エアコンのない家｜大庭建築設計事務所

大岡山の家３　　ED-House

エアコンのない家

　輻射冷暖房と空気循環ダクトによるSE構法3階建

　漆喰壁塗りのDIY

　南側で道路に接する住宅地に計画した戸建住宅です。高さ等の制限が厳しい第一種低層専用住宅、第一種高度地区にあたる地域です。この中でヴォリュームを確保するため地上3階地下1階としました。1階にはガレージドアのついたビルトインガレージが設けられています。日当りもよく風も通りやすい2階にメインのスペース、3階は北面への高度制限があるので、斜め屋根のロフト的な子どもたちのスペースとなっています。

　間取りと使い勝手、気に入った床壁等の仕上げを選ぶだけでなく、過ごし方についてもお客様とたくさんお話しました。風通しをよくして、快適に過ごすために、一般的に多く使われている風を吹出すエアコンではなくパネル輻射式の冷暖房システムを採用しました。真夏にこのシステムだけで過ごせるか一抹の不安もありましたが、昨夏は快適に過ごしていただけたようです。断熱性能も次世代省エネ基準、性能表示の省エネルギー等級4以上の性能を確保しています。南向きに道路が接していいるので南面に大きな窓を設けていますが、日射を遮るスクリーンを窓の外とバルコニーの上部等へ設置することにより室内がオーバーヒートすることを押さえました。屋根面や日当りの良い外壁面にはタイベックシルバーを使用するなどして日射からの取得をさらに制限しました。

　風通しを良くするため、南北の通風経路、上下の通風経路を考えて窓を設置しました。建物は地上3地下1階の上下に4層にわたるために必然的に一番上と直射日光のあたらない地階とでは温度差が大きくなります。この上下温度差を解消するため上下の空気を循環させるダクトを設置しました。冬場の日中は3階一番上の暖まった空気を地階に送り込みます。これで地階のベースの温度を上げることができ、夜の暖房負荷を軽くできると同時に、乾燥した空気が入るので地階がジメジメすることもありません。夏場は、地階のひんやりした空気を3階に送ることで暑さを軽減します。冷房で冷えた空気は下がってきますのでその空気を循環させる意味もあります。最上階には万が一の場合にエアコンを設置できるようにはしていますが、どうやらエアコンを加えずに過ごせそうです。

photo:アプローチ

ダイニングからリビング、外のウッドデッキ

　外壁はガルバリウム鋼板を横貼りしています。1階部分の外壁と出窓部分を白い左官材を採用。間口に対し縦に長い建物になるため、外壁を分割することで周囲に対し巨大なボリュームにならないようする意図があります。また左官材なのでもしもヒビなどが入ってもメンテナンスが容易なようになるべく地上に近い位置を左官材としました。

　バルコニーのフレームは亜鉛メッキしたスチールで耐候性を高め、目隠には天然木レッドシーダーを横に貼って浸透性の防腐塗料を塗りました。フェンスも同じデザインとしました。

　バルコニーの屋根面には太陽光パネルを電源とする電動のスクリーンがついています。

　各窓面には窓の外に手動のスクリーンを設置。過度な直射日光からの熱所得を押さえる工夫です。

photo:アプローチ

南東から

photo: 玄関ポスト

裏面のサービスバルコニー

　斜めの屋根〜外壁まで同じ素材、ガルバリウム後半で仕上げています。1階のガレージドアはレムコの製品、玄関ドアは引戸です。

　建物の裏面にもサービス用のバルコニーがあり、ここにも他と同じ素材を使いました。通風と目隠を考慮して斜めに貼っています。床は透明なFRPグレーチングﾞを使って、下階が暗くなりすぎないように注意しました。

photo:書斎本棚

地階個室　窓の奥はドライエリア　床はアカシヤ　壁の仕上げは漆喰　

photo:書斎机

　　　　　　みんなで協力して壁仕上　

玄関引戸

　パテ＆シーラー処理（建主さん施工）

photo:トイレ

素人の左官仕上　ラフ

photo:階段室1

　　左官屋さんのラフなフラット仕上げ　

玄関引戸

　この写真の中だけで10人！建主さんの人徳

みんなで左官

　みんなで寄ってたかって左官屋さん（笑）　

　千駄木の原田左官工業のご協力で指導してもらいながらコテを使って壁や天井を仕上げました。薄塗りですがホンモノの漆喰です。一部はパテ処理とシーラー処理までさせてもらいました。素人がやったラフな仕上げも個人的には好きです。ラフフラットという本職左官屋さんの仕上げはやはり違います(笑）。とにかくプロはスピードが違います。

　メインの空間（リビングとダイニング等）高さのある階段室はプロにまかせ、あとは友人知人、お子さんの友達も交えてみんなで仕上げました。みんなの思いのこもった家になったと思います。

玄関引戸