小さな敷地18坪に建つ東西に長い家
太陽も月も鳥も見える空に近い家
道路側外観 道路に接するのは4.5m
内部に入れば、内装は木を多く使っているのですが、外観はシルバーで一見メタルな感じがします(笑) 素材はガルバリウム鋼板です。ここでは断熱材を裏打ちしたサイディングになっているものを横方向に貼りました。この写真では見えませんが屋根もガルバリウム鋼板のシルバー(素地)を使っています。
駐車スペースの脇が細長い玄関です。玄関ドアの色はお住まいになるご家族と相談して決めました。玄関の前に植える予定のレモンの木に合わせて、レモンイエローに塗装しました。元気な色です。
駐車スペースはコストダウンもあり、当面は砂利敷としました。その上部、2階部分には床をスノコとして建ぺい率に入らない範囲のバルコニーを設けました。鉄骨のフレームは錆が出にくいよう、塗装などのメンテナンスをできる限り少なくするため亜鉛溶融メッキとしています。玄関と駐車スペースは窓を開ければつながるようになっています。
※その後、玄関と駐車スペースはコンクリート平板タイルを敷きました
エントランス
ドアの近くに自転車を置いています
右側は壁についた下足箱
天井にあるバーには傘などを干したり
玄関の中に入ったところです。
床は、こちらもコストダウンと、ひとつ挑戦してみよう(!)とお話して、砂利敷にしました。外のような内部のような、その中間のような、ということで(笑)
そうした意図は実現して訪れる人も面白がってはくれましたが、当時小さかったお子さんのベビーカーなどが押せない!などということで、一年ほどして、タイル敷に変更しました。駐車場スペースも出入りの際に砂利が飛び散るので、同様です。
広さは縦長に4畳分ありますので、この中には自転車も置いてあります。
玄関を入るとスノコの床の廊下と地階へ下りる階段、奥にタタミの間があります。
奥のタタミの間は玄関廊下より階段3段上がった高さです。その下の地下の天井高さを稼いでいます。
廊下と階段室
左は吹抜けで地下とつながっています
タタミの間から廊下と玄関を見る
左は2階へ上がる箱状の階段
階段室
階段踊場から
地下へ下りる階段室は吹抜けになっており、その中に鉄骨の階段をつけています。地下が暗くてジメジメした雰囲気にならないようにとの配慮です。駐車スペース側にも窓を設けているので、夏には道路側から朝日が入る時期もあります。廊下は地階にできるだけ光を落とすということでスノコ状にしました。
結果として地下が隔離された暗ーいところではなくなりました。
リビングからダイニング・キッチンを見る
2階が家の中心のフロア、家族が多くの時間を過ごすスペースです。リビング、ダイニング、キッチン、小さなロフトもあります。
床は桧のフローリング。上小節の節の少ないタイプを使いました。壁はシナ合板のパネルにオスモウッドワックスのホワイトを塗り、木目を残すよう拭き取った仕上げです。建主さんと友人たちで協力して仕上げました。家具も同様の仕上げです。家造りの作業をするのは楽しいですし、建設費も抑えることができる。ちょっとのメンテナンスは自分でもできてとてもいい。自分で作った感じがします。もちろんお時間があればですが。
右側の棚はその向こうの階段とを仕切る壁の変わりになっています。テレビはこれ以上大きくしないと決め、スピーカーなどのサイズに合わせてデザインしました。
奥のダイニングとキッチンの部分は、1階と同様に3段ほど(約60cm)上がったところにあります。スペースをちょっと区切ることができ、天井までの高さが変わるので、少し視線にも変化ができます。
ロフトからリビング・ダイニングを見たところ
リビングは大きさもそれほどないため、ソファを置くのはやめて階段の高さに合わせたベンチを置きました。階段やベンチに座ったり、桧の床も手触り足触りがいいのでそのまま座ることが多いようです。
ダイニングからみたリビング
階段とリビングを仕切る棚
テレビやアンプ、スピーカー、テレビなどのサイズと合わせた仕切り棚。
その他は本棚。小物はカゴ等に入れて収納します。
白い天井は木毛セメント板という材料。住宅ではあまり使いませんが、体育館の天井にも使われていることがあります。デコボコしているので広い空間の吸音などには有効です。
キッチンのカウンターからリビングを見る
奥にバルコーがあります。
バルコニーからリビングを見返す
バルコニーに面した浴室 明るいです
バルコニーでプールを広げて
水遊びは楽しい!
隣の窓が浴室です。部屋に入る時はお風呂経由でおねがいします(笑)
ダイニング+キッチンのスペース
ダイニングからキッチン、西側の窓を見る 奥にもサービスのバルコニー
集成材のテーブル 正面の凹みがベンチ
パーティの時の風景 楕円のダイニングテーブルは10人くらい座れる
キッチンからの眺め
ダイニングから食器のタナは扉なしのオープン
キッチンを見る
キッチンからリビングを見る
キッチンの位置がリビングよりも高いので部屋全体を見ることができます。
キッチンはオリジナルでのデザイン。ワークトップはメンテナンスのしやすいステンレスのヘアライン仕上げ。シンクも一体型。立上がりを30cmほどあげて、カウンターを付けています。これくらいの高さがあると手元が隠れて少し安心感があります。ステンレスの部分は立上がりまで1枚で成形しています。
上部の窓は南側の隣地の北側斜線の上にありますから,隣の家の屋根しか見えません。将来にわたって建物のできない部分です。つまり採光がずっと確保できる部分になります。
ダイニング 月が見えています
こちらもパーティの時の風景
夕暮れ時の風景 親子で
実際は一日中窓を開放、カーテン・ブラインドを開けておくというのは季節や時間も限られます。真夏は日差しを防ぐ必要があります。冬も夕方以降はブラインドを閉める方が保温性がよくなります。
こういったバランスはお住まいの地域や周辺状況の特性と、お住まいの皆さんとの考えで、いいバランスと方法が見つかると思います。この家では思い切って上部の窓を大きく取っていますが、どこでも誰でも同じやり方が良いわけではありません。もちろん押し付ける気もありません。
しかし季節のいい時の開放感と心地よさは他に変えがたいものがあります。特にこの写真のような、日が沈み切る前の瞬間、東京でも空の色はこんなにキレイなんだ、と思います。ほんの短い時間ですけれど。
明るくて都内でも空も近いと感じられるこの空間は、なかなか楽しいと思いますよ。
吹抜けで1階とつながる地下の階段
地階の書斎のスペース 奥が将来の子ども部屋
天井近くの横長の窓 地味に効いています
地下のドライエリア
地階の上部にある横長の窓
完成後間もなくの地階の書斎
現状は壁一杯の本棚に!
書斎だったところは、壁一面に本棚を設けて、中央に机を置きました。
子どもたちも大人も使えるスペースとしています。
奥の子ども室は合計で8畳しかないのでハイベット+机+クロゼーットとしました。ここではイケアのベッドともとからあった机の組み合わせ。
フローリング貼りもみんなで!
子どもスペース ハイベッド+机
ブーゲンビリア、フウセンカズラ、アサガオ
夏場に付ける日除け 南側の窓
西側バルコニーのゴーヤをスケッチ レモンの青い実とカマキリ
建物概要:
大岡山の家
OK-House
鉄骨造2階 地下RC1階
延床面積:96.52m2
設計 大庭建築設計事務所 /大庭 明典
構造 安藤建築事務所 /安藤 美樹
地階、ロフト、
外壁:ガルバリウム鋼板
屋根:ガルバリウム鋼板
床:桧縁甲板、タタミ
壁:シナ合板、RC打放し
天井:木毛セメント板、シナ合板
撮影:大庭明典、小出薫(小出写真事務所)