『悪霊島』 角川文庫
・「あいつは体のくっついた双子なんだ・・・・・あいつは歩くとき蟹のように横に這う・・・・・あいつは平家蟹の子孫なんだ・・・・・あの島には悪霊が取り付いている・・・・鵺のなく夜に気をつけろ・・・・・」金田一耕助は、刑部(おさかべ)島出身で大富豪の越知竜三に頼まれ、彼の腹心で島の様子を探りに行った青木修三の後を追う。ところが久しぶりに会った磯川警部から思わぬ情報が入った。偽名を使っているが、彼らしい人物が、刑部島の落人岬から身を投げて自殺、漁船に引き上げられた後死亡した。しかし彼はシャム双生児を見たらしい奇怪な冒頭の言葉を残していた。さらに島出身者で市子(巫女のようなもので口よせをやる)の浅井はると言う女性が殺された。彼女は何かを知って誰かを強請っていたらしい。現場からヒッピー風の男が立ち去ったとの情報があった。