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地底獣国の殺人/芦辺 拓 |
1997年発表 講談社ノベルス(講談社) |
本書を最初に読んだのは刊行されて間もない頃で、当時はティラノサウルス=スカベンジャー説もまだそれほど知られていなかったかもしれませんが、私はたまたま知っていたので、“scave”というダイイングメッセージの真相はすぐにわかってしまいました。 冒険譚に仕掛けられた叙述トリックは、非常によくできていると思います。“神山浩”のしゃべる関西弁は気になりますが(シリーズの読者にとっては自明でしょうし、また本書でもそれとなく示されていますが、森江春策は関西人であるわけですから、その祖父である森江春之介もまた関西人である可能性が高いでしょう)、当時の新聞記事や折竹の手記の使い方、また手記と語りの双方に配置された手がかりもが巧妙です。そして何より、語り手である神山老人による悪意に満ちた二段構えの罠が、強烈な印象を残します。 2005.10.14再読了 |
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