催された他組織での講演の感想を漏れ聞いたり,配布されている講師名簿からそれらしいテーマを持つ講師をピックアップするようなやり方で,講師を決めていることが多いようです。
 大切なことは,講師との内容についての交渉です。組織には年間計画として重点目標があるはずです。話の内容の領域を絞り込むことが必要です。例えば,青少年の健全育成という大テーマがあっても,場を家庭や地域に限定するか,対象を父親や指導者に,話題を親子の会話とか,子どもの気持ちを知るとか,非行の実態とか,・・今最も知りたいことは何かをじっくりと考えて,それを講師に伝えた方がいいでしょう。
 限られた時間の中では,大きな演題を話すことは無理ですし,聴く方もポイントが曖昧になってしまいがちです。演題としては大きなテーマの方が見栄えがよいでしょう。そこで必ずサブテーマを付けることをお勧めします。講師も話しやすいし,聴衆も聞きやすい講演になるはずです。

 「後始末はきちんとできたか?」
 講演が終わると必ず謝辞が述べられます。「問題を具体的にお話しいただき,今後の活動に指針を示して頂きました。・・・」といった総括的な謝辞は実りのあるものではありません。講演の中から一つ選び出して,「今日,私は・・・を学びました」と,聞き取ったことを具体的に表明してください。講師には聴いてくれたという確証を差し上げ,聴衆には講演の復習になります。
 講演会の最後の後始末は,講師にお礼状を出すことです。講演前は依頼状等の文書が出されますが,謝礼をお渡ししたら「はいサヨウナラ」とプツリと切れます。講演の感想を必ず一言付けて,きっちりと後始末をした方がいいでしょう。

 指導者の役割の中で最も大きなものは,対外的な気配りです。準備段階で自組織の意向を明確に表明すること,きっちりと後を片づけていく所までの,前後の隠れた目配りをしなければなりません。特に「・・長」と名の付く人にしかできない役目です。