コリドラスのトリートメント

  

 実はわたしは過去にコリドラス全滅を経験しております。そんな悲しい思いをしないためにもトリートメントの必要性・その方法をご紹介したいと思います。




全滅したときの状況
コリドラス病気キャリア論
コリドラスにハマればハマるほど上がる病気発症のリスク
油断は禁物「トリートメント済コリドラス」
ショップで同居してる別のコリドラスや熱帯魚に注意!
病気の水一滴でも伝染るときは伝染る!
病原菌の魚体以外の侵入・発生経路
薬は正しく理解・使用する
裏ワザ!パラザン赤虫の作り方
わたしのトリートメントの方法

全滅したときの状況

 その頃、わたしは60センチ水槽でいろんなコリを特に問題なく健康な状態で飼育しておりました。その水槽に今はなきウチダ熱帯魚で状態極上のステルバイを購入して、いつもどおり水あわせだけして、いっしょに入れたところ、入れた当日に、元からいたコリも新しいステルバイも、身体がうっ血状態、目が窪んで全滅してしまったのです。

 見た目上は元からいたコリも新しいコリも異常なく、健康そのものだったのに、突然発症して全滅してしまったわけです。

 この経験をしてからトリートメントに気を使うようになったのですが、まず病気に関して以下のような「コリドラス病気キャリア論」という持論があります。

コリドラス病気キャリア論

〜見た目が元気なコリドラスでも実は病気のキャリアーであることがあり、そのコリドラスが持ち込む菌によって抗体を持たない別のコリドラスが病気を発症することがあるのではないか。〜

仮定
◎それぞれの水槽の中、あるいはコリドラスが、病原菌A、B、C・・・と一種類ずつあるいは数種類の病原菌がいる、あるいは、水槽に菌はいないか、コリドラスが菌のキャリアあるいはノンキャリアの状態である。

発症するパターン
●既存のコリドラスがいない水槽に新しいコリを入れると、全滅してしまうパターン
・キャリアAのコリドラスをBの菌がいる水槽に入れるとBに対して抗体を持たないので発症してしまう。

●既存のコリドラスがいる水槽に新しいコリを入れると、全滅してしまうパターン
・キャリアBCのコリドラスをキャリアABのコリドラスがいる水槽に入れるとBの菌に対してはそれぞれのコリドラスに抗体があるが、キャリアBCのコリドラスにはAの抗体がなく、キャリアABのコリドラスにはCの抗体がないの、で新しいコリドラスも、もとからいたコリドラスも発症してしまう。

●既存のコリドラスがいる水槽に新しいコリドラスを入れると、新しいコリドラスだけ死んでしまうパターン
・キャリアAのコリドラスをABの菌がいる水槽に入れると新しいコリドラスがBに対して抗体を持たないので新しいコリドラスだけ発症してしまう。

●既存のコリドラスがいる水槽に新しいコリドラスを入れると、既存のコリドラスだけ死んでしまうパターン
・キャリアABのコリドラスをBの菌がいる水槽に入れると既存のコリドラスがAに対して抗体を持たないので既存のコリドラスだけ発症してしまう。

発症しないパターン
・キャリアAのコリドラスを無菌状態の水槽に入れても発症しない。
・キャリアAのコリドラスをAの菌がいる水槽に入れてもAに対して抗体を持つので発症しない。
・キャリアABのコリドラスをキャリアABのコリドラスがいる水槽に入れても互いに同じ抗体を持つので発症しない。
・コリドラスの抵抗力が新たな菌に対して勝っている状態である。

発症のリスクの高低としてそれぞの項目が当てはまるほど、リスクが高まったり、低まります。






・ショップでのトリートメントなし
・入荷直後
・病気になりやすいコリドラスとの混合販売
・病気にかかったコリドラスとの混合販売
・自宅でのトリートメントなし
・すでに生体がいる水槽に放流






・ショップでのトリートメントあり
・入荷されて時間が経過している
・混合販売の場合、他に病気や調子の悪そうな魚がいない
・自宅でのトリートメントあり
・購入したコリドラスのみでの飼育


コリドラスにハマればハマるほど上がる病気発症のリスク

 意外にも初心者のころの方が病気が出にくいのです。コリドラスにハマって来ると、いろんなお店に出かけていろんなコリドラスを買ってきたり、珍しい種類だと少々状態が悪くても、売り切れてしまう前に購入したりすることもあります。それだけいろんな菌を持ち込んだり、体調の落ちて抵抗力の落ちたコリドラスを水槽に入れることになり、リスクが上がるわけです。

油断は禁物「トリートメント済コリドラス」

 気の利いたショップですと、トリートメントを済ませてから店頭に出したり、販売を始めるところがあります。確かにそのコリドラスはトリートメントしていないコリドラスより発症のリスクは低いですが、自宅でトリートメントをしなくてもだいじょうぶ。というわけではありません。「あくまでも」そのお店でのトリートメントが終わっただけであり、自宅でもトリートメントをしないと、なんらかの菌を持ち込む可能性はあるわけです。

ショップで同居してる別のコリドラスや熱帯魚に注意!

 コリドラスを種類ごとに水槽に分けて飼育・販売しているショップならば、問題ないのですが、スペースの都合上、そうもいかないショップが大半です。ここで同居しているコリドラスの種類や別の熱帯魚によってリスクが上がってきます。

 いわゆる病気になりやすいコリドラスというのがいます。シクリやイルミネータス、東南アジアブリードもののパンダが代表格です。また、産地によってやたら寄生虫がついていることもあります。また、他の熱帯魚としてはディスカス、そういった種類といっしょの水槽に入れられているコリドラスはキャリアーになっている可能性があり、購入は避けた方が賢明です。

病原菌の魚体以外の侵入・発生経路

 菌を持ち込むのは新しいコリドラスだけではなく、イトメなどの活きエサもリスクが高いです。確かに嗜好性が強いエサではありますが、人工フードで十分育成できますのでリスク覚悟してまでムリしてあげる必要はありません。

 また、水槽の中の底砂の奥に潜んでいて、水替え時に大量に底砂を巻き上げたり、季節の変わり目などでコリドラスの体調が落ちたときに突然、発症してしまうことがあります。

病気の水一滴でも伝染るときは伝染る!

 ディスカスを飼育してる人の間ではよくある話ですが、「病気の水槽の水が一滴入っただけでもディスカスは真っ黒、粘膜出してクモの巣状になる。」という話があります。これは極端な例ですが、水替え器具やネットの複数の水槽での使いまわしはリスクがあります。

 カンタンな殺菌方法として「熱湯消毒」があります。リスクを感じたら、お風呂場で器具に熱湯をかけて消毒すると多少は安心です。

薬は正しく理解・使用する

 人間の薬に例えますと、頭痛がするのに胃腸薬を飲んでも頭痛が治らないのと同じで、魚病薬もその症状に見合った薬の使用が必要です。たとえば、細菌系の病気に白点病用のメチレンブルーを入れてもほとんど効果がありません。(まったくないわけでもないですが。)

魚用の薬は名前が似ていても成分はまったく違うものであることがよくあります。(例 グリーンF、グリーンFゴールド、グリーンFゴールド・リキッドはそれぞれ成分がまったく違う)間違えないように気をつけましょう。

揃えておきたい薬として以下のいくつかがあげられます。


エルバージュ

グリーンFゴールド顆粒

パラザンDもしくはグリーンFゴールド・リキッド
(ともにオキソリン酸系)
※写真のものは粉末タイプのパラザン

トロピカルN(寄生虫の駆除用)
※リフィッシュはコリドラスには強すぎる


特にエルバージュは小袋のものが数百円と安価なので常備しておきたい薬です。

裏ワザ!パラザン赤虫の作り方

 パラザン(オキソリン酸)は本来経口薬です。水中に溶かすよりもエサに含ませて投薬した方が効果があります。そこでパラザンを赤虫に含ませてコリドラスに与える方法です。
・赤虫2〜3カケラを魚掬い用のネットに入れ、水道で溶かす。
・溶かした赤虫を赤虫のトレイに戻し、パラザンをまんべんなく振り掛ける
・再度冷凍する。
・通常の赤虫と同じようにコリドラスに与える。

 ショップでバイトしていたとき、この方法でコリドラスを立ち上げていました。

 最近もこの方法で、入荷直後で調子を崩していたコリドラスを無事立ち上げることができた。とご連絡いただいております。

わたしのトリートメントの方法

・30センチ or 45センチ水槽をトリートメントタンクとして用意。
 ↓
・フィルターは底面、スポンジ等。ろ材に活性炭が入っていると薬を吸着してしまうので取り除く
 ↓
・新しいコリドラスが来たら温度あわせ・水あわせをしたのち、まずパラザンで一週間ほど薬浴。
 ↓
・一週間後、問題なければ水替えをして、今度はエルバージュorグリーンFゴールド顆粒を投入。一週間ほど薬浴。(パラザンが効かない菌を殺すため)
 ↓
・一週間後、問題なければ本水槽へ。寄生虫がいればトロピカルNで薬浴。
 ↓
・本水槽への投入時には念のためパラザンを本水槽へ。


 という感じでちょっと過剰かもしれませんが、以上のトリートメントするようにしてからは導入時のコリドラスの落ちは皆無。となっております。

 パラザンは水草やろ過バクテリアに影響が少ないようです。他の薬だと、水草が枯れてしまったり、ろ過バクテリアが死滅して強烈に濁ったりしますが、パラザンはpHは多少上がるものの、水質は特に変化しません。

 最近は水槽に余裕があるので、購入したコリドラスごとにトリメン水槽を用意して薬は極力使わずに2〜3ヶ月かけてゆっくりとトリートメントしております。体力が着くと抵抗力が上がるためほとんど発症しません。

 病気の不安がある水槽は最後に水替えをしたり、器具を熱湯消毒したりして対応しています。





ということで

 以上長くなりましたが、簡潔にまとめますと、「初めて出会う菌にコリドラスは弱い。」ということです。けっして薬漬けにしろ。という意味ではありませんが、コリドラスの寿命がまっとうできる様にしっかりトリートメントしてお迎えしてあげてください。