レビューというか、あらすじ+突っ込みというか、ドンヒョクに惚れた管理人がこれでもかとドンヒョクの魅力を中心に感想を書いたものです。 ネット配信とDVDの比較などはこちら ◆登場人物一覧 ◆ソウルホテル全体図 |
第20話 僕のもとへ来る日 パールヴィラの前。車の傍で携帯をいじり、ユンヒを待っているヨンジェ。「永遠に愛してる」なんてメールなんか打っちゃって、この期に及んで往生際の悪いやつよのう。そこへ現れるユンヒ。空港ではテジュンでなくヨンジェに見送ってもらうつもりだと聞き、ヨンジェは上機嫌。わかってないな。本当に別れが惜しい人には見送ってほしくないもんだよ。ユンヒも罪な女よのう。 留学前の思い出に宿泊していたのだろうか、荷物を全部車に積んだか確認したあと、ユンヒはパールヴィラの中へ入り、愛用のMDプレーヤーをヨンジェに渡す。中へ入りたいヨンジェに、彼女は「一人になりたいの。ごめんね」とにっこり笑ってドアを閉めてしまう。放心状態のヨンジェ(^^;) 頑張れ。先は長いぞ。
イ先輩だってもてるからいつかは……と見え透いた慰めを言うジニョン。それってすごくイヤミなんですけど(^^;) そこへやってくるテジュン。どうやら今日は大きなイベントがあるみたい。こないだカサブランカの説明中、途中で逃げ出したときのようにサボるなよとジニョンに釘を刺す。ソ支配人なら大丈夫です。今日のためにダイヤの指輪もはめてるほどの気の入れようですからとスンジョンがすかさず言いつける。とっさにスンジョンをつつき、ハウスキーパーたちに指示を出してごまかすジニョン。 ここ、なんか納得いかない。テジュンに知られたっていいだろが。あんたはドンヒョクのプロポーズを受けて、何があっても一生そばにいるって誓ったんだろが。元恋人に見られたくないなら職場に婚約指輪なんてしてくんなよ、と小一時間説教してやりたい。ええ、してやりますともさ。 ソ支配人も変わったわ。プロポーズされると自信満々ねと、去っていくテジュンに聞こえよがしに声を張り上げるスンジョン。そんな彼女の意地悪にジニョンはやめてよと怒る。テジュンさんの前で何を言うんですか。 テジュンさんだって知ってるわよ。三角関係が崩れたこと。自分たちにはロマンスでも私たちにはスキャンダルよ(←これ、名言だと思う)。面白がって何が悪いの? あなたは両手に団子で指輪までもらって楽しいでしょうけど、私がやっかまないとでも思って? シン・ドンヒョク氏とテジュンさんを両天秤にかけて……。 両天秤ですって!? あまりの言いようにジニョンはついに堪忍袋の緒が切れる。イ先輩、あなたって低俗ね。捨てゼリフを残すとそのまま行ってしまう(いや、だけど、見てるとほんとに両天秤だよな(^^;))。 今度はスンジョンの切れる番。低俗ですって!? よくも生ける教養のこの私に。ダイヤが何よ! そこへたまたま歩いてくるオ支配人。スンジョンの剣幕に思わずたじろいで引いちゃってるのがおかしい。
なによ。悩んでるときには相談に乗ってあげたのに。しかもおごってあげたのに。低俗ですって? あんな安っぽい指輪ひとつで……。 それを聞きつけ、にっこり笑って指輪のケースを彼女の目の前に差し出すオ支配人。目を丸くして見上げるスンジョンに照れ笑いをしながら言う。 安物だけど。スンジョンさんのレベルに合わせたら貯金が消えてしまうから、悪いが俺が買えるレベルの指輪なんだ。 そんな……レベルなんて。機嫌を直して微笑むスンジョン。手を出してと言われ、でもこの指輪の意味は? 同僚としての単純な贈り物じゃないと受け取るわけにはいかないわ、ともったいぶる。 短気なオ支配人は有無を言わせず彼女の左手を取り、その薬指に指輪をはめる……はずが、どんなに力任せに押し込んでも、第二関節までしか入らない。そ、そんなことって(笑) ここ、オ支配人が実際のスンジョンの指をもっと華奢だと想像してたことがうかがえて微笑ましい。 ブロコリのホテリアーファン資料室の#27にある「本編とはチョット違う「ホテリア」台本 20話」(MBCのサイトにあった台本の翻訳。以下、「幻の20話」と呼びます。)では、指輪が入らず、たまりかねたオ支配人が、「なんでこんなに指が太いんだ。これは普通の女性サイズなのに」とうっかり口を滑らせてしまい、怒ったスンジョンが指輪を投げ捨てて出て行き、後に残されたオ支配人がどこかへ行ってしまった指輪を探してオロオロするという展開になっています。そういうコミカルなのも見たかったな。
テジュンの脳裏にジニョンとの思い出が蘇る。 ラスベガス。車の助手席でいたずらっぽく笑うジニョン。 テジュンが同棲していると誤解し、怒って帰ろうとするジニョン。 噴水のところでテジュンの名を叫ぶジニョン。 私ってその程度の存在だったの……? 涙をこぼし、そっと問いかけるジニョン。 そんな目で見ないでよ。バスローブ姿で困惑しているジニョン。 おかえりなさい、総支配人。階段で投げキッスするジニョン……。 いくつもいくつも、ジニョンの言葉が笑顔があふれてきて、テジュンの胸のうちを満たす。 友達だ――自分の言葉が耳にこだまする。 そうね、ソウルに帰っても私たち友達でいましょう。その方が気が楽だし……。こわばった顔で微笑んだジニョン。 目を閉じ、かぶりを振るテジュン。 なぜあんなことを言ってしまったんだ……。 テジュンさんは最高の友達よ。笑って腕を取ったジニョン。 違う。友達なんかじゃない。友達と呼ぶにはこんなにも深く、おまえは俺の胸に入り込んでいるじゃないか。 決意を秘めてテジュンは顔を上げる。力強い足取りでロビーを横切り、イベントのあった会場へ。ジニョンを探すのだ。会って、自分の気持ちを伝えよう。俺にはおまえが必要なのだと。たとえもう手遅れだとしても。このまま終わらせはしない。
やだもう。こんなところで何やってるのよ。びっくりしたじゃないの。そんなふうにジニョンが半分笑いながら怒っているさまがガラス越しに見える。いつもと違うテジュンの様子に気づかず、イベントが無事終わったことを報告しようとしている。 だが、テジュンの瞳にあふれてくる涙を見て、ジニョンは言葉を失う。 テジュンは悟る。これが今の俺たちなんだ。こんなに近くにいて、姿も見えるのに、俺の声も手もおまえには届かない。運命という名のガラスが二人の間を隔ててしまった。 もはや遅すぎたのだ。今の俺に何が言える? ジニョンを苦しめるだけだ。 俺がジニョンの恋人に戻るのは、総支配人として見事にソウルホテルを立て直したときだ。それまではジニョンの言う「友達」に甘んじていよう――そう思っていた。それは男としての だが、運命の女神は残酷だ。おまえの前にあの男をつかわした。 シン・ドンヒョク――やつは意地もプライドもかなぐり捨て、すべてをなげうってジニョンを求めた。ソウルホテルとジニョン、両方をこの手に掴もうとした俺に、今さら彼女の愛を求める資格があるだろうか。シン・ドンヒョクに命がけでホテルを守ってもらった俺に、彼からジニョンを奪う資格があるだろうか。もしも今ここで彼女を引き止めることができたとしても、俺はきっと一生自分を許すことができないだろう。 だから、これが最後だ。おまえをこんなふうに見つめるのは。明日からはまた友達に戻ろう。今はただ、こうしておまえの顔を見つめていたい。 テジュンのまなざしに自分への愛をはっきりと感じ取るジニョン。しかし同時に彼女はテジュンがその想いを断ち切る覚悟を決めたことを知る。ジニョンはなすすべもなく、その場に立ち尽くすしかなかった。 翌日。サファイアヴィラへと歩を進めるジニョン。ドンヒョクの部屋の前で立ち止まる。不安げな顔。何かを言い出そうとして言えない。そんな表情の彼女は、やがてヴィラの横手へと回って壁にもたれ、左手の指輪に目を落とす。 ちょっとちょっと、何なんざます、この展開は。まさか指輪を返して、やっぱり私はテジュンさんを諦めることができませんとかドンヒョクに言うつもりじゃないでしょうね。何やっとんねん(^_^メ) ピクピク スンジョンの言ったとおり、両天秤以外の何ものでもないやんか。テジュンが本命でドンヒョクはキープくんかいな。テジュンがちょっとうるうる目で見たからって、そんなに簡単にふらふらされてたまるか。ヴァカモノ! 喝! 視聴者をハラハラさせるドラマの手法でしょと言っちゃうとミもフタもないが、このシーンがあるせいでジニョンの評価はガタ落ちだ。彼女を弁護する理由を考えてみたが、どうやっても“見たまま”なのでどうしようもない(-_-;) ノベライズにはこのシーンは載っていない。というか、テジュンのうるうるシーン自体が載っていないので、ここでのジニョンは構内巡回でサファイアヴィラに立ち寄り、ドンヒョクに会いたいと思うものの、「それではけじめがなくだらしないという思い」から、部屋を訪れるのを思いとどまるというシーンになっている。 つまり、「ああ、愛するドンヒョクさんに会いたい。でも勤務中なのにダメよね(悶々)」とドンヒョクラブ、ドンヒョク命な状態なのである。テジュンのシーンがなかったことになってるので、ジニョンもふらふらしようがないわけだ。 「幻の20話」では、テジュンはうるうるしてるだけじゃなくて、ちゃんとジニョンに求愛することになっている。「シン・ドンヒョクとの結婚は考え直せ。俺たちほどお互いのことをよく理解しあっている者はいないじゃないか」とジニョンをかきくどくのである。そして、「言うべきことを言わずに後悔することだけはしたくなかった」と言い残し、うろたえているジニョンを置いて去ってゆくのである。こっちの方がじれったくてイライラすることもなく、自然な成り行きですっきりするような気がする。 さて、ジニョンが指輪を触りながらいじいじしていると、そこへ黒塗りの車が。降り立ったのはテジュン、そして秘書と看護師に両脇を支えられた社長。何事かと目をみはるジニョン。出てきた看護師とテジュンの会話を漏れ聞いて、社長が不治の病に冒されていることを悟る。看護師を見送り、部屋に戻りかけたテジュンは、ふとジニョンに気づく。 (それにしても、病気を隠しておきたいんなら、ドンヒョクの部屋と目と鼻の先に滞在するって有り得んやろ;) テジュンにすべてを聞いたジニョンはヴィラの社長を訪ねる。彼女がドンヒョクのプロポーズを受けて渡米するつもりでいることを知らない社長は、自分の死後、テジュンとともにソウルホテルをいつまでも守ってほしいとジニョンに頼む。 何もかもを達観したような穏かな顔の社長。その最後の頼みを断ることができず、ジニョンは「はい」とうなずいてしまう。 新館完成の日、テジュンやジニョンたち支配人は社長とともにテープカットを行う。中二階から満足げにロビーを見下ろす社長たち。テジュンとジニョンは他の従業員たちの肩越しに目と目で語り合う。まるで亡きチェ社長存命のころの写真のように。
ダイアモンドヴィラの庭園。従業員たちが集まり、新館完成の祝賀パーティーが開かれている(「幻の20話」によると、ここにソン女史やスジン、人質犯、酔っ払い男など、今までのゲストたちも勢ぞろいする予定だったようだ。ギャラが足りなくて実現できなかったのかしら)。 飲み物コーナーを担当しているジニョン。そこへスンジョンが現れ、オ支配人からもらった指輪をこれみよがしにチラつかせる。
「キリマンジャロのヒョウよ」 ←言いすぎ(笑) 「ノ料理長?」 ←ナイス突っ込み なんでやねん! と目をむくスンジョンに、「オ支配人からね。ステキ」と笑顔で祝福するジニョン。が、指輪が第二関節の手前で止まっているのを見て、なんでちゃんとはめないのと訊く。つけたりはずしたり面倒だからとごまかすスンジョン。 突っ込まれるとわかってても、一刻も早く見せびらかしたかったスンジョンの女心が泣かせる。 拍手の音に二人が振り返ると、ヴィラの中から社長とテジュン、ヨンジェが現れる。エントランスにしつらえられたマイクの前に立つ社長。 テジュンが急いで背の低い社長に合わせてマイクの高さを調節すると、周りから笑いがもれる。これはどうもハプニングみたいな気がするんだけど。小道具さんが調節し忘れたのかな。 “ビジョン21”をやり遂げた喜びを語る社長(それでもまだマイクの位置が高そう。首が筋張ってますがな(^^;))。自分の持ち株28%分を全て従業員に分け与えると宣言すると、彼らの間でどよめきが起こる。 「みなさんが当然持っているべき権利を、やっとお返しすることができます。私はこれから愛する皆さんを置いて、遠い旅に出ます。美しい想い出をお客さまに作って差し上げるのがホテルマンの生きがいであるように、私も皆さんの中に美しい記憶として留まりたいと思います」 ……って社長が涙をこらえながら爆弾発言してるのに、なんでみんな聞き流してるんだってば(^^;) 病気のことはまだみんな知らないんでしょ。株がもらえると聞いたとたんに頭の中は銭勘定でいっぱいかい。オレの、オレの、オレの話を聞け~♪ ここでちょっと納得いかないのは、社長がホテルを守ってくれたドンヒョクに対し、一言の感謝の気持ちも述べていないこと。個人的にはお礼を言ってるんだろうか。みんなの前で感謝状くらいあげてほしい。 話し終えてダイアモンドヴィラの中に戻った社長は、ソファにぐったりと体を預ける。すべてを悟ったヨンジェは今までの親不孝を詫びる。いつだってお前を信じていたわと微笑む社長。ヨンジェはそんな母親の手を取って送っていく。すれ違ってばかりいた母と子の心は、ようやく寄り添うことが出来たのだった。
その歌をバックにドンヒョクとレオ(←ついで)登場! やっと来た~! 最終回だってのに遅かったじゃないのよ~。 大勢の人の中からお互いの姿を見つけ、じっと見つめあうドンヒョクとジニョン。やがてジニョンの前に立ったドンヒョクは懐から航空券を取り出す。 僕と来てくれるね? 柔らかな光をたたえて彼の瞳が訊いている。複雑な表情で航空券を受け取るジニョン。 二人は並んでサファイアヴィラへの坂道を上っている。ニューヨークに行ったらどこに行きたい? 自由の女神? それともエンパイアステートビル? ああ、レオは違うんだよ。コリアタウンのコムタン(牛のスープ)レストランに直行するんだ。飛行機から降りたらお腹がすくんだって。 饒舌に話し続けるドンヒョク。やがて始まるジニョンとの新生活に浮かれているのか、それとも、彼女の表情に宿る影に気づいたせいだろうか。 意を決したジニョンは顔を上げてまっすぐにドンヒョクの目を見つめて言う。ドンヒョクさん、お話があります。実は私……一緒に行けません。どうしようもないの。ごめんなさい。
薄紅の花が満開の木の下で、二人は長い間たたずんでいる。 ジニョンが航空券を差し出し、ドンヒョクが彼女の体にそっと腕を回して抱きしめる。 そんなシルエットが無言劇のように展開されたあと、ただひとり取り残されるドンヒョクの姿が浮かび上がる。ジニョンを翻意させることはできなかったようだ。 悲しくも美しいシーン。この木は桜の木なんでしょうか。でも6月だしねえ。うんと遅咲きの山桜とか? 白いものが舞う姿がライトに浮かび上がっているけど、これは桜吹雪じゃなくて、どうも虫みたいですね~(^^;) ライトアップされてるので光に惹かれて寄って来るんでしょう。以上、ムードぶちこわし、知らなきゃよかった余計なお世話の解説でした(^^;) サファイアヴィラ。検察には予定通り明日発つと答えたと、荷造りしながらレオが報告する。キム会長の処分は善処を頼んだが、相当の罰金を食らうだろう。
レオの話を半ば上の空で聞きながら、ドンヒョクはデジタルビデオカメラをパソコンに接続する。現れるジニョンの動画……って、ああた、いったいこんなものいつの間にとったんですか!ヾ(°∇°*) オイオイ 彼女のことはどうするんだ? とドンヒョクに訊くレオ。行きたくないと言うものはしょうがないじゃないか。 「でも僕は彼女を失えない……」 画面のジニョンを見つめたまま、つぶやくドンヒョク。 ジニョンのアパート。ジェニーがコーヒー豆を挽いている。そこへくたくたに疲れきったジニョンが帰ってくる。ジニョンにコーヒーを入れてやり、兄と一緒に渡米するのかと尋ねるジェニー。彼女は仕事を選び、韓国に留まると言う。 「私はどうしたらいいんだろう。ジェニーはどう思う?」 ↑そんなこと人に訊くなよ 砂漠でジニョンさんを置き去りにしたときのことを思い出すと言うジェニー。 「あのとき、テジュンさんはジニョンさんを降ろした場所に戻って、ジニョン、ジニョンって狂ったみたいに叫んでた。あの声が忘れられない……」 ←そんな、洗脳するみたいに(^^;) ちょいとちょいとジェニーはん、あんたはいったいどっちの味方でんねん。なじみの薄い実の兄より、長年兄のように親しんだテジュンを選ぶんかい。不憫だ~ドンヒョク~(号泣) テジュンさんは私がいなくなったら、一生そうやって私の名前を呼んでるのかしらとつぶやくジニョン。 ←どこからこの自信が? ドンヒョクから明日の飛行機のチケットをもらったことを告げるジニョン。どうするんですかとジェニーに訊かれるが、ジニョン自身もまだ答を見つけられずにいるのだった。
立ち去るときにヒョンチョルが深々とお辞儀をするのだが、それすら目に入っていないようだ(去って行くヒョンチョルがどうしたのかなという感じでかすかに首をひねっているのが芸が細かい)。 レオは時間を気にするものの、そんなボスの気持ちが痛いほどわかるだけに、声をかけられずにいる。(ここのBGMはもちろん「Love is just a dream」) フロントに戻ったヒョンチョルが「シン・ドンヒョクさんがチェックアウトされました」と報告する声が聞こえる。ピクリと体をこわばらせるジニョン。その手には航空券が握り締められている。業務連絡を交わす仲間の声も彼女の耳には入らない(仕事せーよ)。 再びサファイアヴィラ。彫像のように微動だにしないボスに、レオはたまりかねて言葉をかける。もうタイムリミットだ。 運転席に乗り込んだレオがエンジンをかけると、ついにドンヒョクも諦めたようにうなだれ、車へと向きかける。が、一歩踏み出したと思うとまた振り向いてしまう。あの夜、二人で歩いた道を、彼女が今にも息せき切って上って来そうで。 しかしそれは夢だ。叶わぬ夢なのだ。ドンヒョクは苦渋に満ちた顔で車に乗り込む。やがて彼を乗せたジャガーは坂道を下ってゆく。 ヒョンチョルに少し休むと言い残し、ジニョンはビジネスセンターの扉を開ける。そこではフロント嬢のジョンヒョンがパソコンに向かって何やら作業をしている。 どれだけかかるの? 一人で休みたいんだけど……と、「とっとと出ておいき」オーラをビシバシ発するジニョン。こらこら、あんたはサボリやけど、この人は仕事してはんねんで~(^^;) そのころ、ドンヒョクの車は空港への道をひた走っている。車中で携帯を操作するドンヒョク(酔いまっせ)。
ここでちょっと、ドンヒョクから来たメールのタイトル一覧をご覧ください。とっても興味深いです。 (全部で14通。下から上に向かって新しくなっていく。紺字のタイトルは実際にドラマの中で読み上げられたメール)
まずは突っ込みどころ。 ・空港に向かっているドンヒョクが送ったメール(後から着くはず)が14番目に既にある(!) ・「初めてのメール」より前にメールがある。 ・8回目のメールと、12~22回目のメールが抜けている。 ・1、12、13に「〇回目のメール」という言葉が抜けている。 この後、「初めてのメール 海で」と「23回目のメール あなたを忘れることはできません」を開くシーンが出てきますが、どっちも2001年6月6日18時頃に送信したことになっています。おいおい; スタッフが一度にまとめて作ったんだろうなあ……。 ←暴露しちゃっていいのか(^^;) ここまで重箱の隅を突つかれるとは思わなかったのでしょう。穴だらけです。制作者のケンチャナヨ精神がうかがえます。日本のオタクをなめるんじゃないわよ(笑) で、面白いのが実際にドラマで読み上げられた以外のメールのタイトル。「眠れぬ夜」って二重扉の監禁キス事件の日あたりかな。「誰よりも愛しいその名前」は単なるラブレター? 「ホテルのことしか知らないジニョンさんへ」、このちょっとからかうような口調にジニョンを可愛いと思っている心情がにじみ出てますね。 「ハン・テジュン総支配人は?」って何が言いたいんだろう……などなど、いろんなことを想像して楽しめます。 それにしても、毎回「〇回目のメール」って数えてたんだ。23通も。 「1回目、2回目……15回目、16回目……ああ、もうこれで21回目だ。僕はこんなにたくさんメールを送っているのに、ジニョンさんは……ジニョンさんは……一度も返事をくれないんですね。うっうっ;;」 ……え? せっかくの感動的なシーンだっていうのに、しょうもない突っ込みで水を差すな?(^^;) ごもっとも、ごもっとも。では仕切り直して。 ビジネスセンター。パソコンの画面いっぱいに受信メール一覧が。驚いてジニョンに知らせるジョンヒョン。 全部フランク・シンさんからと聞いて、パソコンに飛びつくジニョン。もどがしげにマウスをクリックし、ひとつひとつ開いてゆく。 <ジニョンさん、僕は今、海に来ています> それは父親と会ったあと、彼が海から打ったメール。 <ずっと憎んできた父と会いました……。でもそれは恋しさだとわかりました。 今、ジニョンさんがそばにいてくれたらいいのに>
画面に目を当てたまま、愛おしむように微笑むジニョン。あの夜、閉店時間を過ぎたラウンジで、彼がいつになく深酔いしていた理由がこれでわかった。 そのあと、ダイアモンドヴィラでの二人きりのダンス。 <誰にも邪魔されず、5分だけでも……> 雨の中、二人で上着をかざして車まで走ったあの夜。 <雨に濡れたでしょう? また会う機会を作ろうと上着を貸したのに連絡がないね。 ジニョンさんのパソコンはまだ直らないの?> 電話で起こされて教会へ連れていかれたあの朝。 <今日、教会ですべてを告白するつもりでした。僕がここへ来た理由とその目的を……> 彼の言葉を聞こうともせず、一方的になじってネックレスを叩き返してしまったあの日。 <ごめんなさい。あなたを傷つけてしまった。ジニョンさんが望むならすべてを捨ててもいい。だから僕から離れないで。僕にはジニョンさんがすべてです> あのとき、あのとき、そしてあのとき……。ドンヒョクと過ごした日々が、彼の想いが、一度にジニョンの胸に押し寄せてくる。あふれてくる。 笑い、泣き、怒り、傷つき傷つけて……。胸が痛くなるくらいせつなくて、苦しくて、それでも幸せだった、この数ヶ月間。 思い出とともにジニョンの瞳に涙が浮かぶ。そのとき、 「オモ、新しいメールが」 って、ジョンヒョ~ン!(絶叫) あんた、なに一緒になって読んでんねん! 二人だけの愛の世界に首突っ込んでんじゃないわよ~!!
急いでメールを開けるジニョン。 <あなたを忘れることはできません> ジニョンはたまらずビジネスセンターを飛び出し、客の荷物を運んでいたヨンジェを見つけると、有無を言わさず外へ引っ張ってゆく。 (っつーことは、後に残されたジョンヒョンは、一人でメールの続きを読んでるのか? それはやだ~(>_<))。 そんなことも知らず、携帯電話を持ったまま、車の窓から外を見やって想いに耽っているドンヒョク。 ジニョンはヨンジェの黄色いフォードに乗って後を追う。 <あなたを忘れることはできません。たとえどこにいても、何をしていても、僕はあなたを失うことはできません。 これが最後だとは思えなくて、だからさよならは言わずに行きます。 疲れ果てた僕を温かく包んでくれたあなたを 僕は失うことはできません。 もうすぐ空港です。 空港であなたが待っているような気がします。 「今度はドンヒョクさんが遅刻よ」と笑いながら、僕を待っていてくれるような……> 空港に着いたドンヒョクは、叶わぬ願いと知りながら、わずかな期待を込めてあたりを見回す。 <僕はどこにいようと、胸の奥にソ・ジニョンという名を抱いて生きてゆきます。 どんなに多くの人がいても、僕はジニョンさんの声だけが聞きたい。ジニョンさんの姿だけを探したい。 ジニョンさん、今どこにいるのですか? 何をしていますか? あなたの姿が見えません。声も聞こえません。 胸に残る、あなたの温もりだけを感じます> ようやく空港に着いたジニョンは、ドンヒョクの姿を求めて走り出す。 <もう時間です。最後にひと目会いたかった。 ジニョンさん、僕達の愛が試されるときが来たようですね。 僕が戻るにせよ、あなたが来るにせよ、もう一度会える日を待ちましょう> ドンヒョクはレオとともに搭乗ゲートへと向かう。 ジニョンは荷物のカートを押していた人にぶつかって航空券を落としてしまう。 航空券を拾いながら、絶望的な表情で顔を上げるジニョン。 ゲートが閉まる寸前、振り返るドンヒョク。 <必ず僕のもとへ来ると約束してください。 愛しています。ジニョンさん> 何度聞いても泣ける「ドンヒョク最後のメール」シーンです。ゲートの扉が閉まる寸前のドンヒョクの表情を見て、最初はジニョンが間に合ったと思ったんだけどな~。 ドンヒョクの声が今すぐ聞きたい人は→カドファミさんの「ドンヒョクの最後のメール」
部屋の中ではヨンジェがソファにもたれた母に向かってアラスカの旅行ガイドを読んでやっている。治ったら一緒に行こうと母の気持ちを盛り立てようとするヨンジェ。 そこへキム会長が現れる。心配そうに部屋の入り口でたたずむ息子に、行っていいわとうなずくユン社長。 「ずいぶんやつれたな」 しみじみと声をかけるキム会長に、ユン社長は「あなたも年を取ったわね」とやり返す。 ハン・テジュンとシン・ドンヒョク、二人の若造にえらい目に遭わされたからだ。あいつらはきっちりと痛めつけてやらねばならん。息巻くキム会長に、相変わらずねと社長が苦笑する。 「ドンスクさんも変わらんな。相変わらず……きれいというか……」 こらこらおっちゃん、この期に及んでなにを口説いてるんですか~! 私が死んだら大学時代の仲間はあなた一人になるのね……。感慨深げにつぶやく社長。 「弱気なことを言うな。元気になったらデートでもするか」 だから口説くなっちゅうに(笑) いやいや、これはこのおっちゃんなりの励ましの言葉なんですね。 苦笑しながら「お願いがあるの」と切り出す社長。 「金以外ならなんでも聞くぞ」 ←ほんまにこのおっさんは; 「また……。金、金……(- -メ) 」 「ああ、金のことでもいいぞ。稼いでも使い道がない」 ←言うてみたいわい! 「私が逝ってもキム・ボクマンさんは長生きしてヨンジェとユンヒを見守ってやって。私たちの代わりに」 「それは……」 キム会長は言葉に詰まり、寂しげに何度もため息をつく。 しばらくして、キム会長はヨンジェに見送られてヴィラを出てくる。外ではジョンがすかさず車のドアを開けて待っている。キム会長はヨンジェに、娘とは友達なのか、連絡は取っているのかと尋ねたあと、いずれ夕食でも一緒にとろうとぶっきらぼうに誘い、車に乗り込む。 こうして、長く続いた両家の確執は終わりを遂げたのだった。 母の待つ部屋に戻るヨンジェ。カーテンが風に揺れている。すべての肩の荷を降ろしてホッとしたのか、ユン・ドンスク社長は眠るように息を引き取っていた。 そして3ヶ月が過ぎた。新館祝賀式典での母の姿を思い出すように、ヨンジェは中二階からロビーを見下ろしている。そこへ現れるジニョン(この二人のツーショットって珍しい)。 皮肉ですね。30年も頑張ってきた両親が亡くなったら、ホテルが繁盛し始めて……。無念な想いを口にするヨンジェ。もしも両親が生きていたら、この光景を見てどんなに喜んだことだろう。 そうね。ジニョンは相槌を打つ。人はすぐ忘れてしまうし……。 ロビーでは、オ支配人が総務部長とユ・チーム長の腰ぎんちゃく二人を引き連れて闊歩している。またまたなにか悪いことを企んでいるのかな~? と思ったら、木の葉が生き生きしていないから照明を変えろって……。 仕事してるのかオ支配人!? どうしたんだ一体!? ←この言われよう(^^;) 「総支配人! 社長からです」と、アンに呼び止められて振り返るオ支配人。って、えっ!? 総支配人ですと~~~!? 短く会話したあと、オ支配人、じゃなくてオ総支配人はアンにトランシーバーを返す。その間ずっと媚び媚びの誘惑視線を送り続けるアン。この上昇志向、見習いたいもんです。 どうやらアンは飲食チームからロビーの係に替わったみたい。そして、ユ・チーム長はめでたくユ支配人となったようです。 オ支配人は厳しい目つきでアンを見据え、男子社員には節度を持って接するように注意すると、ユ支配人に命じて彼女を1ヶ月間、厨房で皿洗いの刑に処すのだった。皿と一緒に心も洗って来い! キビシー! 秘書に断り、社長室へ入ってゆくオ総支配人。 「お呼びですか社長」 「ああ、総支配人」 と、そこにはハン・テジュンの姿が! おお~、やったね\(^o^)/
ソウルホテルが、世界観光協会が選定したアジアのベストホテルに選ばれた。ついてはラスベガスへ授賞式出席と観光を兼ねて行かないかとハン社長(いや~ん。この呼び方慣れないな~。でも嬉しい)。 するとオ支配人はためらいがちに、嬉しいのですが実は家内が妊娠していて、私がそばにいないとだめなんですと答える。 家内!? にんし~ん!? ということは、ということは……。 \(^o^)≪★祝☆CONGRATULATIONS☆祝★≫(^o^)/ やった~! やった~! スンジョンと結婚したのね。よかったね。おめでとう! で、なに? 妊娠1ヶ月? ハネムーンベビー? ぐはぁ;;
一緒に行ったらどうだとのハン社長の言葉を丁重に辞退すると、オ総支配人はあとのことは自分に任せて社長が行って来てくださいと勧める。 ありがたいが猫に魚屋を任せるようだしなあ……とハン社長。洋酒倉庫の鍵は今もあなたが? ←ハン・テジュンのズバリ言うわよ! やめてくださいよ。あれは一度の過ちですよ。今でもそんなことをしてるならベルボーイから出直しますと総支配人の名札を外そうとするオ総支配人。 冗談ですよと笑うハン社長に、オ総支配人も心からの笑顔を見せる。 なんかいいですね。こういう二人の姿。テジュンもオ・ヒョンマンのことは買っていただけに、こんなふうにお互い信頼し合って補佐し合いながら一緒に働けることをずっと夢見ていたのでしょうね。 オ・ヒョンマンも過去にあれだけの確執がありながらテジュンの部下として働く決心をしたことはあっぱれぢゃ。褒めてつかわすぞ。内面的に満たされると人は心に余裕ができるもんです。愛するスンジョンと結ばれたことで、ちっぽけな意地なんてどうでもよくなって、彼女のためにも頑張ろうという気になったんでしょうね。 キム会長に続き、オ・ヒョンマンまでいい人になっちゃって、うまくまとまりすぎという意見もあるでしょう。確かに全編通してオ・ヒョンマンの描き方は、人格が定まっていなくてご都合主義な点もありますが、彼もキム会長も、一番愛して認めてほしかった相手から愛され認められたというのが変わるきっかけなわけで、充分説得力があると思います。こういう結末でいいんじゃないのかな。 退室するオ総支配人を見送り、秘書から郵便物を受け取って席に戻るテジュン。その中にユ
<電話かメールか迷って、手紙を書くことにしました。 便利なものより、直筆で切手を貼って出す方が、受け取る人のことを考える時間が長いでしょ? 私は思ったより早く学校に慣れました。 言葉では苦労も多いけど、友達もできました。 でも少し太ったの。 テジュンさんを知っている人にも会えて寂しくありません。 私がいつも休む場所もできました。 テジュンさんも昔きっとここで……と思いながら空を見上げると、飛行機雲があちこちに見えます。 どれがソウル行き? そうやって懐かしいテジュンさんを思い出して頑張っています。 昨日は変な夢をみたの。 私は砂漠に置き去りにされて、すごく怖かったけど、遠くから赤い車が走ってきて。 誰かと思ったら、テジュンさんが降りてきました。 それで私は走って行って……。 ただ走って行ったんです。 その夢のせいで今朝遅刻しちゃった。 カーディガンは大事にしています。 いつかこれを着て、いいえ、肩にかけて――だってラスベガスは暑いから――空港にあなたを迎えに行けたらいいな。 もう授業の時間だわ。 また連絡します。お元気で> 読み終えるとテジュンは窓へ歩いて行って、外の景色を眺める。 ジニョンの砂漠置き去り事件のことはユンヒは知らないはずだけど、こんな象徴的な夢を見るなんて、もしかしてユンヒはテジュンの運命の相手? いずれこの二人は……? と深読みしたりもできますね。 それにしても、車から降りてきたテジュンに抱きついた、とはっきり言ってしまわないところに若い女性らしい恥じらいを感じるな~。これがおばさんになると、抱きつくくらいじゃすまなくて、押し倒す夢を見るわけですな。そんでもって、それを微に入り細に入り相手に言っちゃうわけですな。自戒したいもんです。 ←それはあんただけ オフィスにて。ジニョン、スンジョン、ノ支配人(料理長も昇進したのね)の3人でお茶を飲んでいる。妊娠の喜びに浸るスンジョン。オ総支配人は変わったよ、とその精力的な仕事ぶりに感嘆するノ支配人。 ノ支配人はジニョンにテジュンとの仲はどうなってるんだとつつく。どうしてもこの二人をくっつけたいらしい(余計なお世話だ)。テジュンとは友達関係で満足していると答えるジニョン(よーしよし)。
「お~、ごめんよチャギヤ~。遅くなっちゃったね」 ←字幕ではハニー(笑) 「もう、チャギヤ~。私ずいぶん待ったのよ」 おなかの赤ちゃんにまで、「ごめんよ~赤ちゃん」とデレデレ謝るオ総支配人。 「やめてよ。人が見てるじゃないの」 キョトンとするオ総支配人。あなた、幸せに目がくらんで周りが全然見えてませんね(^^;) 「ソ支配人、俺は見てられん」 大げさに頭を抱えてノ支配人がその場を逃げ出し、ジニョンも、「私もです」と、笑いながら席を立つ。ほんまにやっとれんわ(笑) (※ チャギヤについては、第17話のでれでれドンヒョクとでれでれジニョンの解説をご覧下さい)
今ここにいない人の面影が切なくジニョンの胸を締めつける。 あの夜、あの人はあそこで私の手を握り、強く引き寄せたのだった。 なぜあの人を行かせてしまったのだろう。たったひとりで……。 なぜ私はここにいるの。 そんな想いを振り切るように、ジニョンはその場を離れる。 ここでのBGMはサラ・マクラクランの「Angel」。これもスティングの「Fragile」同様、恋とは関係のない歌です。音楽業界でドラッグ使用者があまりに多いので、使う人の気持ちになって作ってみようということで生まれたのがこの歌。そう、テーマは「ドラッグ」なのです。“天使”とは今日を乗り切るためのドラッグであると同時に、やめなければ死に導く存在でもあるとか。 このシーンのジニョンとは全然関係ない内容だけど、なぜかメロディが、歌詞が、この場面によくはまります。
「ええ。もう一週間も」 ……なんだ。一週間だけかい(^^;) あれからずっと音信不通かと思ったぞ。 この前の仕送りのとき、忙しくなるって言ってた、とジェニー。私のことは? ジニョンの問いに、う~んと口ごもり、「口止めされてる」と言葉を濁す。むむ。これは何かありますよ。 気になるなら行けばいいのに。ジェニーは軽く言うが、ドンヒョクの意向も確かめず、いきなり飛び込んでゆく勇気がジニョンにはない。 「そんなことして、また砂漠に一人で放り出されちゃったらどうするの」 「またリムジンが迎えに来てくれるかも」 屈託なく笑うジェニーに、ジニョンもつられて笑ってしまう。 お気に入りの場所で。指輪をはめた手にトランシーバーを握り締め、ジニョンはぼんやりとたたずんでいる。 ドンヒョクssiはなぜ連絡をくれないのだろう。なぜジェニーに口止めなどしたのだろう。変わらぬ愛を誓ってくれた彼だが、その想いに水をさすようなことがあったのだろうか。 会えないということはちょっとしたことでも疑心暗鬼を生んでしまう。ジニョンはテジュンがすぐ隣に立つまで気づかずにため息を繰り返す。
「どうした? 毎日デスクを空けてため息か」 「誰のせいでこんなことになったと思ってるのよ」 テジュンに噛みつくジニョン。 ということは、ジニョンがドンヒョクと一緒に渡米することに踏み切れなかったのは、亡きユン社長との約束に縛られていただけじゃなく、やっぱりあのうるうるテジュンを見て心を揺さぶられたせいだっていうのだろうか。 おまえが犠牲になったおかげでホテルは順調そのものだと答えるテジュン。そうね。誰のせいでもないわと独り言のようにつぶやくジニョン。私がいけないのよ。友情と愛の区別もつかない私が。 うるうるテジュンを見て動揺してしまい、それを愛だと勘違いしたジニョンは、ぎりぎりまでドンヒョクについて行く決心がつかなかった。だけど、ドンヒョクのメールに自分の気持ちを再確認して、空港に駆けつけてみれば、既に遅しでドンヒョクは行ってしまった後だった。今から思えばテジュンssiへの想いは友情だったんだわ。愛じゃなくて愛着だったんだわ、と。そういうことなんざますか。えっ!? この大バカ者っ。 大きなチャンスが巡ってきてたのに、それを蹴飛ばしちゃった私がバカなのよと自嘲するジニョン。また巡ってくるさと慰めるテジュンの言葉を、来ないわよとヤケになって言う。俺のラスベガス出張の間、おまえも休暇を取ったらどうだと勧められても、社長がいないのに休めるわけないでしょうと八つ当たりを連発する。 そのとき、ジニョンの持つトランシーバーがテジュンを呼び出す。ちょうどジニョンが担当するVIPが到着したようだ。俺の特別な客だから今日だけ頑張って担当して、明日からゆっくり休めと、ふてくされるジニョンをなだめるテジュン。昇進もないし、と、まだすねているジニョン。 あの~、仕事はサボるわ文句たらたらやわの支配人を昇進させてくれるホテルがどこにあると?(^^;) もうちょっと職業人らしいところを見せてくれよジニョン。ドンヒョクよりホテルを選んだ意味がないじゃないか。 やがて二人はロビーに到着する。テジュンが示す方向を見たジニョンは、そこに背の高い紳士が立っているのを見つける。ゆっくりとこちらへ向かって歩いてくるその人を、ジニョンは呆然と見つめる。
VIPってドンヒョクssiのこと? あなたが彼を招待してくれたの? 私のために? ようやくテジュンの計らいに気づいたジニョンは、輝くような微笑みを浮かべて顔を戻すと、駆け寄りたい衝動を抑えて一歩一歩その人のもとへと近づいていく。
ジニョンはドンヒョクの前に立つ。 「僕を待ってた?」 涙で言葉にならない。ただうなずくしかないジニョン。
「いつまでこちらに滞在されますか、お客様?」 涙をこらえ、かろうじてジニョンが訊く。 ドンヒョクはまっすぐにジニョンの瞳を見返すと、力強く告げる。 「永遠に。永遠にあなたのそばにいます」 ←悶絶!! ジニョンの頬を涙が流れ落ちる。泣き笑いしながらドンヒョクに飛びつくと、彼も笑ってジニョンを抱きしめる。
飛んでくる飛行機。見上げるユンヒ。 飛行機は空港へ向かって高度を下げてゆく。 あれにテジュンさんが乗っている。 見送るユンヒの唇に、やがて微笑が浮かぶ。
(おわり) <エンディング ~BGM 愛のために~>
エンディング最後のシーン
※ドンヒョクのメール、エンディングの言葉など韓国語の部分はモッチンオンマさんに訳していただきました。ありがとうございました。 <あとがき> 私が「ホテリアー」と出会ったのは2004年6月のことでした。4月に「冬のソナタ」を見て初めて韓国ドラマ、そしてペ・ヨンジュンssiと出会い、第二作目に見たのがこの作品だったのです。あっという間にドンヒョクに撃沈され、ホテリアーの魅力に取りつかれてしまいました。 全体のストーリーを通して感じたのは、人と人との縁はほんのちょっとのタイミングで変わってしまうものなのだということでした。もしもテジュンがジニョンを砂漠に置き去りにしなかったら? もしもあの雨の日、ヨンジェがもう少し長くユンヒの家の前に留まっていたら? その後の展開は全く違ったものになっていたでしょう。 そういう「もしも?」と思えるシーンがいくつもありました。そしてそれはジニョンとテジュンの関係で特に強く感じました。 ブロコリの「幻の20話」では、屋上にたたずむジニョンにテジュンがプロポーズしようとして果たせず、また今度……と言葉を濁すシーンがあります。そんなテジュンに対してジニョンは、「この次の機会というのは、来るか来ないか誰にもわからないのよ。私達には今この瞬間だけがあるのよ。今、この瞬間のチャンスをつかみ最善をつくさなければこの次はないのよ」と言います。 そしてその言葉どおり、ドンヒョクが戻って来ることでテジュンは永遠にプロポーズの機会を失ってしまうのです。ジニョンの言葉は実際の放送にはなかったセリフですが、もしかしたらこれこそが、監督あるいは脚本家がこの作品の中で一番言いたかったことなのかもしれません。 ホテリアーは恋愛だけじゃなく、ホテルで働く人々の哀歓や親子の情を描いていたり、スリリングなマネーゲームの一端を垣間見ることができたりと、楽しめる要素がてんこ盛りの作品だと思いました。それなのに知名度は低く、ネットでも書店でも詳しい情報はほとんど見つかりませんでした。 それじゃ私が作ってやろう。自分が得た情報をすべてつぎこんで、ここを読めばホテリアーの全てがわかる、そんなページを作ろう。そう思ってホテリアーページを作ったのです。初めのうちは誰にも気づかれず、ほとんど訪問者がなかったのですが、そのうち大手サイトさんにリンクしてもらったり、検索や口コミでお客さんが増えたりして、たくさんの方に来てもらえるようになりました。 そんな中、9月には「ホテリアー公式ガイドブック」の著者、向山昌子さんがBBSにおいでになりました(2004年9月16日、過去ログの686のメッセージ「ホテリアーの謎(ジニョンのキャラ)」へのレス)。公式ガイドブックを作る前にうちのホテリアーページがあったら、ガイドブックを作らなかったかもしれないとまで言っていただき、とても嬉しかったのを覚えています。 そしてこの5月には、雑誌「パソコンとネットの韓流ガイド」にホテリアーのファンサイトとしてURLを載せていただきました。これも嬉しい驚きでした。 でも、すべてがずっと順調に行ったわけではありません。昨年11月に「ハウルの動く城」にはまって廃人同様(^^;)になったり、家庭の事情で更新ができなかったり、なんとか落ち着いて4月に再開するまで半年間もレビューを休載していたこともありました。 レビューの続きを待っていてくださった方には本当に申し訳ないことをしました。 最後になりましたが、韓国語、英語の翻訳とアドバイザーを務めてくださったモッチンオンマさんはじめ、情報を提供してくださった皆さん、励ましの言葉をBBSやメールで寄せてくださった皆さんに感謝いたします。 皆さんがいなければレビューは書けませんでした。皆さんに支えられて最後まで書くことができました。本当にありがとうございました。 2005年8月31日 ペ・ヨンジュンssi 3度目の来日を祝して 管理人:れんか |