帰ろう

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本社会議に出席中のザックスからの連絡事項。


『ちょっといろいろ打ち合わせがあるから、今日はセフィロスとこっちに泊まり。時間になったらかってに帰ってていいからさ』
電話を受けた副官のショーンがそう言うのを、クラウドは無表情に聞いていた。



……ふーん、そうか。今夜は本社に泊まりか。
……そっか、今夜は本社に泊まりか…じゃあ、今晩は1人なんだ。


定時になって私服に着替え、帰るついでになんとなく本社ビル正面を外から眺めてみた。
今夜はセフィロスはここへ泊まり。
最近は少なくなったとはいえ、別に珍しい事じゃない。
そんな事にちくりと痛みを覚えた自分を、クラウドは叱咤した。


――別に珍しい事じゃないだろ。サーが帰ってこないのも……誕生日を1人で過ごすのも。


珍しいどころか、誕生日なんて今まで祝った試しがない。
大体クラウドの誕生日の頃は村の夏祭りの時期と重なるので、母親は各家庭の手伝いから村の広場の手伝いや祭りの料理づくりなど、この時期は働きづめだった。
『ゴメンね、他の家みたいにお祝いしてやれなくてゴメンね』
毎年そう申し訳なさそうに言う母親に、クラウドは『別に祝うようなことじゃないよ』と出来るだけ無感動に答えるのが当たり前になっていた。そうでもしないと、言っては行けないことまで口にしてしまいそうだった。
お祝いが出来ない事なんて、大した事じゃない、全然気にしてないと、そう母には思って欲しかった。
そうやって毎年答えているうちに、いつの間にか本気でそう思うようになっていた。


『誕生日なんて、別に一つ歳を取るだけ。祝うほどのことじゃない』


今年になって今更1人で過ごすのが『寂しい』なんて感じるわけがない。
クラウドはそう自分に言い聞かせるように考えると、踵を返す。その時、ふと気が付いた。本社ビル正面広場にはたくさんのプランターが置いてあるが、そこに植えられた観葉植物の影に小さな子供が1人ぽつんと座っている。
クラウドは首を傾げた。
夏とはいえ、時刻はもう夜の8時近い。子供はどう見ても7つか8つくらいで、こんな時間に1人で外を出歩く歳には見えない。
社員の子供で、親の帰りを待っているのだろうか。
だとしたら、受付で連絡して貰った方がいいのではないだろうか。
いくら新羅本社の真っ正面とは言え、小さな子供が1人でいたら何が起きるか判らない。
そう考えたクラウドは、緊張気味に子供に近づくと声をかけた。


「……お母さんかお父さん、待ってるの?」
子供はピクリと顔を上げた。
明るめの金茶の髪をした、可愛らしい顔の男の子だ。
まじまじと自分の顔を見つめる子供に、クラウドは一瞬声をかけたことを後悔した。
なんだかすごく、柄に合わないことをしてしまった気がする。
でも、声をかけた以上、ここで逃げるわけにもいかない。


「……俺、これでも神羅の社員なんだ。お父さんかお母さんの帰りを待ってるなら、受付に行って呼び出しして貰おうか?」
子供は吃驚するような勢いで首を横に振った。
「……違うの?ひょっとして…迷子?」
子供はまた首を振った。唇をぎゅっと噛みしめ、真っ赤な顔をして、今にも泣き出しそうだ。
「……違う?じゃ、どうしてここに…?」
無言の子供相手にクラウドは困り果てながらも、忍耐強く質問を重ねてみた。
子供は今度はじっと地面を見つめたまま、指先だけ高く上げた。神羅ビルの遙か上の方を示している。
「……上に誰かいるの?」
「……ママ…」
子供がやっと声を出した。なんとなくそのことにほっとして、クラウドは子供の顔を覗き込むようにする。


「ママが上にいるの?だったら、やっぱり呼び出ししてもらおうか」
子供がまた勢いよく首を横に振る。たださっきとは違って、無言ではなかった。
「駄目!ママが言ったから。いい子にして、お家で待ってなさいって!」
そう言った子供の目に涙が浮かぶ。クラウドは慌てて宥めにかかった。
「…ママ、待ってなさいって言ったのか?じゃあ、お家に送ろうか」
「…やだ…お家、誰もいないから…パパ、お仕事で遠くに行ってるし…」
子供はぐすっと鼻をすすると、ふくれっ面で呟いた。


「ママ、嘘付いたから。今日、ボクのお誕生日だから、お休みするって言ったのに。お仕事の電話きたら、ゴメンねって言って、いなくなったから」
「ひょっとして、ママのお迎えに来たのか?」
子供は今度こそこくんと頷いた。
「ママが帰ってくるまで、ここで待つの」
断固とした言い方に、クラウドは困った。やっぱり呼び出ししてもらって、本社ビルの中で待っていた方が絶対にいいとは思う。


「……君の名前は?」
「知らない人に教えちゃ駄目って、ママが言ってた」
「じゃ、……ママのお名前とかは?」
「教えちゃ駄目。でも、お写真ならあるよ」
子供は得意そうに服のポケットから一枚の写真をとりだした。
名前は駄目でも、顔はいいのだろうかとクラウドは首を傾げつつ写真を見た。
子供と、濃いめのブルネットの髪をして眼鏡を掛けたぽっちゃり気味の女性が写っている。服は私服なので、どこの部署の人なのかは当然判らない。
クラウドは写真片手にため息を付いた。どうしようか?


子供は写真をさっさと取り上げると元通りにしまい、きちんと膝に手を置いてプランターの端に座り込んだ。
困り顔でクラウドは子供を見下ろした。このまま、放っておいてもいいのだろうか。
もしも、神羅社員を目標にしたテロリストや、それ以外にも危ない職業の人に見つかったりしたら、誘拐されたり、最悪の目にあったりするかも知れない。
受付にもう人はいないかもしれないけど、警備室に連絡すれば、一階ロビーで待たせてもらえるかも知れない。


「……中で待とうよ。俺、そう言ってあげるから」
「やだ!ここで待つの!」
子供はぎゅっと唇を噛みしめたまま、自分の握り拳を睨んでいる。
クラウドはその頑固さに困り果てると同時に、なんだか既視感を感じた。
家で待っていろという親の言いつけを守ろうとする気持ちと、1人で待つのは我慢できない寂しさ。
その両方を同時に叶えるのが、子供にとってはビルの中ではなくて外のこの微妙な位置なんだろうと理解できた。大人にとっては意味のないことでも、このころの子供にとってはとても重要な所なんだろうと思う。


「……俺も一緒に待ってようか」
クラウドはそう言って子供の隣に座った。足をぶらぶらさせていた子供がクラウドを見上げる。その子供に、クラウドは出来るだけ優しく笑いかける。
「俺も今日は1人なんだ。帰っても誰もいないから」
「……いつ帰ってくるの?」
「さあ、今日は泊まりだって言ってたから明日かな」
「ふうん……」
そう言ってから、子供はにこっと笑った。
「じゃあ、ボクと一緒だね」
「うん、そうだね」
その子供の笑顔にやっぱり1人はいやだったんだな思い、自分の言ったことが筋違いじゃなくて良かったとクラウドはほっとする。
ニコニコと笑顔を向ける子供のお腹がきゅうっと鳴る。
「夕ご飯、食べたの?」
そう聞くと、子供は恥ずかしそうに小さく頭を横に振った。


「……あそこのコンビニで何か買ってこようか」
子供はもじもじしている。お腹は空いたけれど、知らない人に買ってもらってもいいのか、判断が付かないようだ。
「……俺も今日は誕生日なんだ。誰もいないけど…」
そう言うと、子供はきょとんとした顔でクラウドを見上げる。
「お兄ちゃんも1人なの?」
「うん、そう、1人。だから、一緒にお誕生日祝いしよ。あそこでケーキ買って」
子供は少しの逡巡のあと、にっこりと笑って頷いた。
本社ビルのほぼ正面にあるコンビニでサンドイッチとミルク、そしてパックに入ったショートケーキをそれぞれ2人分買い込み、また元のプランターの所へ戻る。
子供はビルの出入り口をしきりに気にしつつも、目の前のケーキに心を奪われたりと忙しい。
「お兄ちゃん、お誕生日おめでと」
「うん、君もおめでと」
嬉しそうにニコニコしながらケーキにかぶりつく子供に、クラウドも嬉しい気分を味わった。



□□□■■



「飾り付けは終わった!料理も出来た!ケーキも買ってきた!」


時計を眺めた男がそう満足げに宣言し、そして絶叫する。


「だのに、なーーーんで、主賓がまだ帰ってこねーんだよ!」
セフィロスは自室のリビングでそう喚く男を冷ややかに流し目で見た。
「……だから、クラウドにはストレートに言わないと通じないと、あれほど言っただろうに」
「だーーーーってさ!ビックリパーティーってそんなもんだろ?1人寂しくふてくされて帰ってきたところでクラッカーならして『お帰り、誕生日おめでとーーーー』ってさ」
「家に誰もいないと言ったら、クラウドにとっては『いない』で確定だ。寄り道したところで責められまい」
「責めねーけどさ……あんた、余裕だね」
ザックスは時計をちらりと見た。


「もう、夜の11時回ってるんですけど、心配じゃない?」
「あれが夜遊びするわけもないし、行くところと言ったらせいぜい残業部署の手伝い程度だろ」
「そーりゃ、そうですけどね!倉庫への行き帰りとか、けっこう危険地帯は多いと思いますけどね!第一、下手したら、今日中にハッピーバースディー言えないかも知れないんですけど」
「誰のせいだ、計画を立てたのは!」
セフィロスの腕が素早く動き、投げつけた本の角がザックスの顎を直撃する。
「うおおお、顔が歪む!曲がる!」
「今更歪んで困る顔か!」
「あ、そんな事言う!これでもワイルドなハンサムで通ってるんだぞ!」
「知るか、そんな事」
素っ気なく言いながらセフィロスは立ち上がった。そのまま玄関に向かう後ろ姿に、ザックスは顎を撫でながら訊ねた。


「どこ行くのさ」
「探してくる。すれ違いにならないよう、お前はここにいろ」
「……へー…涼しい顔して、実はけっこう心配してたりして?」
その一言を口にした直後、空を飛んできた物にザックスは仰天した。
ごつい軍用ブーツが屈んだザックスの頭上を飛び越していく。
「あんた、こんなのぶつかったら俺の顔潰れるでしょ!」
抗議の声は虚しく誰もいない玄関に響き渡る。
ザックスは床に落ちたブーツを拾い上げると、不意にこみ上げてきた笑いに相好を崩した。


「……何事にも動じないクールな英雄様も、恋すれば心配性の過保護野郎に変身か…」



□□□■■



クラウドは時計を見てため息を付いた。
もう11時を回っている。子供は隣でうとうとしている。
「……明日になっちゃうかも知れないよ…?お家、帰ろうか?」
そう声をかけると、子供はムキになって頭をふった。
「駄目、待ってるの!」
ふくれっ面でクラウドを見上げ、泣き出しそうな声で呟く。
「今日のうちに、お誕生日、ママとするの。絶対にするの。……でないと」
「……でないと?」
子供は涙を必死に堪えるくしゃくしゃの顔になっている。
「……ママ、ボクのこと、嫌いなのかな…どうでもいいから、お仕事行っちゃったのかな…」
涙をにじませながらそう呟く子供に、クラウドの胸の中で鋭い痛みが走った。


――俺のこと、どうでもいいの?


ゴメンね、と言いながら仕事にいく母親の背に向かって、何度も言いかけた言葉。
言ってはいけないと頭では判っていても、寂しさが高じるとどうしても胸の奥から沸き上がってきた思い。


俺は、いない方がよかったんじゃないか――何度もそう考えた。


クラウドは黙って子供の頭を撫でた。
他にどうすればいいのか判らなかった。
本社ビルは、この時間になってもまだ人の出入りがある。母親が早く帰ってこないかと期待を込めて正面ドアを見つめていると、数人の男女が出てくるのが見えた。
そのうちの1人に、クラウドは見覚えがあった。


「……あの人、お母さんじゃない?」
そう声をかけると、俯いてべそをかいていた子がぱっと顔を上げる。
「ママ!」
そう叫ぶと、子供ははじける勢いで走り出していった。
子供に気が付いたらしい母親が、人の輪の中から慌てた様子で駆け寄る。
飛びつく子供を抱き上げる母親の周りに、同僚らしき人達が集まっている。
しっかりと子供を抱きしめる母親の姿に、クラウドは安堵した。


大丈夫、お母さんは君のこと大好きだ。
俺の母さんだって、きっと俺のこと、大事に思ってくれてた。
だから、大丈夫。
1人でも平気。
だって今日は、昨日よりも一つ大人になった日なんだから。


クラウドは散らばっていたゴミを集めると、袋に纏めて入れて立ち上がった。


――帰ろう。
明日帰ってくるサーに、朝ご飯用意しなくちゃ。
夜更かしして、朝寝坊したりしたら大変だ。




広場から歩道に降りる階段を軽快に降りるクラウドの目に、夜目にも明るい銀髪が見えた。
「サー?」
クラウドは思わず小声で呼んだ。泊まりだったんじゃないだろうか。
セフィロスが振り向く。僅かに目を見開き、駆け寄ってくる。
どうしたんだろう。
クラウドはあっと言う間に目の前にやってきたセフィロスに、心底不思議そうに訊ねた。


「どうしてここにいるんですか?」
「それはこちらのセリフだ……なぜ、こんな所へ」


そう言いかけたセフィロスの視線が、クラウドの頭上を越えて背後に向かう。聞こえてきた数人の声に、クラウドは慌ててセフィロスの背後に隠れた。


「どうした?」
「いえ、あの……その…」


説明できずにクラウドは小さく身体を縮こませた。
あんな小さな子供をこんな夜中まで外で待たせたと、母親に叱られたらどうしよう咄嗟に思ったのだ。情けないと思ったが、昔、言い訳すらさせてもらえず一方的に責められたことが頭の中に浮かぶ。
『ティファに何かあったら、どうするつもりだ!』
あの時のことを思い出すと、今も身の竦む思いがする。それと同時に、悔しいほど羨ましい。それだけ親が子を愛しているという、証明のように思えた。


セフィロスの背後に張り付くようにしていると、人の声が少し離れたところで止まった。どうやら、セフィロスに気が付いてそれ以上進めなくなったようだ。


「あの……サーセフィロスですか?」
優しそうな女性の声が聞こえる。
「そうだが」
「あの……男の子、見ませんでしたか?金髪の」
セフィロスは背中のクラウドがぎゅっと服を握りしめたのに気が付いた。顔を出したくないらしい。
「いや、誰も見ていないが。何かあったのか?」
しらばっくれたセフィロスの返事に、クラウドは顔を伏せたままほっとする。
「この子が私を待っている間、ずっと一緒にいてくれたようなので、お礼を言いたかったんです…どこに行っちゃったのかしら…。帰りが遅くなって、家の人に叱られなければいいけど…」
「お家、誰もいないって言ってたよ!1人なんだって」
落胆したような女性の声と、甲高い子供の声が重なった。母親にあって、子供は随分と元気が出たようだ。その子供の言葉に、セフィロスは片眉を上げる。


「ほう、1人だと?」
「うん!お誕生日なのに1人だからって!ボクと一緒だから、一緒にケーキ食べてお祝いしたんだ!」
物怖じしない子供に、母親は慌てたようだ。
「やだ、この子ったら!明日は本当に1日休み取ったから、ちゃーんと一緒にお祝いしましょ」
「約束だよ!遊園地連れて行ってね!」
「はいはい……でも、残念だわ、お礼言いたかったのに」
そうため息混じりの母親に、周囲の人々が気遣う声をかける。
「そのうちまた会えるかもよ」
「いやいや、坊やの守護天使だったのかも知れないよ。金髪碧眼のすっごく綺麗なお兄ちゃんだったんだろ」
「うん!すっごい綺麗!絵本の天使様に似てたよ!」
子供が勢いよく言うと、大人達は好意的な笑い声を上げた。


「今日、ママを借りちゃったお詫びしないとな」
「みんなでお誕生日プレゼントを贈るね」
親子を囲むようにしながら、人々はその場から立ち去っていった。
それを見送り、セフィロスは自分の背中に今も隠れたままのクラウドを見下ろす。


「会って、礼を聞いてやっても良かったんじゃないか?」
「……ううん、いい……なんか俺、顔合わせられない…」
「なぜ」
「……俺、あの母親に怒られるかもって思ったんだ。子供を外で待たせて、何て気が利かない、何かあったらどうする気だったんだって。……どんな人かも知らないのに、かってにそんな事想像して、あんないい人なのに申し訳なくて…」
「どんな人間か判らないから、そういう事もあり得ると思ったのだろう。自分を悪く思うな」
そう言って、下を向いているクラウドの頭に手を乗せる。情け無さそうな顔で見上げてくる少年に、セフィロスは自嘲気味の笑みを見せた。


「誕生日に1人だと思わせて、悪かった」
クラウドは目を丸くすると、勢いよく顔を横に振った。
「別にそんな。だって、仕事なのに」
「仕事じゃない。ちょっとした計画を立てた。慣れないことをして、外してしまったようだが」
「は?」
「誕生祝いなど、どうやればいいのか判らずザックスに任せたところ、ビックリパーティーと称する物を企画された。本人には何も知らせずにパーティーの用意をして、驚かせるという趣向らしいが」
「……え…?」
言われた意味がよく判らず、クラウドは考え込む。
「えと、それじゃ、あの…?」
「部屋でザックスがパーティーの用意をして待っている」
その言葉の内容が飲み込めると、クラウドは驚きの表情から急に顔を真っ赤にした。
「うわ、じゃ、俺、サーとザックスに待ちぼうけくらわせたんだ!ごめんなさい!」
「知らなかったんだから、仕方がない。謝るな」
笑いながら頭を撫でると、クラウドは戸惑うように目線をウロウロさせたが、やがてはにかんだ笑顔を浮かべた。


「……誕生祝いのパーティーなんて、始めてだ…」


そう噛みしめるように呟く。
控えめながら、心から嬉しそうな少年の笑顔に、セフィロスも微笑む。本社ビル前広場にある時計塔をちらりと見ると、時刻はあと数分で日付が変わろうかという頃。
セフィロスは周りに人がいないのを確かめると、「クラウド」と名を呼んだ。
無防備に顔を上げる少年の顎をとらえ、身体を屈めて口付ける。


「ハッピーバースディー、クラウド」


驚いて目を丸くした少年は一瞬口をぱくぱくさせたが、結局何も言わず、目を細めて柔らかく微笑む。
昨日よりも、ほんの少しだけ大人びた笑顔で。


「……ありがとう」


帰る道すがら、クラウドはそう呟く。それはセフィロスだけに聞こえるくらいの小さな声。クラウドは嬉しそうに微笑みを浮かべたまま、一心に帰り道を進む。




――帰ろう、家へ。
友達が待っていて、大好きな人と一緒にいられる場所。
大好きな人と同じ道を歩いて、たどり着ける場所へ帰ろう――。






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