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中空/鳥飼否宇

2001年発表 (角川書店)

 源隻村長による、“三重自殺”という第一の解決はなかなかユニークです。大きな穴(特にロープの件は致命的です)があるのが難ですが、その穴にも“真相から目を逸らさせるため”という理由が付けられているところが面白いと思います。

 猫田夏海による第二の解決では、やはり“旅庵による充殺し”の逆説的な動機が秀逸です。“解釈”→“介錯”の取り違えはやや苦しいところですが、首の切断の真相としてはまずまずといえるのではないでしょうか。

 そして鳶山による第三の解決ですが、催眠術などの伏線も生かした、見事なものだと思います。ただ、決め手となる証拠を欠いているのは残念なところですが。

 “柳玲{あきら}”が女性だというのは、比較的見破りやすいのではないでしょうか。“玲{あきら}”というのはいかにも性別誤認トリックに使えそうな名前ですし、冒頭(19頁) に登場する〈柳さん〉宛ての生理用品はかなりストレートな手がかりです。ただ、その手がかりの印象が強いために、同じ箇所の〈さん〉宛ての名札が目立たなくなっているのは巧妙といえるかもしれません。

2003.01.17読了

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