DVD-BOX「山中貞雄
日活作品集」が5月7日に日活から発売されました。
商品の内容は「丹下左膳余話
百万両の壺」「河内山宗俊」、特典として「百万両の壺」のディスクの方に終戦後カットされて見ることのできなかった、クライマックスの立ち回りシーン(約20秒)、今年製作されたリメイク版「丹下左膳
百万両の壺」の特報。「河内山宗俊」のディスクの方に処女作「抱寝の長脇差」「怪盗白頭巾
前編」の断片。両作品のスチール写真(今まで見たことないのが少しありました。)が収録されています。
両作品ともでデジタル・リマスタリングによって画質・音質ともに以前発売されていたVHS、LDと較べると驚くほど良くなっています。日活の担当者の方は「お金掛かったんですよぉ!」と自慢げに話されてました。
「丹下左膳余話 百万両の壺」
もともと状態の良かった「百万両の壺」は以前はそれほど気にならなかった画面に縦に入った修復の難しいとされる乳剤面の傷(これを消すにはかなりのコストがかかるのでしょう。)がデジタルリマスタリングのおかげで、逆にクッキリ目立ってしまいました。とはいうものの画面の輝きは驚くほど出ました。
●「幻の場面」
想像していたより、立体的な、いい意味で予想を裏切られた迫力のあるものでした。大河内伝次郎の豪快なアクションがわずかな時間の中でですが堪能できます。
「河内山宗俊」
現存する作品の中では最も状態の悪かった作品ですが今まで何度も見た「河内山宗俊」と本当に同じ作品なのかと思うほど、画面に立体感が出てきて、サウンドトラックからは大きなノイズが消え去り、かなりセリフが聞き取りやすくなりました。
また、日本語字幕がついたことで内容がよくわかったという意見もあります。やっぱりこの映画、字幕いりますか?。
断片フィルム「抱寝の長脇差」「怪盗白頭巾 前編」
親友の岸松雄氏によって山中貞雄の存在を世に知らしめた衝撃のデビュー作「抱寝の長脇差」はチャンバラスターによるチャンバラを見せる映画が主体だった嵐寛寿郎の映画に情感を吹き込んだ作品として有名です。そんな作品ですが、この断片フィルムではチャンバラを期待するアラカンファンへのサービスはしっかりしていたことがうかがえます。
「怪盗白頭巾」
確かこの映画の撮影中に母親が亡くなったのだそうですが、そのせいか画面の冴えが今一つのような気がします。ルーズ目のサイズばかりの画ばっかりのせいか、またあっという間に終わるせいもあるのか、いささか物足りなさを感じたのは私だけでしょうか?。
とはいえ、滅多に見ることができないものをこうやって家庭で見れることができるというのは幸せなことだと思います。