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牙王城の殺劇/霞 流一 |
2002年発表 富士見ミステリー文庫FM32-1(富士見書房) |
この作品には数々の怪現象が登場していますが、何といっても“騎士の籠屋”の真相が秀逸です。図と地が反転する“ルービンの壷”を思わせる鮮やかな逆転には、十分なカタルシスを味わうことができます。また、“ねじ曲げられた鉄の檻”の真相も、同じような逆転の発想が楽しめます。 殺人事件には例によって大がかりなバカトリックが使われていますが、その仕掛けの一部を“天守閣の消失”という怪現象に転用しているところ、そしてまたその現象を手がかりの一つとしているところが見事です。また、ソーラーシステムという伏線もよくできていると思います。ただ、いかに型を取ったとはいえ、氷の牙による殺人は難しいのではないかと思いますが。 そしてこの作品最大の脱力トリックが“ワニの着ぐるみ”です。脱力ものではありますが、これが単なるギミックにとどまらず、“死んだはずのウサギが生きていた”というほのぼのとした、そして犯人にとっては皮肉なラストにつながる伏線となっているところはうまいと思います。
なお、 |
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