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おなじ墓のムジナ/霞 流一

1994年発表 カドカワ・ノベルズN61-1(角川書店)

 犯人を絞り込む過程については非常によくできていると思いますが、第四の条件であるについては問題があるように思います。仮に“傘が好き”印の傘の持ち主が犯人だった場合、どういうことになるでしょうか。

 まず、犯人が現場から持ち去った傘が“傘が好き”印の傘であるにせよ、あるいは別のビニール傘であるにせよ、最終的には“犯人”は自宅に“傘が好き”印の傘を確保しているということになります。この場合、犯人の選択は微妙なものになるのではないでしょうか。少しでも疑惑を招かないように“傘が好き”印の傘を選ばない、という行動が妥当である一方で、自分は“傘が好き”印の傘を確保しているので安全であるとも考えられます。しかも、別の持ち主に疑惑を向けることも可能かもしれません。

 これらのことを考え合わせると、“傘が好き”印の傘の持ち主が犯人という可能性も否定できないのではないかと思います。

2001.03.26再読了

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